第193話 お見舞いという名の修羅場

「ゆ、ゆうま・・・くん・・・///」


「柚希さん・・・。」


俺の目の前に柚希さんの綺麗な顔があって、愛央よりも大きいおっぱいが俺の胸に押し付けられてる・・・。

これは、やばい・・・目の前の女性にクラクラしてくる・・・。

それは柚希さんも同じなのか、静かに目を閉じて顔が近寄って来て・・・直ぐにでもキス出来ちゃう位に・・・。


「悠馬ー!入るよー!」


そんな柚希さんと見つめ合ってると扉の向こうから愛央の声が聞こえて来て一瞬で俺は青ざめた・・・。


「「「「?!?!?!?!?!」」」」


「ゆーまー?おねえーちゃーんーー?ナニをしてるのかなぁ〜〜〜!?!?!?」


「ふぇ?・・・うぁ・・・ひゃぁぁぁ?!愛央ーーー?!何で?!」


「お・ね・え・ちゃ・ん?ゆ・う・ま?」


「悠馬さん?」


「悠馬くん?」


ニッコリと、とっても良い笑顔で俺の恋人達が俺の名前を呼ぶ。

その笑顔はとっても素敵で綺麗で普段なら見惚れるはずなんだけど・・・今はこえぇぇぇぇ。


「兄さん・・・姉妹丼はどうかと思いますよ?」


待って!何処でそんな言葉覚えて来たの?!菜月。


「悠馬くん・・・確かに柚希さんが魅力的だけど、どうせなら先に私達・・・。」


「そうだよ・・・順番的には私達でしょ?」


いやいや!薫も悠花も!どさくさに紛れて何言ってるの?!


「ちょっと、薫も悠花も黙ってようね?」


「「はひぃ!!!」」


愛央がこえぇぇ・・・。


「えっとねっ!違うのよ?!誤解しないでね?!」


そんなに焦ってたら誤解しかしないよ、柚希さんや・・・。


「何が誤解なのかなぁ〜?悠馬にキスしようとしてたよねぇ〜?しかも胸も押し付けてっ!!」


「だ、たから誤解なの!!」


うん、目の前で焦ってる人いると逆に冷静になるわ。


「はぁ、怪我は無いですか?柚希さん。思っきりコケましたけど。」


そう。単純に躓いて転んだだけ、そのまま俺の方に倒れてきて俺が受け止めただけ、目の前に綺麗な顔と、美味しそうな唇があって目を離せなかっただけで・・・。


「ほぉ〜?コケたねぇ〜?」


あっ、これは信じてないやつだ!!

口を開きそうになってる柚希さんを手で止めて、俺が話し始める。


「愛央、こっちおいで。柚希さんの居る方。」


見せたほうが早いから俺は愛央を呼ぶ。

むすぅ!っとした顔をしながらも近寄ってきてくれて、床にあるものを見る。


「あ、台座?これにって事?」


「そそ、上手い具合?に引っ掛かってな。俺の方に倒れてきたから受け止めたって訳。」


「ふ〜ん?それなら何でお姉ちゃんはキスしようとしてたのかなぁ〜?」


「そ、それは!悠馬くんの顔が目の前にあって我慢できなくなりかけたと言うか・・・。ごめん・・・。」


「まーそういう事だ。俺も押しのける訳にもいかないし、引っ叩くわけにもいかないしな。」


「むぅぅぅぅ・・・。はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」


「分かったー、納得はした。けど!!お姉ちゃん!後でお話があります。」


「はぃ・・・。」


「愛央?お手柔らかにな?ここ数日はほら!夜勤続いてるし柚希さんも疲れてるんだしさ。」


そんな俺の言い分に愛央を始めとした恋人達が一気に責めてくる。


「大体!悠馬も悠馬だよ!!」


「そうです!雰囲気に流されそうになったことは変わらないです!」


「もっと警戒心を持ってよ!気を許した相手にはほんとに甘いんだから!」


「ほんとだよ!!その優しさが悠馬の良いところなのは分かってるけど!それはそれだよ!?」


「大体ですね!悠馬さんはいつもいつも!」


「そうだよ!いつも!気付けば誰かしらひっかけてるし!!!」


「まって!ちょっと待とうか?!ひっかけてないよね?!」


「無自覚は罪!!!!」


「えぇぇぇぇぇ?!そんな馬鹿な・・・。」


「やっぱりギルティ・・・ですっ。」


ひぃぃ!志保も黒くなってる!!!これは何とか誤魔化さないと不味いやつだ!


