第198話 ステイルに

「終わった!よっしー!帰ろうかな。」


俺は席から立ち上がりながら身体を伸ばすのと同時位に、ガラガラガラっと扉が開く音がして、そっちに顔を向けるとそこには皆の憧れの人が居て・・・。


「菜月ー!帰ろうぜー!」


「「「「?!」」」」


きゃぁぁぁぁぁぁ!!!先輩ぃぃぃぃぃぃ!っと一気に大騒ぎになった。


「兄さん・・・、もっと自分の影響力を・・・。」


「気にしてたら何も出来ないって!お?健司も柚美ちゃんも涼ちゃんも千里ちゃんも居るじゃん!名前あるのは見てたけど、改めて入学おめでとう!」


「「「「ありがとうございます!」」」」


「兄さん、この後はステイルですよね?」


「そうだねー。健司達も来るか?」


「えっと・・・良いんですか?」


「そっちが大丈夫なら勿論だ!」


「是非!」


「おっし!柚美ちゃん達も良いよね?」


「「「はいっ!お供します!」」」


「お供って・・・。まぁ良いや。そんで、そっちの男子達は?この後は予定あるか?」


「いえ!ありません!」、「ぼ、僕もです!」、「お、俺も無いです!」


「ふんふんっ。それじゃー来るか?菜月もだけど健司も世話になる訳だしどうだ?」


「お世話って・・・俺等の方が・・・。」


良いから気にせず来い!そう言った悠馬さんの言葉に嬉しそうにしながらも緊張しながら、杉本翼です、高梨陸です、中本水夏ですっと自己紹介していた。


「おっけー。翼に陸に水夏な、菜月と健司が面倒かけるだろうけど見捨てないでくれな?」


「世話なんてかけません!そんな子供じゃないです!」


「えっ?!・・・あ、うん、そうだね。」


「にぃ〜さ〜ん〜?」


「ナンデモナイデスヨ?」


「にいさん!!それを言ったら兄さんはそもそも!!」


「分かった分かった!俺が悪かったから!」


言いながら誤魔化すかのように悠馬さんは菜月さんの頭を撫でてる。


「そ、そそ、そんな!ナデナデしても誤魔化されませんよ?!」


「なら、止めるか?」


「止めなくていいですぅ・・・。」


「ふっ、ふふっ。くくくっ。あはははっ!相変わらず仲いいですねっ。」


二人のあんまりなやり取りに俺は笑いを我慢できなくて笑いながらツッコむけど、周りは悪いと思ってるのか必死に肩を震わせながら我慢してるのが見える。


「稲穂さんまで!そんなに笑わなくても良いじゃ無いですか!」


「ごめん〜、でもだってねぇ〜?」


俺は肩を震わせて必死に我慢してる杉本達に話を振る。


「やめてっ、今こっちに振らないでっ。くっ、くくつ。」


うんうんっと、他の二人も頷いてる。


「さっきまでは凛として居たのに悠馬先輩と絡み始めたら幼く、可愛くなるんだもん、そりゃーギャップに驚くし笑いが込み上げて来るよっ。ふふっ。」 


立花さんの言葉に門倉さんも小河原さんも頷きながら笑ってるしっ。


「何々?菜月のやつ猫でも被ってたか?」


「にいさんっ!!もうっ!知りませんっ!」


そう言って顔を真赤にした菜月さんはズンズン廊下を歩いて行っちゃった。

傍から見たら怒った様に見えるけどあれは照れてるだけだね、皆が可愛いと思うのはそう言うところだと思うんだけどなぁ〜。


「あっ、菜月のやつ照れてるな〜?とりまー皆も行こうぜ!置いてかれちまうしな!それと、家族には連絡しておけよー?」


悠馬さんの言葉に俺達は元気に返事をして羨ましそうな顔をしてるクラスメイトにまた明日!っと挨拶してから移動を開始して、皆でワイワイ騒ぎながら昇降口で待っていた菜月さんを伴って、登校初日を終わらせたのだった。


