第200話 俺はこの子が・・・
「えと・・・大丈夫ですか?逆月先輩。」
「お、おうっ。大丈夫大丈夫っ。ぷぷっ。」
全然大丈夫じゃないじゃないかぁぁぁ!何でそんなに笑ってるの?!
「健司、くくっ。顔っ、真っ赤っ。ふっふふっ。」
「ぅぇ?!嘘!マジか?!」
「あはははははははっ。気付いて無いとかっ。」
俺の反応を見て悠馬さんは自分の膝を叩きながら大爆笑してる。
俺は、自分の顔が真っ赤になってる事に気付かないで東原さんに対応してたの!?
「~~~っ////し、仕方ないじゃないですかっ!」
「えっ・・・と?何かしました?私。」
「いやいやっ!優理ちゃんは何もしてないよー!健司が面白くて分かりやすいだけだからっ!ぷっくくくっ。」
「は、はぁ。それなら良いんですけど・・・えっと、初めまして、東原優理です。」
「は、はいっ!!稲穂健司です!入学式で見つめちゃってごめんなさいっ!」
未だに笑ってる悠馬さんは取り合えず置いといて俺は自己紹介と式で見詰めてしまった事を謝罪した。
「あ、いえいえ!別に怒ってませんから大丈夫です。」
「その、ありがとう。えっと、同い年だし敬語とかいらないよ?」
「そっかっ。その何ていうか有名人だから何となく。でも、そうだよね、同い年だもんね!これからよろしくねっ!稲穂くんっ。」
言葉の後にとてもかわいい笑顔を向けられた俺は更に、顔が更に真っ赤になって「ぁ、ぅぁ・・・///」と、変な反応になってしまった。
「ひっひっ、くっ、ぶふっ。」
「悠馬さぁ〜〜ん!?」
「分かったっ分かったっ!ごめんってっ。くっ、くくっ。」
「もう!謝りながらも笑ってるじゃ無いですか!!」
「いやぁ〜、そうかぁ〜、健司がねぇ〜?」
ニヤニヤと笑いながら意地悪な顔をしながら面白いものを見つけたみたいな感じだし!
「本当にお二人は仲が良いんですね?」
「おう!大切な友達だし弟分だからね!ところで優理ちゃんは、これからの時間は何か予定ある?」
「いえ、特にはありませんけど、お腹が空いてしまって、夕飯までまだ時間もあるので、軽く何かを食べられたらなって思いまして。」
それでステイルにって事かー!理由はどうあれ、嬉しいかな。
「じゃー、お一人様ご案内ー!ほら!健司!扉開けて!!」
「えっ!?あっ!はいっ!」
東原さんの背中を押す悠馬さんに言われるままステイルの扉を開く。
「え?!いやでも!本日貸し切りって書いてますよ?!」
「良いから良いから!俺達が良いってんだから良いのよ!」
「ぇ?ぇぇぇぇえええ???」
戸惑う声を無視して、俺が開けた扉から店内に東原さんを押し込んだ悠馬さん。
俺とすれ違いざまに・・・「切っ掛けは出来た。後は頑張れ!」っと俺にだけ聞こえる声で応援してくれたけど、これ完全にバレてない?そりゃ気になるけどさ・・・。
………………………………………………………
SIDE 優理
えっと?入学式が終わってクラスで懇親会やって・・・帰り道でお腹すいたと思って、ステイルが近いからって向かったら、店の入口に逆月先輩と稲穂くんが居て・・・気付いたら貸し切りの筈の店内に押し込まれて、目の前に食べ物や飲み物がある・・・っと・・・?
「いや!訳分かんないよ??!!」
「だよねぇ〜。分からないよね〜?まーでも諦めて受け入れて楽しんだほうが良いよ?」
そして目の前には星川愛央先輩がいる・・・顔ちっちゃ・・・髪もサラサラ、肌も綺麗、胸でかぁ〜・・・。
星川愛央、去年のGWに世間を賑わせていたYouMaから生放送で「俺の好きを舐めるなよ!」と、大々的に告白されたラッキーガール。
その時はどこの誰かは分かってなかったけど、この一年で沢山の事があって、知名度も上がった先輩。
逆月先輩から直接、告白された唯一人の女性であり高校の生徒以外からも今じゃ憧れを持たれてる人。
そんな人が私の目の前にいる・・・。
つまり・・・緊張がヤバい!気分的には大ファンの芸能人にあってるのと変わらないんだよ?!そりゃさ!入学した以上は目にする事とかはあると思ってたけど入学初日に同じテーブルに座って向かい合うとか想像してないよ?!
