第178話 冬旅行!

「ふぅっ。」


上からスキーで一気に滑り降りて来たけど、この身体のスペックと前の経験から特に苦も無く滑り降りる事が出来た。


「いけんじゃん俺!」


回りを見渡すと同じ様なスキーやスノボのお客さんから注目を集めてるのが分かるけど、何時もの事なので流石にもう気にならない。

愛央達は大丈夫かな?っと斜面を見上げると凄い勢いで滑ってくる人が・・・。


「きゃぁぁあぁぁぁぁ?!ゆーまー!たーすーけーてーっ?!」


「ぉ、おわぁ!!ワザと倒れろ!」


俺に向かって滑ってくる愛央を受け止める為に直ぐに板を外して踏ん張る!


「きゃぁぁぁぁっ!」


「ぐぺぇぇ?!」


俺の前で倒れた愛央に足を取られて愛央に覆いかぶさる形で一緒に倒れながら愛央を止める。


「うぅぅ・・・ご、こめんっ!!」


「うへぇ、雪食べた・・・、怪我は無いか?愛央。」


「う、うんっ。大丈夫だけど・・・ごめんねぇ~・・・。」


「良いってっ。慣れるまでは仕方ないさ、転んで覚えるも「二人共どいてくださいーーーーーー!!!!」のだし・・・?」


「「ぎゃぁぁぁぁぁ?!」」


ドシャァァっと愛央の後から志保が俺達に突っ込んで来てそのままぶっ倒れた。


「うぅぅぅ・・・ご、ごめんなさいっ!お怪我は?!」


「平気・・・へーき・・・ごふぅっ。」


「きゅぅぅぅ。」


志保の突進で俺も愛央も流石に立ち上がる途中では、耐えきれずにそのまま倒れ、3人揃って更に雪まみれになった・・・。


ザシャァァっ!っと清華が綺麗に俺達の近くで止まり俺達を見下ろしながら手を差し伸べて来る。


「3人共大丈夫?」


「あぁ、何とかな・・・。流石に二人同時には支えられなかったわ。」


「うぅぅぅ・・・本当にごめんなさい・・・。ありがとうございます、清華さん。」


「まさか志保さんまで突っ込んで来るとは思わなかったよぉ~。ありがとっ!清華さん!」


「いえいえ、3人とも大丈夫?怪我してない?」


「はい、なんとか。清華さん、凄いですね。」


「ほんとほんと!余裕で滑れるじゃんっ!」


「私はほら、修学旅行が北国だったから皆でやって覚えたんだよ。」


「いてて、それでちゃんと滑れる訳ね。」


「悠馬くんだって滑れてるじゃないー!そっちの方が驚きだよ?」


「ですね。何故です?」


「何故と言われてもな〜・・・出来ちゃったのは仕方ないしさ。」


元の世界での経験があるなんて言えないからごり押すしかない。


「まぁ、悠馬くんらしいけどっ。」 


「にいーさーんー!」


俺を呼ぶ声と共に菜月もゆっくりと滑り降りてくる。

愛央や志保とは違い自分で操作しながらしっかりとだ。


「とうちゃくっ!どうでした?!出来てました?!」

「おうっ!ちゃんと出来てたぞっ!菜月もやるねぇ〜!」


「えっへへっ///義姉さん達は大丈夫でした?二人とも凄い勢いで滑ってましたけど・・・。」


「うっ・・・。」


「くぅ・・・。」


「ふ、ふふっ。二人とも転んだよ!悠馬くんを巻き込んでっ。」


「むっ!!兄さん!怪我は無いですか??」


「俺は大丈夫。取り敢えずまた上に戻ってゆっくりと練習しながら滑ろう!」


「うん!次こそはっ!!」


「私もです!!」


俺たちは揃ってリフトに乗ってまた初心者コースまで戻る、何度か繰り返して一日かけて練習した結果、愛央も志保も滑ることが出来るようになったのだった。

初心者コースは・・・だけどっ。


……………………………………………………………

ふう、疲れた~・・・。俺は一人部屋のお風呂に入りながらゆっくりと今日の事を思い出しながら疲労した筋肉をほぐしていた。


「あっちでの経験が役に立って直ぐに滑れるようになったから良かったけど、愛央と志保は苦労してたな~。」


菜月は直ぐに滑れるようになってたけど、その辺は流石って感じか。


「うっしっ!そろそろあがろうっと、夕飯は皆で集まってだし遅れる訳にも行かないしな。」


パパっと風呂から上がり準備をした俺は部屋で時間まで待機していると、コンコンっとノックのノックの音がした。


「はいよー、直ぐに行く。」


持つものを持って俺は部屋の扉を開けると、愛央と志保と清華が扉の外で待っていた。


「うっ・・・。」


「うん?どうしたの?」


「あ~・・・いや・・・。迎えに来てくれてありがとう。行こうか。」


「悠馬さん?どうかしたんですか?」


「顔が赤いけど大丈夫?悠馬くん。」


「大丈夫っ!何でも無いから!」


俺は3人の風呂上がりの色気に顔が真っ赤になってるのをごまかす様に歩き出す。


「ん~?ほんとに?風邪引いたとかじゃない?」


「大丈夫だって!単純に、お風呂上がりの3人の色気に負けそうになっただけだからっ。」


「「「えっ///」」」


「はいはいっ!良いから行くよー!」


真っ赤になった3人を連れて俺は食事会場に向かうのだった。


------------------------------------------------------------

