第153話 清蘭祭1日目 怒る健司

SIDE 健司


はぁ・・・ビックリした。

まさか女装してるなんて予想外も予想外だよ。

しかも違和感なんて全く無いし、普通に何で葵さんが居るんだ!?って思ったし・・・。


「ねぇねぇ、稲穂くん。」


「うん、どしたの?立花さん。」


まだ顔が少し赤いままだけど、立花さんが俺に話しかけてきた。


「あのね?悠馬先輩のお母さんってほんとにあんな感じなの?」


「あぁ、うん。会ったことも話したこともあるけど悠馬・・・今は悠子ちゃんか、あの姿よりは勿論だけど、歳を・・・っ!?!?」


なんだ?!物凄くとした!!

背筋に物凄い寒気走ったっ?!


「ん?どしたの?」


「あぁ、いや、実年齢は知らないけど悠馬さんのお母さんって考えればかなり若く見えるよ。下手したら二十代後半から三十代前半位かな?」


ふぅ・・・今回は大丈夫だった・・・。

さっきの寒気は一体・・・?


「マジか、そんなに若く見えるんだ。秘訣とか教えてもらえないかな・・・。」


「ア、アハハ・・・秘訣って・・・。確かに気にはなるけど、俺は男だけどさ。」


って!しまった・・・理由聞きそびれた・・・。

はぁ〜・・・後で教えて貰えるか分からないけど聞かせて貰おう・・・。


それにしても・・・違和感は何処に行ったの?ってレベルで女性にしか見えないなぁ〜。

悠馬さんの場合だと細いのもあるけどそれは、引き締まってるからだし前に言ってた細マッチョ?って、やつなんだろうけど・・・。

俺も頑張って引き締めないとなっ!


「あ、そう言えば聞き忘れましたね。」


「あ〜・・・悠子ちゃんの破壊力が凄すぎて忘れてた。」


「何を聞き忘れたって?何か聞きたい事あったのか?」


俺達の側を通った時に悠馬さんは俺達に話しかけて来てくれたから改めて聞く事にした。


「あ、えっとですね?入り口のスタンプラリーの事を聞きたくて・・・。」


「アレの事?何か分からない部分あったか?」


悠馬さんは俺の疑問は分からないらしく不思議そうな顔で聞いてくるけど・・・こうするのが当たり前だって言ってるみたいで俺は初めて悠馬さんに対してイライラするのを感じた。


「分からないですよ、何で・・・。」


「健司?どうした?」


「「「稲穂くん・・・。」」」


立花さん達は俺が聞こうとしてる事が分かってるし気持ちも理解してくれてるからか、心配そうに名前を呼んでくれた。


「何だよ?「なんで・・・なんでですか?!」・・・何がだ?」


何でそんなに冷静で居られるんですか?!声を荒げるつもりなんて無かったのに俺は気付けば声を荒げながら悠馬さんを問い詰めていた。


「何で!何で!あんな!自分を商品にする様な!どうしてですか?!」


感情が抑えられなくて目が滲む・・・悠馬さんが!自分を大切にしてない様に見えて、どうしても我慢が出来なかった。

俺には怒る権利なんて無いのは分かってるけど。それでもっ!!


俺は立ち上がって悠馬さんの正面に立ちながら問い詰める、でも悠馬さんは特に態度が変わることも無くて、それにもいらついて思うことを思ってることを全部、ぶつけてしまった。