…………………………………………………………

〜喫茶ステイル〜


悠馬さんに連れられて天音先輩の家でもある喫茶ステイルに着いた。

ここに立つとあの日の事を思い出してしまう。

家族揃って悠馬さんに怒られて、完全に折られて・・・。


「後悔は無いけどね〜。」


「どした?健司。」


「あぁ、いえ。あれから何度も来てますけどここに来ると何時もあの日のことを。」


「あぁ・・・、お前が変わるきっかけになったあの日か。」


コクリと、頷いて反応して、天音先輩にもお母さんにも許して貰えてるけど、甘え無い様にしないとなと、いつも通り気合いを入れ直した。


「とりあえず、入りな皆。今日は貸し切りだから気にせず騒いで良いぞ。」


悠馬さんに言われて俺達は店の扉を潜って全員が中に入るのと同時にパンッ!パパパパパンっ!と炸裂音が鳴り響いた。


「「「入学!おめでとーーーーー!!!」」」


「「「「うぉぉ?!」」」」


「「「「ひゃぁぁ?!」」」」


俺達を迎えたのは星川愛央、天音志保、伊集院清華と言う清蘭のアイドル・・・3女神とまで言われる皆の憧れの人達だった。


「ぅぁ・・・?えぇぇ?」


「マジか・・・?」


「「「は、はじめまして!!!!」」」


「はーいっ!初めまして星川愛央だよー!よく来たねっ!」


「初めまして、天音志保です。今日は楽しんで行ってくださいね?」


「伊集院清華だよ、よろしくねっ!ささっ!座って座って!」


「ほら、何を惚けてんだ?早く座って騒ごうぜ?」


俺達は悠馬さんと菜月さんに背中を押されるまま席に着いてそれぞれの前に置かれる飲み物を手に取った。


「えー、それでは!健司、柚美ちゃん、千里ちゃん、涼ちゃん、菜月。」


悠馬さんが俺達の顔を順番に見ながら名前を呼んでいく。


「そして、新しく知り合えた、陸、翼、水夏。」


次に新しい友達の3人を同じ様に呼んでいく。


「この出会いと皆の入学を祝して・・・これから宜しくって事で、乾杯っ!!!」


「「「乾杯っ!!!」」、「「「乾杯でーーーすっ!!!」」」、「「「「乾杯っすっ!!!!」」」」


そうして、パーティーが始まって俺達は、緊張しまくってるけど少しずつ楽しみ始めた。


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SIDE 翼 陸 水夏 健司


「なぁ・・・稲穂・・・俺等ここに居ても良いのか?」


「悠馬さんが連れて来てくれたんだから良いんだよ。」


「いや、でもさ・・・。」


「う、うん・・・稲穂とか立花さんとかは今までも絡みあるから慣れてるかもだけど・・・。」


「逆月先輩だけでも緊張するのに、そこに3女神って・・・。」


「うん、気持ちはすっごい分かる。俺も立花さん達も最初そうだった。」


「「「だよな?!緊張しない方がおかしいよな?!よね?!」」」


「ふふっ。そんなに緊張しないでください。私達だって皆さんと同じ唯の高校生なんですよ?」


「天音先輩!そ、その!そう言われましても・・・。」


「お気持ちは分からない訳では無いですが、折角こうして知り合い同じ時間を過ごすんですから少しでも飲んで食べて楽しんでくださいね?」


「はいっ。ありがとうございます。」


そう言って天音先輩は俺達から離れて立花さん達の方に歩いて行った。


「っっはぁぁぁっ。めっちゃ緊張したぁぁぁ・・・。すげー背筋伸びたわ・・・。」


分かる分かる、天音先輩の丁寧な感じなのに、独特の雰囲気にすっげー飲まれるんだよね。


「でも、綺麗だったなぁ~・・・。」


「それっ!マジで大和撫子って感じ!」


「じゃ~・・・私はっ?」


「伊集院先輩?!」


「ねーねっ!私は~?」


すっごい楽しそうに聞いて来てるしっ。


「そ、その・・・伊集院先輩は凄く綺麗で、スタイルも良くて・・・。」


「僕!前に演奏会で見た事あって!その時に思ったんです、こんなに素敵な人が居るんだって!こんなにピアノの前に居て演奏してるだけで幻想的な人が居るんだってマジで思ったんです!」


「げ、幻想的って・・・///ありがとねっ。中本くんっ。」


照れてる伊集院先輩の顔が余りにも可愛すぎて俺達は全員が顔を真っ赤にしてしまった。

そんな俺達を尻目に照れくさそうに離れて行く伊集院先輩を俺達は見送るのだった。


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