第192話 悠馬の居ない学校

「おはよー!って・・・3人だけ?!」、「3人共おはよう!って悠馬くんは?!」、「愛央ちゃん、志保ちゃんおはよー!伊集院先輩もおはようです!・・・悠馬くんは?」


金曜日、悠馬抜きで私達は登校してるけど、回りから何時もの挨拶の他に、あれ?!悠馬くんは?!って質問も一緒に聞こえて来る。


「やはり、悠馬さんが居ないだけで騒ぎになりますね。」


「こればかりは仕方ないよ。でも、ただの検査入院だし後で説明すれば大丈夫だよ。」


「ですねぇ。相変わらずと言うか、何というか・・・私達の恋人は大人気で誇らしいけど、どれだけの人を魅了すれば満足するのかな〜?」


「あははっ。悠馬くんは考えて無いだろうけど、愛央の言いたいことは分かる。」


「取り敢えず早くいきましょう。寒いですし囲まれても困ります。」


私達は囲まれる前にサッサと登校を済ませる事にして歩くスピードを早めるのだった。


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SIDE 1-B 愛央&志保クラス


「おはよー!」


「おはようございます。」


「二人共おはよー!」


教室に入った私達は席について直ぐ、人に囲まれた。


「おはよ!今日って三人だけなのは何で?悠馬君ってお休み?」


「うん、今日は休みだよ。」


「そうなんだ・・・。病気?」


「いえ、入院ですよ。」


「「「ぇ・・・?」」」


「そうなんだよねー。放課後は直ぐにお見舞いに行くけど今週末は病院生活みたい。」


「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!?!」」」


ほらね?言葉足りないとこうなる・・・。

これを悠馬に見せてやりたいよ・・・。


そんな事を考えながら私と志保さんはお互いに顔を見合わせて苦笑いを零すのでした。


……………………………………………………………

SIDE 2-C 清華クラス


ガラガラガラと教室の扉を開き自分の教室に入るのと同時に「おはよー。」って何時もの様に声をかけ、上着を掛けたあと、自分の机に向かって私は席に着く。


それと同時に直ぐに人が私の回りに集まってきた。


「おはよ、清華。早速だけど、今日は悠馬くんは?お休み?何かあったの?」


「うん、おはよっ。今日はお休みだよ。今週末は病院暮らしみたい。」


「はぃ?いやいやいやいや!?何でそんなに落ち着いてるの?!入院って事だよね?!」


「週末って事は短期なんだろうけど入院って大事おおごとだよ?!」


「うん、詳しくは言えないけど、病気とか怪我とかじゃ無くて、検査のためみたいだから、大丈夫だよ。」


「だとしても・・・。」


「清華は心配じゃ無いの?」


「そんな訳無いでしょ!何も無いのは分かってるけど、何かが見つかったりしたらって心配だよ。」


「だったらさー。」


「だからって焦っても仕方ないからね。放課後は直ぐにお見舞いに行くから今日は何かあっても手伝え無いからね?」


「それは勿論。悠馬くんを優先して!」


「みんな、ありがとっ!」


そして私達は先生が来るまで無駄話に華を咲かせる、その中で、昨日のふりっぺの内容を話したら皆して呆れながらもそんな部分もあるんだ?って楽しんでいたのだった。


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SIDE 1-A 悠馬クラス


んー?悠馬くんが来ない。おやすみなのかな〜?


「悠花ー、悠馬くんって見てないよね?」


私は悠花に声をかけながら近寄る。


「うんー。何かね?愛央ちゃん達も3人だけだったみたいで悠馬くんは一緒じゃなかったみたい。」


「あら?一緒じゃないって事は・・・本当にお休みかな?」


「そうかもね。でも悠馬くんが休みって何かあった時以外に無いし・・・何かあった・・・?」


そう言えば、悠馬くんが学校を休む時って何かがあった時だけだね・・・。

やば・・・何かすっごい心配になって来た・・・。


ガラガラガラっ。


「はーい、皆ー席につきなさいー!」


水無月ちゃん来た!流石に先生には連絡行ってるだろうし教えて貰えるかな?

担任の水無月ちゃんが出席を取って直ぐに質問が上がる。


「せんせー悠馬くんはお休みなんですかー?」


「そうよ、皆も気になるだろうし親御さんからは許可も貰っているから教えますけど検査入院の為に今日はお休みです。」


入院?!入院って何?!