そんな俺の耳に「座れ。」っと悠馬さんの有無を言わさない言葉が届いた。


…………………………………………………………

全く、健司の気持ちは嬉しいがね・・・。


「少し落ち着け。お前の聞きたい事には答えてやる。どうやら、柚美ちゃん達も同じ考えみたいだしな。」


「皆、少しの間頼む。それと・・・悠花・・・。」俺ははるかにお願い事をして同じテーブルに着く。


「先ず、大前提として外に書いてある俺の案だと言うのは本当だ。」


4人ともそれには素直に頷いたのを見届けて続きを話す。


「そして、こんな方法を取った理由だが・・・。

1つ目、俺が今年から入学した事で学校に多大な迷惑をかけている事。

2つ目、その結果、今年度の来場者が想像できない事。

3つ目、このクラスの出し物がやれない可能性があった事。

4つ目、夏の説明会のパンフレットの内容に関しての問い合わせが多かった事。」


先ずは理由を上げていく俺の話を静かに聞いてくれて居るのを見届けて更に続ける。


「1つ目の事だが、これはまぁ言わなくても分かるな?迷惑もかけてるのも事実だがこれからの利益も大きくなるのは間違いない。」


頷いたのを見届けて続きを。


「2つ目は、この状態、ここまでの状況を見ればなんとなくでも理解は出来るか?」


「はい、あきらかに多いんですね?例年と比べて。」


「変身する前に先輩達に確認したが、多いそうだ。それはまぁ、予想通りだから良いとして、問題は警備員の配置だ。予想出来てるかも知れんがこれも俺の案になる。」


俺がここまで話して涼ちゃんだけは、「あぁ、それでか。」って顔をした。


「涼ちゃんは、理解出来たみたいだが続けるぞ。3つ目の理由のこのクラスの出し物の不許可の可能性。実際に話題には出たそうだ。」


「ここにだけ来て帰る人、入り浸る人の問題ですね?」


「正解だ。涼ちゃんは以前も思ったけど頭の回転が早いね。

皆が皆とは言わないが可能性はゼロでは無いからね。

そして4つ目、今じゃYouMa写真集とか言われてる俺がモデルをしたパンフレットの話は本当なのか?再配布は無いのか?そもそも無理矢理やらせたのでは無いか?っと問い合わせがあったらしい。

さて、ここまで言えば今回の事の俺の答えは分かるかな?」


そんな俺の問いに少し考えた素振りした後に涼ちゃんは話し始める。


「来場者の増加を見越しての警備員の配置と手配、それによって増えてしまう出費の回収の為と、問い合わせの多い写真集の一部や数枚を景品にする事で参加費をとってのスタンプラリーにして、出し物を回って貰う事で教室や部活棟の出し物を無駄にしない為、そうする事で悠馬先輩のクラスも出し物をしても問題を少なくする・・・ってところですか?」


パチパチパチ・・・ほぼ完璧な答えに俺は称賛の拍手を送る。


「殆んど正解だな。更に言えば、俺が理由でクラスメイトの思い出を1つ、いや、3年間の間の学園祭って言うお祭りの思い出を無くす事にしたく無かったんだ。

それと、柚美ちゃん達、パンフレット所持者へのヘイトの減少も目的の1つだ。」


「どういう事ですか?悠馬先輩。」


千里ちゃんの問いに答える。


「嬉しいことにってか、実は未だに慣れて無いんだけど、YouMaファンの民度の高さは有名だろ?慣れてないのはファンが付いてることね。」


「そ、そこはまぁ・・・。」


「思うんだけど、奪うやつは必ず出てくると思う。」


「え?でも!そんな事はYouMaファンは!!」


「他の人達ですね?自分には関係ない、金になるから奪うって考える人達。」


「健司、正解。」


「俺と言う存在が気に入らない、邪魔だと思うやつは絶対にいる。そいつらが考えることなんて俺の評判を下げることか、俺を襲うこと、俺の周りを襲うこと・・・まぁ大体これらのどれかに当て嵌まる事をやるだろうな。」


「その手の奴等はYouMaファンを語って写真集を持ってる人達を襲ったり奪ったりすれば所詮はYouMaもその程度って評価になるって事ですね。」 


俺の説明に続けて健司も思い付いた事を話してきた。


「リスナーは配信者の鏡とは良く言ったものでさ、俺が直接は何も関係無くても何かをすればファンがこれなら所詮は・・・ってなるのさ。

だから、柚美ちゃん達や他の人達へのヘイトを少しでも減らすためにどうすれば良いか?ってなった時に一番、簡単なのは数を増やしてしまう事だからね。」


まぁ、これでも完璧では無いんだけど無いよりは良いって事は間違えてないはず・・・。


「これだけ自由にやってる以上はその責任は全て俺が背負うものだからな。」


「自由には責任が伴うのが当たり前だからな。」っと、俺は締めくくって一先ずの説明を終わらせる。

健司は俺の言った事を考えてるのか俯いてる。


「あの、悠馬さん・・・。」


「どうした?考えは纏まったか?」


「はい、あのですね?今回のスタンプラリーとかは普段から学校に迷惑かけたり、自由にして居たりする事へのお礼?罪滅ぼし?みたいな感じって事ですか?

そして、さっき言っていた、自由には責任が伴うから、その責任を果たしてるって事ですか?」


「まぁ、簡単に言えばそうなるな。」


「すいませんでした・・・俺、何も分かって無くて・・・それなのに悠馬さんにっ。」


「俺の為に、怒ってくれるのは嬉しかったぞ、誰かの為に怒れるってのは凄い事だ。だから、その気持ちを忘れるな。」


「はいっ。ありがとうございますっ。」


「うん・・・良い事を言ってるんでしょうけど、悠子ちゃんの姿のせいで違和感しかないですね・・・。」


千里ちゃん・・・それをいっちゃ終しめぇよぉ~・・・・。


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お盆の早朝出勤疲れた!

その後の中間棚卸しも疲れた!

そして!乗り越えた!ので、投稿再開させていただきます!



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