「雪男?」


「うんうん、この辺の山には雪男伝説があってね。」


「あー!私も聞きましたよそれ!自分の好みの女性を雪山で遭難させてーってやつですよね?」


「それよそれ!だから愛央ちゃん達は気を付けないと駄目ね!勿論だけど菜月ちゃんもね!」


雪男って・・・毛むくじゃらのでかいゴリラってイメージしか無いんだけど・・・?


「それってどんな見た目なの?」


「えーっと・・・女性なら誰でも惚けてしまうようなイケメンっと言うかその女性の理想の見た目になるみたい。」


「それで、上手いことやるって訳か・・・。」


雪山、遭難、異性・・・雪女じゃね?元の世界の雪女のこっちバージョンって感じか?


「やっぱり最後は命を奪う感じ?」


「そう言う話もあるけど氷漬けにして保存して歴代の女性の氷像をコレクションしてるって話もあるわねぇ~。」


「なるほど・・・。まぁ、雪山って言うか山にしても海にしてもオカルトは付き物か・・・。」


しょーも無いとは思うけどあっちでも似たような話なんてそれこそ世界全土にあるしおかしくはないか。


「それにしても、雪男ねぇ~・・・。」


「何か気になるの?」


「あぁ、いや。雪女じゃ無くて雪男なんだなーってさ。数少ない男をコレクションみたいな?」


「あぁ・・・。確かにそう言うのもあるかも知れませんね。」


「そう言われると確かに不思議だね~。疑問に思った事無かった・・・。」


まーオカルト何てそんなもんだよねぇ~、聞いたままを受け入れたりとかってのが普通だしな。

訪れた温泉宿周辺のオカルトや見どころ等を色々聞いたり話したりしながら俺達の夜は更けていく。


取り合えず・・・3人に迫られましてね?明け方まで頑張る事になったんですよっ。

全身筋肉痛になるわっ!


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「兄さんっ!おはようございますっ!」


「うん、菜月・・・おはよう・・・。」


「義姉さん達もおはようございます?って何かつやつやしてません?」


「「「そ、そんな事無いよ?!///」」」


「悠ちゃん・・・やつれてない?」


「うふふ・・・あはは・・・大丈夫だよぉ~?母さん、菜月。」


「全然!大丈夫じゃないじゃない・・・ちょっと?!」


「ん、少し休めば平気平気!・・・取り合えずの栄養剤くれっ。」


俺は朝食を皆で食べた後、昨日の頑張りで色々と足りてないものを補給して、何とか動けるようになった後、今日はゆっくりと楽しもうと決めて準備を始めるのだった。

3人同時に相手するもんじゃねーな・・・マジで・・・。


その後、昨日と同じくリフトで一度上まで行きゆっくりと滑って来る、愛央も志保も慣れたらしく、同じ様に滑りながら楽しんでいた。


「あら・・・少し吹雪いてきましたね。」


俺と志保の組み合わせで何度目かのリフトでの移動の最中に雪が強くなって来たのを心配するかのように志保が呟く。


「そうだなー。滑り降りてから収まるまで宿に戻ったほうが良いかも知れないな。」


「ですね。降りたら皆さんに提案しましょう。」


「だな。降りるのも出来るだけ急いだほうが良いかもしれないな・・・。」


リフトを降りて全員にこの一回で戻ろうと提案すると全員が納得してくれてこの一回を最後に戻る事にするのだった。


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SIDE 清華


んー・・・これは不味いかも・・・。


「前が見えなくなってきた・・・。」


「清華!大丈夫か?!」


「あ、うん!でもこれ、やばくない?」


「あぁ、ちょっとまずいかもな。出来るだけ急ごう。愛央!志保!菜月!少し急ごう!」


「うん!強くなってきたし不味いかもね!」


「はい、急ぎましょう!菜月さん大丈夫ですか?」


「私は大丈夫です!義姉さん達も気を付けてください!」


菜月ちゃんの言葉を最後に私達は出来るだけ急いで滑り降りる。

皆も慣れたとは言えこんな状況ではそれほど急げるわけじゃ無い・・・悠馬くんも私達の後ろから降りて来てくれてる。


「前が・・・余り見えない・・・。」


私はゴーグル越しとは言え余り見えない前を見ながら皆を、見失わないように滑り降りるけど・・・。


「清華っ!」


「えっ?!」


何時の間にかルートからズレたのか・・・私はコース外に滑り降りてしまい焦ったからか、体勢を崩し倒れ込みながら落ちる。


「くっそっ!間に合えっ!」


悠馬くんのそんな言葉が最後に聞こえて来た気がするけど、私はそのまま雪にまみれながら落ちて行くのだった。


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遅くなってすいません!

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