第9章 冬の時間

第177話 同窓会

「同窓会?」


「はい、週末に中学時代の同窓会があるんですよ。」


「参加するって言ってあるんだけど、悠馬も来ない?」


今週末に愛央と志保の同窓会があるようだ、そう言えば中学卒業して、一年も立たずにあったっけな〜・・・。

特に何も変わらないだろと思いながらも参加したな、そういや。


「俺も、って・・・無関係なのに?」


「いや〜、それがさ〜・・・。」


「愛央さんと私が、悠馬さんとお付き合いをしているのがバレて居まして、連れてきてよ!と言われているんですよね・・・。」


「う、うん。そうなんだよね。だからお願い出来ないかな?ほら!私を支えてくれて居た人達だしさ。」


あ、そうか。あいつらから、庇ったり守ったりしてくれていた人達か。

それなら、俺も一度は会ってお礼言わないとな。



「良いよ。俺にとっては恩人だもんな。お礼も言いたいし、清華も修学旅行で居ないもんな。」


「そうだねぇ〜、愛央を支えてくれていた人達だから、無理難題は言わないだろうし、恩人だもんね。それに、愛央達と居てくれれば私も安心だしね。」


「そ、それじゃ〜・・・良いのかな?」


「おうっ!参加させてもらうよ!楽しみだっ。」


「やったぁ!一緒に、行けるっ!」


「良かったですっ!更に楽しみになりましたねっ!」


同窓会ねぇ~・・・まぁ、彼女出来てたり初体験を済ませて居たり、頑張って入った高校を退学していたりとか色々なやつ居たっけなぁ~・・・。

そんな事を考えながら3人のやり取りを俺は眺めていた。


------------------------------------------------------------

「さって、それじゃー行こうか?」


「「はいっ!」」


俺は愛央と志保を連れて同窓会の会場に向かう、一つ気になる事があるとしたらあいつらが来るのかどうか?本当に改心しているのかどうかだ。


あの夏の日、愛央が決着をつけた日、愛央に言われた事をあいつらがやって居るのかが少し気になる。

まぁ・・・やって無いなら無いで構わないけどね。


そのまま、柚希さんの運転する車に乗せられ、会場に向かう。

二人もオシャレをしててとても綺麗で連れて歩ける俺の鼻も高い。

普段も可愛いけど、綺麗な感じの二人も良いね!


「それじゃ、帰りは迎えに来るからね。」


「わざわざすいませんっ。終わったら連絡しますね。」


「お姉ちゃんありがとー!楽しんで来るねっ!」


そうして恋人たちに挟まれて俺は会場の入り口まで進んでいく。

左右から感じる二人のおっぱいがさぁ~・・・、愛央は元々大きいの分かってるけど志保も少し大きくなったかな?

何て事を考えながら受付まで歩いて行く。


「あっ!あお・・・ちゃ・・・?」


「嘘っ?!まじでっ?!志保ちゃんも一緒だけど!間の人!!!???」


「わぁ~・・・大騒ぎだ・・・。」


「仕方ないかと思いますが・・・と言うか呼んだのはそちらでしょうに・・・。」


「叶うと思ってなかったんじゃないか?多分。」


「それは有りそうですね。一先ず受付けを済ましてしまいましょう。」


二人に連れられた俺を見てわちゃわちゃしてる受け付けの子の元に歩いていき受け付けを済ませ会場に足を踏み入れた俺達を待っていたのは、俺の姿を見た子達の黄色い歓声だった。


……………………………………………………………

SIDE 愛央


「う〜ん・・・凄い人気・・・。」


「それはそうですよ。」


悠馬を連れて会場に入った私達を待っていたのは私と志保さんを歓迎する声と、悠馬の姿を確認した皆の喜びの声だった。


「あのっ!あのっ!悠馬くん!」、「あっ!飲み物どうぞっ!」、「学園祭のライブ見ました!凄かったですー!」、「毎回、放送も楽しくていつも楽しみにしてます!」、「あのぉ〜・・・サインとか写真とか良いですか・・・?」等など・・・。


分かっては居たけど凄い人気・・・、むぅ〜・・・ちょっとモヤモヤ・・・。


「悠馬さんが皆さんに認められてるのは嬉しいですし誇らしいですが・・・少しモヤモヤしますね・・・。」


どうやら志保さんも同じ気持ちみたい。


「だねぇ〜・・・無理やり何かをしようとしてないから良いけどさ〜、何かちょっとねぇ〜・・・。」


「あっ!抱きつきました!あれはだめです!」


「こら!抱きつくのはだめ!悠馬も鼻の下のばしてないの!」


「伸ばしてないだろ?!」


「おっとぉー!愛央っちの嫉妬の炎がバーニングだっ!」


「志保ちゃんも怒ってるしだめなやつだ!」


「わ、悪い?!彼氏が他の女にデレデレしてたら妬くよそりゃ!!」


「そうですよ!悠馬さんは私達のですっ!!」


「うひゃー!ご馳走さまです〜!!」


「めっちゃ好きぴじゃーん!!」


全く!皆して私達で遊ぶなー!くっそー!連れて来なければ良かったかな〜!


