第199話 凄い空間
はぁぁ・・・すごい空間だよなぁ〜クラスどころか学校でのカーストトップの集まりだもんなこれ。
俺は悠馬さんと仲がいいから、運良くその中に居るけど本来なら絶対に入れないよね。
学園アイドルの悠馬さんと、その恋人達だから正にトップグループだもんこれ。
学校に入る前は気にしてなかったけど、こうやって後輩になった事で改めて凄い人たちと仲良くなったんだと実感した。
「どうしたの?稲穂くん。」
「あ、星川先輩。」
ご飯と飲み物を楽しんでいた俺の所に星川先輩か声をかけてくれて、隣に座りながら聞いてくる。
「何と言いますか、実際に後輩になったことで改めて凄い人達と仲良くなってたんだって、思ったんです。」
「凄い人達かぁ〜・・・それって、悠馬と友達だからとか?」
何処と無く少し寂しそうに星川先輩がそんな事を聞いてくる。
「それも勿論ありますけど、悠馬さんだけじゃ無く、星川先輩も天音先輩も伊集院先輩もですよ。本来なら俺なんてモブもモブですし。」
「んぅ〜・・・モブかぁ〜・・・言ってることは分かるけどね〜。」
「そうなんですか?星川先輩達も俺からすれば憧れの先輩ですよ?」
「あははっ、ありがとっ///でも私も本来なら稲穂くんと同じくモブ側だからなぁ〜。」
少し照れながらそんな事を言った星川先輩は言葉の後に苦笑いをしてる。
「私も同じだよ。」
「え?同じって何がですか?」
「私も本来ならモブってこと。」
「いやいや!それは無いでしょう!星川先輩がモブとかあり得ないですって!」
「んーん。そうなんだよ?前にさ、私が居たからすべてが始まったって言ってたでしょ。悠馬に色彩を与えたのが私だって。」
「はい・・・。」
「あの後ね?考えてみたんだけど、確かに悠馬に色彩を与えたのは私かもしれないけど、私も悠馬のお陰で、悠馬が居たから世界が変わって沢山の経験をして、強くなれたから、今の私があって、今の私達があって、目の前に広がる光景があるんだよ。」
「はい。それは分かります。」
「そして、その光景の中には稲穂くんも居る。私も稲穂くんも、志保さんや清華さん、この場所に居る人、居ない人の全ての人が変わって、世界が変わった理由は悠馬が居たからなんだよ、だからやっぱり最初の始まり、切っ掛けは悠馬なんだよ。悠馬が居なかったら私なんてモブのままだったのは間違いないよ。」
そうなんだろうか?星川先輩の人柄なら今と余り変わらない立場になりそうな気はするけど・・・強くなったって言うくらいだから何かがあったのかな?
「それは、はい、俺も分かります。でも、星川先輩の人柄ならモブって事は無いですよやっぱり。」
「あははっ、だったら良いけどっ。でもどうだろなぁ〜・・・。まぁ、忘れないで、悠馬にとって稲穂くんは大切な仲間であり、友達であり、弟分なんだから、それだけは誰にも真似は出来ないよっ。そして、この光景を掴み取ったのは稲穂くん自身の力と努力だよ。」
「はいっ!肝に命じますっ!」
そこまでしなくてもいいよ〜っと笑いながら星川先輩は俺から離れていった。
他の可能性なんて考えなくて良いんだ!今目の前に広がる光景が現実だし、俺が掴み取った光景なんだと、星川先輩の言葉を受け止めた。
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「はぁぁ〜・・・、流石に疲れたかな〜。」
悠馬さんを見習って痩せるために運動したりもしてから、体力的にはまだまだ大丈夫だけど、気疲れはしてるかな〜・・・。
「うっすっ。何してんだ?一人で外に出て。」
そんな俺の元に悠馬さんが来て声をかけてくれた。
「あっ。悠馬さん、少し気疲れしたので、外の空気を吸いに。」
「そうか・・・邪魔だったか?」
「いえいえ!悠馬さんなら平気ですっ。」
「そうか。」
そう言った悠馬さんは俺の頭をガシガシと撫でてきた。
「ちょっ?!髪型崩れますってっ!」
「へへっ。わりぃわりぃ。ほら、これやるよ。」
「もうっ。これは?「開けてみろ。」・・・お守り?」
表面には学業成就と書かれたお守りを俺は悠馬さんから渡された。
「あれ?でもこれ、なんか文字が?」
「あ〜、中身こそ、神社で作ってもらったんだが、外側は俺がやった。」
