第174話 戦闘開始
「いきなりだったのに対応してくださってありがとうございます。」
「いえいえ!今、話題のYouMaからご連絡を戴ける何てとても光栄です。」
「そう言って頂けて幸いです。お忙しいでしょうに本当にありがとうございます。」
「そんなっ!そんなっ!ささっ!狭いですが事務所の案内をさせて頂きますねっ!」
事務所に電話した日から数日後の週末に俺はとある事務所の見学をさせて貰う事になった、勿論の事・・・詩音の所属していたクソ社長の事務所だ。
「ぉぉぉ・・・こんな風になってるんですねぇ~。芸能事務所ってもっとうるさくて社員さん達とタレントさんが走り回ってるイメージでした。」
「あははっ。そんな事無いですよー、さぁ!さぁ!お好きなだけ見学してくださいっ!」
「はいっ!ありがとうございます。それでは・・・。」
俺は俺からの電話を受けてくれた人の案内の元、事務所内を見ていく、俺の予想に反して人が少ないのがやはり気になる。
「あの、やっぱり人が・・・「まぁまぁ!ようこそいらっしゃいました!YouMaさん!」・・・貴女は?」
「初めまして!この事務所の社長をしております!本日は真にありがとうございます。」
「あぁ、それはわざわざありがとうございます、こちらこそお忙しいでしょうにお邪魔してすいません。」
うん?YouMaさんからこいつが例のクソ社長かってボソっと言ったのが聞こえて来たんだけど・・・?気のせいだよね・・・?
「この様に見学に来ていただけると言う事は私の事務所に興味がおありなんでしょうか?」
「そうですねぇ~・・・まだ色々と決めかねては居るんですけどね。」
「成る程っ!では、こちらにどうぞっ。仮にですがご契約いただけた場合の条件等のお話をさせていただけませんか?」
「ん~・・・まぁ、事務作業を詳しく見る訳にいきませんし他の施設に関しての見学が終わってからでも構いませんか?これだけ大きいんですしレッスン場みたいなのもあるのでは無いですか?」
「勿論ありますよっ!お好きに見学してくださって構いませんので終わったら社長室にどうぞっ!お待ちしていますので!」
「分かりました、それではその流れで宜しくお願いします。それと、案内に彼女を借りても?」
「はい!良いですよっ!あなた、ちゃんとYouMaさんをご案内と所属タレントからも守りなさいよ!これは命令です!」
「は、はい!勿論です!・・・ではYouMaさんこちらにどうぞっ。」
「ありがとうございます、それでは社長さんまた後で・・・。」
「行ってらっしゃいませっ!」
さって・・・ここからか・・・っとYouMaさんは社長から離れながら聞こえない様に呟いてるのが聞こえる・・・何を考えてらっしゃるので・・・?
少し不安になりながら、私はVIPを案内する様にYouMaさんの案内の続きをするのだった。
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SIDE 詩音
「それじゃ、今日の午後の会見から正式にデビューの挨拶をして、その後にデビュー曲の披露の流れ、大丈夫?詩音。」
私は今、雪村社長と引き続きマネージャーをしてくれている九羅華さんと打ち合わせをしている。
予定通りなら私の記者会見で何故こうなったのかの説明を行ってデビュー曲を披露する、勿論の事、生放送だ。
「それにしても・・・悠馬さんも思い切りましたね・・・、まさか乗り込むとは・・・。」
「えぇ、九羅華さんから受け取った発言の証拠も持って表向きは事務所の見学と言う事で・・・。」
雪村社長と九羅華さんがそんな事を言ってるけど、確かに無茶苦茶だと思う・・・あの事務所に突っ込んで私の記者会見に合わせて暴露して叩き潰すと言っていた。
「何と言いますか・・・私の会見に合わせて暴露するとは言ってましたけどその程度であの社長が折れる訳は無いと思うんですけど・・・。」
「そうよねぇ~・・・何をやるつもりなんでしょう・・・?」
本当に何を考えてるんだろう?少し楽しみではあるけど、怖いなぁ~・・・。
そんな事を考えながら最後の打ち合わせを進めて行くのだった。
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俺は最初から案内してくれてる女性と共に事務所内のレッスン場を見学している、未だに所属しているタレントの子達が真面目にレッスンをしてるのを眺めているけどたまにチラチラとこっちを見てるな。
「集中しないと怪我するでしょうに・・・。」
「あ、あはは・・・この事務所所属のタレントもYouMaさんのファンって子が多いですから仕方ないですよ。」
「そんなもんですかねー、俺なんて一般人でしか無いのに。」
「一般・・・人?」っと案内をしてくれてる女性が首を傾げてるのを気にしない様にしながら、一つの提案を始める。
俺はスマホを取り出して一つの文を打ち込んで彼女に見せた。
「えっ?!・・・すいません・・・。これはどう言う・・・?」
「そのままの意味ですよ、どうします?乗るか反るかどっちでも構いませんよ。」
俺が彼女に見せた文面はこれから詩音が生放送で記者会見をします、そこでは新しい事務所に所属してる事、何故、辞める事になったのかを全て暴露します。マネージャーだった星谷さんも一緒に居ますっと言う内容だ。
俺の問いに真剣に考え始めた彼女は自分のスマホを取り出して俺と同じように文を打ち込み俺に見せて来る。
「そうですね、本人次第ではありますけど、あっちで受け入れる事も可能でしょうね。」
「乗ります、乗らせてください。星谷先輩まで辞めてしまって正直な所どうすれば良いのか分からなくなって居たんです・・・。」
「んじゃ、決まりですね。取り合えず社長室に向かいましょうか、当然の事ですが・・・あれをやりながらね?」
俺は彼女を引き連れて一緒に社長室に向かう、ここからが本番だ。
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SIDE 詩音
「それでは、只今より雪村グループに拠る記者会見を始めたいと思います。」
「皆様、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます、雪村グループ代表取締役、雪村 玖美子です。」
遂に会見が始まった、私はまだ出番では無いのもあって待機しているけど凄い数の記者さん達。
「詩音、大丈夫?」
「うんっ。不思議だけど全然、緊張してないの。」
「そうっ、それなら良かった。」
色々と玖美子さんの発表が続いて行く、そろそろかな・・・?