「入院って何があったんですか?!?!」、「ぇ・・・何か病気?怪我?」、「心配・・・。」っとクラス中から声が上がってる。


「はいはい!静かに!検査入院なので大丈夫です!」


「何で検査入院なんですか?」


「その理由も話して構わないと言われてますから教えますけど、去年の話になるみたいですが、悠馬くんは一度激しい頭痛で倒れてるそうなんです。そこから大体一年経ったと言う事で念の為の検査と言う事です。」


倒れてたの・・・?しかも倒れるくらいの頭痛ってやばくない?


「はいはい!心配なのは分かります!先生も心配ですからね。でも皆さんも見て来たように悠馬くんはあの通り元気ですから変に心配しなくても大丈夫だと思います・・・と言うより信じています!」


そりゃ・・・大丈夫だとは思うけど・・・それとこれとは別だよ。

お見舞い行かないとねぇ~、悠花は行けるかな・・・?


その後、教室を出て行った水無月ちゃん、直ぐに悠花が近寄って来て話しかけて来た。


「薫、今日の放課後って予定ある?」


「無いよ、悠花は部活休める?」


「休む!って事で・・・。」


「後は愛央ちゃん達に確認して一緒に行けるなら行こうね。」


「うん!」


私達は放課後の約束をして朝の時間を過ごすけど教室の中は悠馬くんを心配する声で溢れていた。


うん、自分の好きな人が沢山の人に慕われてるのは嬉しいかなっ。


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~お昼休憩~


「愛央ちゃん、志保ちゃん、清華先輩。放課後はお見舞いに行くよね?」


「うん!勿論いくよー!」


「それさ・・・私達も行って良いかな?」


「悠花さんと薫さんもですか?勿論構いませんよ。」


「うんうん、一緒にいこー!」


「「ありがとうございます!」」


「ほんとは皆で行きたいけど、大人数で押し掛けても仕方ないし迷惑にしかならないもんね。」


「だから、私達がクラス代表で行くことにしたんだ。」


「なるほど、悠花さんは部活は休めるんですか?」


「うんっ!先輩に話したら行ってきて!って言われたから大丈夫。」


「では、何も心配はありませんね。」


「それじゃ!放課後は五人でお見舞いに行こうー!悠馬にも伝えておくね。」


そして、放課後の約束を取り付けて、その後は何でもない話をしながらお昼の時間は過ぎていく。


「ふふっ。賑やかなお見舞いになりそうですねっ。」


志保のそんな呟きを聞きながら・・・。


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SIDE 愛央


放課後になって直ぐ、私達は悠馬が入院している病院へと向かってる。

それにしても今日一日は何というか忙しかった。

休み時間の度に誰かしらが来て悠馬が休みの理由を説明しなきゃいけなくて地味に大変だった。


まぁ、それもこれもそれだけ慕われてるって事だから誇らしくはあるんだけど・・・。


「それにしても、今年は病院に来る頻度が多い気がします。」


あ〜・・・志保さんの言葉にこの一年のことを思い出していたけど確かに良く来てる気がするなぁ〜。

って待った・・・最初は志保さんが理由じゃなかった?


「志保が最初の理由だったと思うけど?」


清華さんがジト目で志保を見ながらツッコむのを私も見てると、バツが悪そうな顔をして志保さんは目を逸らす。


「うぅ・・・墓穴掘りました・・・。それは兎も角、来年は来ないことを祈ります。」


「まーそこは、同意するけど。」


「でも確かに志保義姉さんじゃ無いですけど、多かったですね。そして、それこそが始まりだったんでしょう。」


「始まりって?」


途中から一緒になった菜月ちゃんの言葉に私は疑問をかえす。


「いえ、多分ですよ?兄さんが倒れて、担当が柚希さんになったことで、兄さん風に言うなら縁が出来たのでは無いかと?」


「あぁ、成る程。その結果、愛央さんと知り合い、私、清華さんって物語が始まったと言うことですね。」


なるほど?そう考えたらお姉ちゃんに感謝・・・?

ぇー・・・、それは何かやだ。

そんな事を考えているうちに病院に着いた私達は受け付けを済ませ、悠馬の病室の前に立つ。


「悠馬ー!入るよー!」


コンコンっとノックの後に個室の扉を開いて中に入った私達の目の前に飛び込んで来たのは・・・。


「「「「?!?!?!?!?!」」」」


「ゆーまー?おねえーちゃーんーー?ナニをしてるのかなぁ〜〜〜!?!?!?」


悠馬の胸に自分の胸を押し付けて顔を赤くしてキスする手前みたいな距離で悠馬を見詰めてる姉と、私達に見られて何処か焦った感じになってる悠馬だった。


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