第191話 入院
「はぁ・・・。仕方ないとは言え・・・これはなぁ~・・・。」
俺は今、入院着に着替えて病院の部屋に居る。
それと言うのも、倒れてからというか俺がこの世界に来てからそろそろ一年が経とうとしてる。
この一年は本当に忙しかったと思うけど、それ以上に大切な出会いと経験と沢山の数え切れないことがあった。
「本当の事は言えないし、母さんからの打診を断る理由が無かったんだよなぁ〜。」
数日前の夕飯の時に母さんから話があった。
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〜数日前の夕飯時〜
「悠ちゃん、そろそろ倒れてから一年になるし、一度、検査してみない?」
「あ〜・・・そっか。あれからもう一年になるんだ。」
「大変でしたねあの時は。この一年もですけど・・・。」
「ごめんって。でも、楽しかったよな?」
「ですねっ!新しい出会いも沢山のイベントも大変な事もありましたけど、楽しかったのは間違いないです。」
「ふふっ、そうね。あの時は死ぬよりも苦しかったけど、その後の一年は本当に沢山の事があったわね。」
「うん。運命の出会いもしたし・・・っと、それで検査って?」
「えっとね?何も無いなら越したことは無いけど、気付かずに何かあったら大変でしょ?この間、柚希さんから電話があったの、病院経由だけどね。」
「なるほど、それで一度は検査してみませんか?って事か・・・。」
「そうなの。どう?悠ちゃん。」
検査ねぇ〜、身体は何ともないけど、母さんは勿論だけど、菜月も心配なんだろな・・・顔が語ってるし。
「はぁ・・・分かった。検査は受けるよ。予約とか頼んでいい?」
「ありがとっ!その辺は任せておいてね!」
「んーん。心配かけたし、俺も気になるし、何も無いなら無いで安心出来るし必要な事だと思う。」
「それじゃ、早速だけど連絡してくるわ!」
「そんなに急がなくても・・・ママってば・・・。」
「あはは。まぁ、それだけ考えてくれてるって事だろうし、嬉しいさ。」
って言うやり取りがあり、予約が取れたのが金曜日からの泊まり込みだった。
結果・・・学校はサボり、愛央達には入院するから金曜日はお休みしますってだけ連絡しておいた、柚希さんから愛央が聞いてるだろうしね。
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SIDE 愛央
「ぁぇ?・・・入院ってなに・・・?」
悠馬から私達4人のフリッペグループに入院しますと、届いたのを見て私は混乱した。
志保さんも清華さんもどう言う事?!って大騒ぎになってるけど、ほんとにどう言う事?!だよ!!
~悠馬のお嫁さんになり隊グループ~
:待ってください!どういう事ですか?!
:待って!待って!詳しく話してよ!!
:ちょっと?!悠馬くん!!!スルーしないで!!!
:ちゃんと説明してよ!悠馬!
既読3のままで4にならないし!悠馬だけ見て無いでしょこれ!!!入院するってだけじゃ分からな過ぎて困るってば!!!
「あぁぁぁぁもうっ!!!何だって言うのさー!」
♪~♪~♪柔い斜陽♪~♪~♪見送った♪~♪~♪
「はい!もしもし?!」
「あ、愛央義姉さんですか?兄さんから連絡行きました?」
「それ!入院するってだけフリッペに届いて私達大混乱だよ?!何があったの!!!」
はぁぁ・・・兄さんってば・・・っと電話の向こうで菜月ちゃんが大きなため息と共に言ってるのが聞こえる。
ん-一度に説明したいので一回切りますね?義姉さん達とのグループでかけ直して話します。」
「うん、分かった。直ぐね?」
「勿論です、このままじゃ気になって寝れないでしょうし・・・。」
ほんとだよ!ほんとに寝れなくなるっての!