「はいはい、その辺でな?俺の愛しのお姫様達で遊ばないでくれ、そろそろ勘弁してやってっ!」


「「っ//////」」


「二人とも真っ赤っ!可愛すぎっ!」


「でもさ、ほんとに良かったねっ。愛央ちゃんが清蘭に行くって聞いてさ、やっぱりうちらとは離れたいのかな?って思ってたんだ。」


「うんうん、でもさ、こうやって同窓会するって誘いにも応えてくれたし、悠馬さんって言う最高の誰もが羨む相手も捕まえた訳じゃん?」


「それに、最初のモールの件の時は悠馬さんに任せきりだったのが、夏には自分から立ち向かって解決もしたわけだしさ。」


「ほんとびっくりする位に強くなったよね。私達はさー、愛央ちゃんが自分の足で立って悠馬さんの隣に自信持って立ててるのが本当に嬉しくて誇らしいんだよ?」


「み、みんなぁ〜・・・。」


こんなの無理だよ、ずるいって今そんな事言うの・・・。


「それに、志保ちゃんも!いきなり転校して来て回りと馴染もうとしなかったのを愛央ちゃんが一緒にいるようになって明るくなって来てだったから特に気にしない様にしていたけど、あんな事があったなんてさ。」


「そうそうっ!それも悠馬さんのお陰で解決して憂いなく悠馬さんを支えられる様になったのが本当に嬉しい!」


「み、皆さん・・・ありがとうございます・・・。」


「ぅん・・ありがとっ。」


「良かったな二人共?凄く良い仲間に恵まれてるな。」


俺はそう言って涙声になってる二人を抱き締めて、落ち着くまで宥め続けた。


「そうだ・・・俺からも。中学時代の愛央を支えてくれて本当にありがとう。お陰で俺は愛央と志保と出会えた、本当にありがとう。」


「いえいえ!愛央ちゃんは私達のリーダーですし友達ですし!当たり前ですっ!」


「リーダーだってよ愛央っ。リーダーって呼ばないと駄目かな?これっ。」


「もうっ!揶揄わないでよっ!」


「ごめんってっ。でも、本当に良かったな?良い仲間に恵まれてる。志保も愛央と居てくれてありがとう、そして出会ってくれてありがとうっ。」


「私の方こそ、私達と出会ってくれてありがとうございます。」


「うん、これからもよろしくな?」


「「はいっ!」」


………………………………………………………

そこからは、和気あいあいとしながら同窓会を楽しんだ。

何時もの質問を捌きながら分け隔てなく会話して、愛央と志保の昔の事を聞いたりしながら過ごしていて、ふと気になった事を聞いてみた。


「そう言えば何だけどさ・・・?」


「どうしたんですか?悠馬さん。」


「いやさ。ほらっ。愛央をイジメていたあいつらって結局どうなったのかな?ってさ。あの、夏の日以来見てないからさ。」


「あ〜・・・謝罪に来ましたよ?門前払いしましたけどね。」


「うちもうちも!今更だよねー正直。」


「そりゃ私らは何かをされてた訳じゃ無いけど愛央ちゃんにしてたのを見せられてただけで無いっての。」


へぇ〜・・・口だけじゃ無くちゃんとやってたんだ。

周りの同じ様に謝罪に来てた子達も同じ様な事を話してるのを聞きながら様子を伺っていると愛央と志保が話しかけてきた。


「ねぇ、悠馬・・・。」


「悠馬さん、あの・・・。」


俺はその呼びかけに頷いて了承の意を示すと、二人とも嬉しそうに頷いた。


「あのさっ!皆!ちょっと聞いて!」


「うん?どうしたの?」


「あのね!もしまた、謝りに来たらちゃんと話を聞いて欲しいんだ!」


「えっ?マジで言ってる?」


「う、うん!あの夏の日の事は皆もそれなりに知ってると思うんだけど、最後に謝罪して回れって言ったのは私なの。」


その言葉に周りは驚きながらも静かに聞いてる。


「最後に、私がはっきりと許さないって、本当に改心するなら、謝罪して回れってこれからは私のような人を生み出すなって、守る側に回れって言ったの。」


「それに、あの人達は真剣に同意して必ず愛央さんの言う通りにすると言っていました。ですから・・・。」


「ちゃんとやってたのは驚いたけどちゃんとやってるならそれには応えて欲しい。」


「私からもお願いします。」


「思うところはあるだろうけど、被害者本人の愛央がこう言ってるんだし、許せとは言わないが話くらいは聞いてやっても良いんじゃないかな?」


俺達の言葉にお互いに顔を見合わせ困惑顔をしたりしてる。

でも・・・何処か落ち着く部分があったのか、数瞬してから、ポツポツと頷いた。


「うん、分かった。許しはしないけど、追払うこともしないよ。」


「そうだね、話くらいは聞いてもいいかぁ〜・・・。」


「ほんとはさ、今日も呼んで全員の前で土下座させようと思ってたんだけど、皆も会いたくないって言うし、いくら夏の事があったとしても愛央も会いたくは無いでしょって思って声かけるの止めたんだよね。」


「そうなんだ。来たら来たで話したけど・・・。」


「ですね、行動しているのか?と確認しましたね。」


「そっかそっか!それなら呼べば良かったかな〜?」


「ねぇねぇ!今回だけじゃ無いよね?やるの。」


「そのつもりだよ?流石に数年は開けると思うけど。」


「ならさ!その時はちゃんと呼ぼう!それで改めて話してみたいな!」


「分かった。愛央が言うなら次は声をかけるよ。仲間外れは無し!」


「うんっ!」


「良かったな。流石はリーダーっ!」


「ちょぉ!リーダーは止めてよー!悠馬のばかっ!」


「ふふっ。そうは言ってもリーダーっぽかったですよ?」


「志保さんまで!?柄じゃ無いってぇ〜っ!」


そうして、わたわたとしてる愛央をからかいながら、愛央と志保の同窓会を最後まで盛り上がって楽しんだ、ほんとに良い仲間に囲まれてるよ、二人とも。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

はいっ!そんな訳で愛央と志保の同窓会を書いてみました!

皆さんはどうでした?ありませんでしたか?

俺は実際に高校一年の冬に中学3年の同窓会があったのを思い出してネタにしてみました。

思いつきのネタではありますが、楽しんで貰えたら嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る