「ん〜、緊張してる?東原さん。」
「そりゃしますよ・・・。てか優理で良いです〜・・・星川先輩にさん付けされるとか恐れ多いです・・・。」
「恐れ多いって・・・そっか〜悠馬の気持ちが少し分かった気がするなぁ〜。じゃー、優理ちゃんだね。改めて星川愛央だよ、よろしくっ。」
「は、はいっ!こちらこそです!」
よろしくされてしまった!!断る理由も無いし目にする事はあると思ってたし、話してみたいなって思ってたから良いんだけど!初日からは難易度高いよ?!
「代表挨拶したんだってねっ。今年の首席って事だし頭良くて羨ましいなぁ〜。」
「そんな事は・・・。絶対に合格するって頑張っただけですよ。」
「いやいや、謙遜しすぎだよー。何かコツとかあるの?」
「特には・・・。というか、星川先輩は?」
流石に成績悪いんですか?とは言えなくて少し濁す。
「愛央で良いよー。私は上の下ってところかな。と言っても悠馬のお陰だけど・・・。」
頬を掻きながら苦笑いしてるけど、それでも十分凄いと思う。
「それなら気にしなくても良いじゃないですか。あ・・愛央先輩っ。」
なんだろ?なんか照れるんだけどっ!!
「そうなんだけど、悠馬が常にトップだから余り差があるのはねぇ〜・・・。」
あぁ、そうか。恋人の成績が良すぎるからかぁ〜。でも、あの人は別格だと思うし気にしなくていいとは思うけど、近くに居るからこそとかなのかな?
「まーそんな訳で愛央さんは何かコツがあるなら聞きたかった訳ですよっ。」
「なるほどぉ~・・・って新入生に聞かないでくださいよぉ~っ!分かる訳無いじゃないですかぁっ!」
そんな会話をしていたらいつの間にか私の緊張は和らぎ普通に会話を出来るようになっていて、笑顔で会話を出来ていた。
星川・・・じゃないっ。愛央先輩の雰囲気がそうさせるのかな?
……………………………………………………………
東原さんが、星川先輩と馴染んでる。
最初は緊張してたみたいだけど、星川先輩の雰囲気に緊張は解けたみたいで、自然な笑顔を振りまいてる。
「やっぱり良いなぁ〜・・・。」
自然とそんな言葉が口から溢れた。
俺はやっぱり、彼女の事が・・・。
「まだ何も知らないのにな。」
「ほら、話に行かなくて良いのか?多少無理矢理とは言え、こうして機会を作ったんだからよ。」
「いやでも、何を話して良いか・・・、どうすれば良いのか分からなくて・・・。」
「遂に否定しなくなったな〜、稲穂。」
うっ。杉村くんがそんな事を言ってくるけど、だってもう、バレてるし・・・。
「先輩たちにも負けてないもんね。稲穂くんの気持ちも分かる分かるっ。」
高梨くんも同意してるし・・・これ全員にバレてるよね?
「稲穂さん、先ずは会話しないとですよ?何も始まらないですし、何も知る事もできません。先ずはお互いを知るところからです。」
天音先輩がそんなアドバイスをしてくれる、それは俺も分かってるけど・・・。
「そだよ。稲穂くんなら自然体で大丈夫っ!変に意識しないでいつもの稲穂くんでねっ。」
伊集院先輩までそう言ってくれた。
でも、確かに悠馬さんがこうして話すチャンスをくれたんだから、頑張らないと・・・。
「よしっ!!」
俺は先輩達に背中を押されるように、星川先輩と話してる東原さんのところに歩き出す。
少しでも、話さないとっ!何でも良いから!俺を覚えてもらわないとっ!
気合いをいれて歩き出した俺の頭をペシンッと叩く人がいて、振り返ると悠馬さんが、呆れた顔してた。
「そんなに気張ったら向こうも構えるだろ?もっと気楽にしろ。ほらっ!行くぞっ!」
「あ、はいっ。」
頼りになる先輩の背中に俺も着いて行きながら何を話すかと、考えていた。
俺は、君が気になるから、だから少しでも・・・。
そう思いながら・・・。
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