「取り合えず・・・俺のお見舞いだよな?」


「うん。お見舞いだよー。」


「改めて皆ありがとな。学校はどうだった?」


「いつも通りでしたよ?ただまぁ・・・。」


「うん、悠馬くんが居ないから静かだったかなー?と言うか朝も私達3人だけだったから騒がれたかな?」


「だったねー。悠馬が居ないって事が一番だったかな。まー分かるけどっ。」


何とかいつもの雰囲気に戻って学校がどんなだったか?俺が居ない理由の騒ぎだったりで色々と大変だったらしい。

そして、皆が時間ギリギリまで居てくれて騒がしくも楽しい時間を過ごしたのだった。


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SIDE 柚希


はぁぁ・・・危なかったぁ~・・・。

悠馬くんかー、確かにかっこいいし愛央の恋人だからこのまま行けば義弟にはなるけど・・・。


「耐えられる自信がない・・・。」


私はナースセンターのテーブルに突っ伏しながらさっきの事を思い出しながら顔を赤くしてる。


「星川さん?具合でも悪いんですか?」


「いえっ!大丈夫です!」


「そう?それなら良いけど夜勤が続いてるから無理はしないでよ。」


「はい、すいません。」


一緒に夜勤の担当をしている先輩看護師から心配されて、冷静になれた。


「それにしても、逆月くんは大人気ねぇ~・・・。」


「えぇ、妹の恋人と言うのもあって何度か一緒に旅行にも行ってますけど気も効くし優しいしでいつも楽しく過ごしてます。」


「あらあら。それは羨ましい~。今日のお見舞いに来ていた子達もそうだけど、院内でもあっちこっちで声をかけられてるのに嫌な顔もしないで相手してるし。」


「そうね、悠馬くんが来ると院内が明るくなるし来ない方が良いんだけど来てくれると患者さん達も元気になるから困るわねぇ~。」


そう、去年の入院の時もそうだけど悠馬くんがあっちこっちで色々と話したりもしてくれて皆が笑顔になっていた。


「それが悠馬くんの力・・・なんですかね?」


「そうね。きっとそう、回りを元気にする、笑顔にする、それこそが逆月くんの力なのかもね。」


「ですよね。本人は考えて無さそうですけどね。」


くすくすと笑いながら私と先輩は笑いながら勤務をこなしながら夜がふけていくのだった。


スマホには愛央から「絶対問い詰めるから!あれで終わったと思わないでよ!!」ってお怒りのメッセージが来てるのは全力で見ない事にしながら。


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「終わったーーーー!」


「お疲れ様、悠馬くん。」


「柚希さんもお疲れ様です。」


「結果は・・・来週でしたっけ?」


「うん、時間はかかるからごめんね?また来週、顔を出して貰う事になると思う。」


「こればかりは仕方ないですしね。これで何の問題も無いと分かれば母さんも菜月も安心すると思うし。」


「そうね。去年の原因も分かれば良いんだけど・・・。」


「あはは・・・ですね。まーでも、元気だし大丈夫ですよ!この一年も身体壊したりもしてないし!」


原因なんか分かるわけ無いし、話すことも出来ないから笑いながら誤魔化す!


「あのねぇ〜・・・分からないのか一番怖いんだからね!!この一年見てて思ったけどもっと自分を大切にしなさい!」


「うっ・・・肝に命じます・・・。」


ほんとに分かってるのかな〜?絶対分かってないよ。っと柚希さんはブツブツ言いながら作業をしてくれてる。


「あのさ、柚希さん。」


「うん?どうしたの?」


「その・・・色々とありがとうございます。」


「うん?何が?」


「いえ、ここで目が覚めた時に最初に会えたのが柚希さんだった事、丁寧に色々と説明してくれた事、あの日、目が覚めた俺が混乱しないで済んだのは間違いなく柚希さんのお陰です。そして、入院生活が暇では無かったのも間違いなく柚希さんのお陰だと思ってます。」


俺の言葉に柚希さんの目が潤み始めるけど、俺がこの世界で目を覚まして倒れて、病院ここで目覚めた後にしっかりとして居られたのは柚希さんの存在だと、今なら分かるから・・・。


「だから、あの日もそしてこの一年も、今回の検査入院もいつもいつもありがとうございます。」


「そ、そんな事ないよ。仕事って事もあるけど悠馬くん自身の人柄が今の環境を作り上げたのは間違いないんだから、私がなんて関係ないよ。」


「ありがとうございます、俺が今の環境を作れたって言うならその中に柚希さんも居るんですから、俺が柚希さんに感謝してるのは変わりません。」


ぽろぽろと涙を零しながら俺に近づいて来て、そのまま抱きついて来た柚希さんを俺は受け止めてなでなでしながら落ち着くのを待つ。


「働いててこんなに嬉しかった事は無いよ。今、初めてこの仕事で良かったって思えた・・・ありがとうっ。」


「いえいえ。」


そのまま暫く時間が過ぎる・・・どれくらいの時間が過ぎたかな?気付けば・・・扉が開いて・・・またこの流れかぁ~・・・。


「ゆ・う・ま・?お・ね・え・ちゃ・ん?」


「「はい・・・。勘違いです。勘違いっ!」」


「「「しっかりと説明してもらいましょうか!!!!」」」


くっそぉ~・・・なんでだよ・・・なんでこうなるの・・・。

愛央達3人に俺と柚希さんは問い詰められながら何とか説明をして、誤解を解くのに小一時間を要するのでした・・・。

こんな修羅場はマジ勘弁・・・。


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