その後、直ぐに菜月ちゃんが繋ぎなおしてくれて私達は詳細を知る事になった。
「つまり、柚希さんの提案で検査入院をすると言う事ですか。」
「愛央は何も聞いて無いの?」
「聞いて無いよ・・・お姉ちゃん・・・。」
って言うかここ数日は会えてないっけか・・・夜勤が続いてるしね、お姉ちゃん。
「柚希さんも仕方ないですねぇ・・・。でもそうですか・・・。」
「どうしたの?志保。」
「いえ、もう直ぐ悠馬さんと知り合って一年も立つんだなっと思いまして。」
確かに、そう考えたらこの一年は早かった気がする。
「そう言われると何か不思議な気分だね、この一年は時間が過ぎるのが早かったし本当に、色々な事もあったし。」
「ですね。受験の日に悠馬と知り合って、志保さんと一緒に仲良くなって・・・。」
「清華さんとも知り合って、愛央さんが悠馬さんに告白されて断って・・・。」
それは言わないでよ・・・。
「私と志保で焚きつけて、悠馬くんの好きを舐めるな!があってかぁ~・・・。」
「二人共意地悪だよ・・・。その後は、志保さんの事件があって、清華さんの事があって・・・。」
「海への旅行、学園祭、スキー旅行っと色々な事あったもんね。」
うん、本当にこの一年は今までの人生でもっとも濃くて楽しくて何よりも・・・。
「とても大切な一年でした。」
「あははっ。私も同じ事思ってた。」
「私もっ。」
「義姉さん達もですかっ。私もです。」
私達は悠馬のお陰でとても大切な掛け替えの無い時間を過ごして居たのは間違いがない。
そして・・・それはこれからも続くんだ。んーん・・・絶対に続ける!悠馬と志保さん、清華さん、菜月ちゃん、葵さんって沢山の人と手を繋いだ。
この手は絶対に離さない!
「取り合えず、詳しくは分かりました。金曜日は悠馬さん抜きで登校ですね。放課後は、お見舞いですかね?」
「お見舞いって言うのも違う気がするけどっ。」
うんっ。笑いながら言う清華さんに私達は笑いながら放課後の事を話しながら喧しく時間が過ぎて行った。
「まぁ・・・説明不足の悠馬には後で文句言いますけどね!」
「だね!言葉足りなすぎる!」
「悠馬さんの悪い癖なんですかね・・・?面倒になると説明省くの・・・。」
「ん-・・・兄さんの事だから柚希さんから愛央義姉さんが聞いてるだろうしその一言で充分だと判断したんじゃないでしょうか?」
「「「あぁ・・・成る程。それはありそうっ。」」」
私達の答えが綺麗に重なる結果になりました。
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「さて、それじゃー今日からよろしくね?悠馬くん。」
「こちらこそ、宜しくお願いします。」
あの日に入院した部屋と同じ部屋、そして担当も変わらずに柚希さん。
「担当が柚希さんで安心しました。他の人が駄目な訳じゃ無いけど安心感って言うか・・・。」
「ふふっ。葵さんからの希望でもあるしね。変にストレス与えて出なくて良い悪い結果とか出ても悠馬くんは勿論、私達も困るからね。」
「ですね。ただの検査入院とは言えね。柚希さん・・・っと柚希義姉さんって呼ぶべきですかね?」
「どっちでもいいよっ。義姉さんって言うのも捨てがたいけどぉ・・・恋人っぽく柚希って呼び捨てでも良いよ?」
そう言って身体に科をつけていたずらっぽくそんな事を言ってくる。
とってもえっちな身体の柚希さんにそんな事、言われたらこっちのがやばいってのっ!
「な、何言ってるんですか・・・科をつけないでくださいよ!唯でさえ柚希さんは魅力的なんだからっ!」
「あははっ。ごめんね?でも私もまだまだ捨てたものじゃないみたいで安心安心っ。」
「全く・・・捨てたものどころか知り合った時から魅力的だと思ってますよ。」
あらあらっ///っと顔を真っ赤にしてわたわたしてる姿がどうしても愛央と重なってやっぱり姉妹なんだなぁ~っと思った。
「兎に角っ。色々と宜しくお願いします。」
「うん、こちらこそよろしくお願いしますっ。」
金曜日の午前中、俺の入院生活(一泊か二泊)はこうしてスタートしたのだった。
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