第152話 清蘭祭 1日目 悠子の洗礼
「格好いいね、稲穂くんっ。悠馬くんも弟分の成長が嬉しいでしょ?」
一通りの流れを聞いていた俺と、薫。
そんな薫が俺に向けてこんな事を言ってきた。
「そうだな。兄貴分としても友達としても鼻が高いわ。」
「だよねっ!知ってる私も嬉しかったもん。」
「皆!ちょっと・・・。」
俺はこの時間の担当者を集めて内緒話をする。
そんな俺の内緒話に皆は・・・。
「「「まっかせて!」」」
って喜んで賛成してくれた。
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「お待たせしましたっ!ごゆっくりどうぞっ。」
「あの、頼んでないものがあるんですけど・・・。」
「そちらは、サービスです。悠馬・・・今は悠子ちゃんですね。
先程の廊下でのやり取りに関してのお礼と言う事です。」
その説明を聞いたお客さん達が俺の方を見てくる。
勿論、想定内だから俺はニコっと笑いながらウインクも1つっ。
「「「っ///ふぐぅっ///」」」
顔を赤くして心臓抑えてるお客さん達を見て思う。
頼むから止まらないでね?マジで。
健司達が入ってくるまでそんな事を続けて健司の前に居た子達までサービスを続けて、遂に健司と柚美ちゃん達の順番になった。
「おかえりなさいませっ!御主人様。そして、お嬢様。」
悠香が担当に当たったみたいだな、俺も注文持っていく時にでも一緒するかな。
「月城先輩!とても似合ってます!」
「へへっ///ありがとね!稲穂くんっ!」
ミニスカ浴衣だからねー美脚が目立って俺にも目の保養だしなぁ〜!
「凄い可愛いと思います!・・・って!生意気言ってすいませんっ!」
「んーんっ。嬉しいよっ!それにしてもサラっと褒められちゃうなんてこれも悠馬くんの影響かな?」
「うっ。どうですかね?かもしれないです。」
あはははって笑ってんじゃねーよ、悠花も健司も柚美ちゃん達もさ!
そんな事教えてねーし!別に特別してないだろ?!俺!
「それじゃ、注文決まったら呼んでね?」
「あっ、はい!ありがとうございます。」
柚美ちゃん達も健司もキョロキョロと室内を見渡してるねー、俺を探してるのかね?
まぁ、この姿だしバラした時のリアクションでも楽しませて貰うかなっ。
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SIDE 3人娘
うーん?悠馬先輩が見当たらない・・・、居ない時間だったのかな~・・・。
何か代わりにすっごい美人の人が居るし・・・。
ん-・・・でも何処かで見た事ある様な・・・?
「悠馬先輩は居ないみたいね・・・残念。」
「そだねー会えないのは残念・・・。」
涼も千里も悠馬先輩の姿が無い事にガックリしてる。
「まっ、でも校内には居るだろうし回ってれば会えるんじゃないかな?」
「この広い学校で・・・?本気で言ってるの?柚美。」
「私も無理だと思うけど・・・。」
私もそう思ってるけどさーっ!そうでも思わないと寂しいもんっ。
料理が届くまでの間、そうやって何でも無い事を話しながら過ごしてたけど気付くと稲穂くんが無言で目を見開いて口も開けたままあの美人さんを眺めてる。
「稲穂くん?あの美人の人を眺めてるけど惚れちゃった?」
私がニヤニヤとしながらそんな事を言うとギギギっと音が鳴りそうな感じでこっちを稲穂くんがこっちを見て来る。
「ぇ・・・ぃや・・・あの人は・・・。」
うん?どうしたんだろ・・・?知ってるのかな?