「えっ?!じゃーこれ!?」
「一年頑張った健司に少しでもと思ってな、悪いな?不格好で。」
「ゆ、悠馬さんっ。ありがとうございます!!!めっちゃ大事にします!」
「お、おうっ。そこまで大げさにしなくても良いけど・・・。」
とは言うけど、これは素直に嬉しい。
成就だから、これからの学校の勉強の為にも、パティシエの為の勉強の為にも、豪華で高価な物なんかより、目指す人に努力を認められて、応援される事が、今の俺は何よりも嬉しい。
「悠馬さん!改めてこれからもよろしくお願いします!!」
「おうっ!何でも相談しろっ。」
嬉しそうに言ってくれた悠馬さんの顔は、誰でも見惚れてしまいそうな、心からの笑顔で、この人の後輩で、友達で本当に良かったって思ったんだ。
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SIDE 優理
入学式が終わった後、行ける人で懇親会的なものをして、私は一人で今帰宅しようと歩いてる。
最初は男子も誘おうと声も上がったけど流石にそれは、不味いだろうっと私が声を上げた。
いきなりは、流石に男の子たちも警戒するだろうし、何よりも親御さんが許さないだろうし。
先ずは、私達は大丈夫だとクラスの男子とその親御さんに分かって貰う事から始めないと駄目だと思うしね。
「でも、楽しかったなぁ~・・・。楽しいクラスになりそうだし、本当に楽しみだなぁ。」
私の口から自然とそんな言葉が零れる。
最初は、私も不安だった、男子がいる、それは喜ばしい事だけどそれ以上に、乱暴な人だったらどうしよう?危険な人だったらどうしよう?と不安の方が大きかった。
「でも、逆月先輩に憧れて入学しただけあって、今日の感じだと特に問題があるような感じは無かったし、皆で徐々にでも仲良くなれたら良いなぁ。」
くぅぅぅっと、そんな事を考えながら歩いていた私のお腹からは空腹を訴える音がなってしまい、誰に聞かれた訳でも無いのに羞恥で顔が真っ赤になるのが分かる。
「夕飯まで長いし、少し食べて帰ろうかな・・・。」
何処かに喫茶店でもあると良いんだけどって言うかここからならステイルが近いかな?
結論付けた私は清蘭のアイドルの一人、私達の先輩でもある天音志保先輩の家の喫茶ステイルに向かって歩き出した。
歩き出して10分ほどで、目的のお店が見えて来たけど、お店の前に誰かがいる?て言うかあれって・・・。
「逆月先輩と?・・・稲穂くん?」
学校で一番の有名人、今年の新入生の目的とも言える先輩と、何かと一緒に行動してるのを目撃されたり、配信に出たりとしてるから今年の1年の中でも1番か2番位に有名な男子でもある稲穂健司くんが一緒に話して居た。
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「あれ?優理ちゃん?」
「えっ?!東原さん?!」
悠馬さんからお守りを受け取って感動していたら、いつの間にか目の前に東原さんが居て俺は驚きの声をあげてしまった。
「えっと・・・こんにちわ?先輩と、稲穂くんだよね?」
知られてた?!やばい・・・ちょっと嬉しい・・・。
「あ、あれ?違った?」
「うっ・・・あってるよ。でも何で?」
ぼーっとしてる俺の横っ腹に悠馬さんが拳を突き刺してきて意識を戻して何とか反応した。
「ほらっ!先輩と一緒に色々出たりしてるからそれで・・・。」
「そっかっ!その!ありがとうっ!」
「ぷっ・・・くっ・・くくっ・・・。」
何か横から笑いを堪える声が・・・。
「先輩?」
「あははっ。あはははははっ。健司の反応が、顔がっ。あはははははっ。涙出て来たっ。」
「え?いや、何ですか?!何でそんなに笑ってるんですか?!」
「わははははっ。だめっ、もう勘弁っ。あははははっ。」
「ちょっと?!悠馬さん?!」
大爆笑してる悠馬さんを見て東原さんの頭には???マークが浮かんでるのが丸わかりだし、俺は俺で悠馬さんが何でこんなに爆笑してるのかが分からなく東原さんと同じ様に頭に???マークが浮かんでしまっていた。
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