第155話 清蘭祭1日目 倒れる悠馬
「ところでさ、清華。」
「なに~?」
「いや何でそんなに疲れてるの?シャツは着て無いけどパンツは履いてるよ?・・・見る?」
「そうじゃなくて・・・後でね?」
「「清華さん・・・。」」
「うっ///ついつい!ってそうじゃなくてどうしたの?」
「後でね?デフォルメ悠馬くんは誰かゲット出来た人いる?」
「流石にまだ居ないよ。皆して狙うけどこっちも取られまくったら困るしねっ。」
「ふむふむ・・・イカサマしてる訳じゃ無いよね?」
「それは勿論!ちゃんと倒れる様になってるよっ。撃たれ過ぎてて、私達の精神力がガリガリと削られてるけど・・・。」
「いや・・・何で・・・?ぬいぐるみじゃん。」
「こんな可愛いうえに我が校のアイドルの姿を模してるんだもん・・・辛いって・・・。」
っと、清華のクラスメイトが話に参加してくる。
「アイドルって・・・俺はそんな扱いなのか。」
「だから影響力を考えなさいって言ってるんですっ!少しは分かりましたか?!」
そんな清華からのお叱り?を受けながらがっくりとしてると、並んでいたらしい健司達が教室に入って来て、射場に立つのが見えた。
「お?健司達だ、頑張れよー!」
「悠馬さん?!・・・また何て恰好してるんですか・・・。」
「「「う、うわぁぁ///やばぁ///」」」
「む?似合わないか?個人的には結構、気に入ってるんだけどなぁ~。」
「似合ってますけど、かっこいいですけどね・・・。露出が・・・。」
「似合ってるなら良いじゃんっ!てか、景品取れる様に頑張れよ~。」
「う、うっすっ!やってみますっ!」
しっかりと構えて、側で柚美ちゃん達の応援を聞きながらコルクを詰めてレバーを引いてってやってる。
「あれじゃ、駄目だな・・・。」
「駄目って?別に間違えて無くない?悠馬。」
「あぁ、うん。まぁ見てなってあんまり飛ばないと思う、もしくは勢いも弱いのは間違いないよ。」
「そうなんですか?」
「そうそう、コツって程じゃ無いけどあるんだよ。」
俺達の会話も余所に狙いを定めてる、男子がやってるからか周りも静かになって見守ってる。
あれじゃ逆にやりにくい気がするんだが・・・。
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SIDE 健司
やったこと無いんだよなぁ~・・・立花さん達に良い恰好しようと思ってやるって言ったけど・・・。
「頑張ってねっ!悠馬さん人形ゲットだぁー!」
「まだ誰も取れてないみたいですし最初の一人になってくださいっ!」
「稲穂くんならいけるいける!がんば!」
応援は嬉しいけど・・・。
「やったこと無いからあんまり期待しないでね・・・?」
コルクを詰めてレバーを引いてスッと構えて・・・。
「っ!」
しっかりと狙いを定めて引き金を引く・・・パンッと乾いた音が鳴って景品めがけてコルクが飛んでいく。
「あれ?ずれた・・・。狙いが甘かったのかな?」
それに勢いが弱かった様な?気のせいかな~・・・。こんなもんなのかな?
「多分、引き金を引いた時の力のかかり方とかでずれたんじゃないかな?」
「次は今のずれた角度を考えて撃つと良いかもしれませんねっ。」
「う、うん。やってみるっ。」
今度こそっ!・・・パンッ!っと真っ直ぐ飛んでいくコルクは悠馬人形にコツンっと当たるけど全く揺らがなかった・・・。
「ぇぇぇ・・・当たったのに・・・。」
倒れない様にしてる?いやでも、悠馬さんがそんな不正を許すはずはないし、単純に威力が弱い?
どうしようかなって思って居るとポケットにいれていたスマホがピコンっと音を鳴らした。
「ん?誰だろ?・・・後でで良いか。」
「健司!スマホ見ろ。」
「え?!あ、はいっ!」
もしかして悠馬さん?えっと・・・え?そんな事で変わるの?いや・・・でも・・・。
「よし!やって見ます!」
内容に書いてる通りに先にレバーをカチンっと音が鳴るまで引いてその後に、コルクを詰める。
しっかりと構えて・・・狙いを定めて・・・「今っ!」・・・パンっとさっきよりも大きな音がなって速いスピードでコルクが飛んでいく。
コツンっと狙い通りに当たって・・・ぐらっとよろめいた!
「お、惜しい!揺れたのに!」
「惜しかったね!次は行けるんじゃない?」
「頑張ってくださいっ!稲穂さん!」
3人の声援を背中に聞きながら俺は、最後の一発をしっかりと狙いを定めて集中する。
不思議と落ち着いてる、変な話だけど今までに無い集中力かも?
「ははっ。何か楽しい・・・ただのゲームなのになぁ~・・・。良しっ。」
息を整えて確りと観察して・・・気付いた。
あれ?・・・あそこ・・・もしかして!
「いけぇっ!」
パンッ!っと狙い通りに飛ぶように位置を合わせて引き金を引いて乾いた音の後に真っ直ぐコルクが飛んで・・・。
「あっ!そのまま!」
「倒れて!お願いっ!」
グラグラとコルクが当たった悠馬人形が揺れてるのを立花さんも門倉さんも見てそのまま倒れるのを期待してる。
勿論、俺も!
「倒れろー!」
俺達の掛け声の効果って訳じゃ無いだろうけど・・・グラグラと揺れた人形はそのまま、コテンっと倒れた!!!
「や・・・やったぁぁぁぁ!!!」
俺は遂に!遂に!悠馬さんを倒したーーーー!!!
・・・あれ?・・・あれ?何か間違えてる気がする・・・。
倒したのは倒したけど、そうじゃないだろ感・・・。
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お~・・・遂に倒したなぁ~、すげー喜んでるし。
「遂に手に入れる人でたかぁ~・・・。まぁ、それが稲穂君って言うのも凄いなぁ~。」
「流石、弟分だねー悠馬。」
「ふふっ。最初の一人が稲穂さんで良かったですね。」
「まぁ、そうだな。この瞬間を見れたのは良かった・・・が何か喜び方がムカつくんだが?」
「まぁまぁ、取れたのは良かったじゃん!」
「ですね、何かアドバイスでもしたんですか?」
「弱点を狙われたかぁ〜!良く気付いたね!稲穂くん。」
「そそ、やり方を少しだけね。兎に角、おめでとー!健司!」
「ありがとうございます!アドバイス通りにしたら行けました!」
「それなら良かった。んで?何でそんなに嬉しそうなんだ?」
「いやーだって!悠馬さんを倒した!っておもっ・・・て・・・?」
「ほぉ〜?俺を倒したねぇ〜?」
俺がそう問い詰めると健司は冷や汗をかきながら、しどろもどろになった。
「あ、いや!違うんです!違うんですよ?!言葉の綾と言いますか!言い間違えたと言いますか?!」
「クッ。なんで疑問形なんだよ?」
笑いながら言ったことで健司がホッとして、冗談だと思ったらしく身体が弛緩した。
だが甘い!!
「生意気言ってんじゃねぇぇ!!」
「ご、ごめんなさい〜〜〜!!てか!いたーーーいっ!!」
思いっきりこめかみを両拳でグリグリして、健司の叫び声が木霊するのだった。
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