「それでは、次に新事業部に関する発表をさせていただきます。」
ざわざわと会場が煩くなる、遂に出番が来た・・・!
「我が雪村グループでは新しく芸能事業部を立ち上げました、そこでは社の新製品のモデルや、タレントを売り出していきます。」
「既に所属しているタレントはいらっしゃるんでしょうか?!」
「雪村グループはYouMaさんとも繋がりがあるという話もありますがまさか?!」
「お静かに!一つずつお答えしますがYouMaさんとは面識はありますが、その程度です。そして所属するタレントに関してですが、既に決まっております。本日はそのタレントも紹介させていただきます。」
来た!すぅー・・・ふぅー・・・。
「それでは、奏 詩音、改め、詩音さんこちらにどうぞっ。」
私はざわざわとしている会場に呼ばれるままに入場しここから新しく始まるんだと気持ちを新たにした。
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コンコンっと社長室の扉をノックして返事を待つ。
「はい、どうぞ。」
「失礼します、お待たせしました。」
案内をしてくれた彼女に続いて俺も室内に入る。
社長の案内の元ソファーに座り、案内をしてくれた彼女の用意してくれたお茶を口にしながら一息。
「いかがでした?」
「色々と施設が揃って居て驚きました。これなら他にレッスン場等を押さえなくても良いですし経費も押さえられますね。」
「そうなんです!流石はYouMaさん!良くお分かりですねっ!」
俺の称賛に気分も良さそうに色々とべらべら話してくれてる。
「社長、その辺で・・・YouMaさんも反応に困ってますし・・・。」
「これは失礼・・・。えっと、こちらが簡素なものではありますがこの様な契約をしています。」
「拝見してもよろしいので?契約をする為に訪れてる訳では無いですよ?」
「それは理解してます、他の事務所さんを見学に行ったとしても同じように条件は提示されると思いますし、お気になさらず。」
「そうですか、それでは、失礼して・・・。」
へぇ~・・・表向きはまともな事書いてるじゃん、これで契約させて思い通りに動かなきゃ違約金を押し付けて破滅させるって手口か・・・。
「そう言えば、俺には妹がいるんですけどね?」
「え?えぇ、存じてますが・・・。」
「その妹がですね?奏 詩音と仲が良いんですよっ。」
「そ、そうなんです・・・か?」
「えぇ、今回のこの事務所を見学したかったのもそう言う経緯がありましてね?それで、質問なんですけど、奏 詩音は何処に居るんですか?」
「えっと・・・詩音は、少し前に事務所を辞めまして・・・。」
「辞めた・・・ねぇ~・・・?」
「は、はいっ。そうなんですよ!困ったものです、人気もありましたし色々な企業との契約もありましたし・・・。」
「なるほど~、だから違約金の全てを押し付けて破滅させる訳ですか。」
「その様な事は!!!」
「この契約書も嘘ですよねー、良い事しか書いてないし、あっちこっちの企業と契約させて辞められなくしてそれでも辞めたら違約金を押し付けて破滅させますって書いて無いじゃ無いですか。」
「いや、ですからそれはっ「あぁ、そうそう。そろそろ、良い時間ですねーテレビ付けて見てくださいよ、面白いもの見れるはずですよ?」・・・え・・・?」
俺の言葉に案内の女性が室内にあるテレビを付ける、そこには雪村さんと詩音と星谷さんが映っていたのを見て社長さんは完全に言葉を失って口を開けたまま見詰めていた。
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