「どうしたの?知ってる人?」
「稲穂さん?見惚れてるんですか?」
「ちがっ。そう言うんじゃ無くて何でここに?って・・・思って・・・。」
「「「???」」」
稲穂くんの反応に私達は揃って首をかしげてしまう。
そんな事をしていたら話題の美女がこちらに近寄ってくるのが分かった。
「こっちきたっ、見すぎたかな?」
ボソボソと千里がそんな事を言ってくるけどそれに答える前に直ぐに側まで来ている女性を見るけど・・・、やばい位綺麗・・・。
「「うわぁ・・・すっごい美人・・・。」」
千里と涼の呟きにその人は上品に口元を抑えながらくすくすと楽しそうに笑いながら私達のテーブルまで遂に来た。
「ん・・・?葵さんじゃ・・・無い・・・?あ・・・あぁ・・・あぁぁぁぁ?!」
「どうしたの?葵さんって・・・誰?」
私の呟きには答えずに稲穂くんは驚愕って顔をしながら女性をガン見してるけど、見られてるのにも関わらずその女性は何処か楽しそうにしてるだけで特に何も言わない。
「もしかしなくても・・・!悠馬さん?!?!」
「「「えっ?!」」」
「いやいやいやっ!何言ってるの?!どっからどう見ても美女でしょ!?」
「そうだよ!どこからどう見ても女性じゃん!」
「稲穂さん、幾ら何でもそれは無理が・・・。」
「悠馬さんのお母さんにそっくりなの!!だから!悠馬さん位しか居ないって!!!」
ぇぇぇぇ・・・悠馬先輩のお母さんってこんなに美人なんだ・・・。
「良く分かったな、健司。大正解だっ!」
「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ?!本当に悠馬先輩なんですか?!?!?!」」」
「そうだよ!久しぶりだね!柚美ちゃん、千里ちゃん、涼ちゃんっ!どう?似合う?」
クルっと一回りして全部を見せながら悠馬先輩は聞いてくる。
そのポーズはやめてください・・・可愛すぎて何か開きそう・・・。
「に、似合い過ぎですっ///」
「女の子にしか見えないっ///」
「やばすぎますっ///」
「悠馬さん・・・何で女装なんて・・・っ///似合い過ぎて直視出来ないんですけどっ///」
「お前まで顔を赤くするなっ!いやまぁ、愛央達にな?今度は何をヤラカシたの?って言われたからそれに応えてみた!今は悠子ちゃんだぞっ!」
悠子ちゃんだぞっ!じゃ無いんですよ!?!?
似合ってるし女の子にしか見えないけど!!!
何だろ・・・何か負けた感が・・・。
「何か、負けた気がする・・・。」
「「分かる・・・。謎の敗北感あるよね・・・。」」
千里の呟きに私と涼は一気に疲労に襲われて謎の敗北感に打ちひしがれるのだった。
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「兎に角、いらっしゃい〜!来てくれてありがとな。」
「ほんと、ビックリしましたよ。悠馬さんが居ないな〜って思ってたら葵さんが居る?!って思ってたら悠馬さんの女装だし・・・頭の中が混乱しましたよ・・・。」
「そんなに似てるか?皆に言われるんだけどさ。」
「高校生くらいの葵さんってこんな感じだったのかな?って思うくらいには・・・。」
「そ、そうか・・・。母さんに・・・。」
「あ、あの〜、星川先輩達はご存知なんですか?」
涼ちゃんが遠慮がちにそんな事を聞いてくる。
「あぁ、うん。着替えて直ぐに騒ぎを聞きつけて来たから見てるよ。床に手を付いて、そう来たか・・・って落ち込んでたね!!」
俺の返答に3人共、いや健司を含めた4人が苦笑いしてた。
「それでは、お嬢様並びに御主人様っ。ごゆっくりお楽しみくださいっ。」
スカートの裾を摘んで笑顔を浮かべながら優雅にご挨拶。
「「「ふぐっ///」」」、「うっ///」っと顔を真赤にしながら心臓の辺りを押さえた4人から離れて俺は仕事に戻るのだった。
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