第151話 清蘭祭 1日目 一人の友人として恥ずかしく無い様に
SIDE 健司
「説明会以来だね。久しぶりっ!」
「うんっ!お久しぶり!元気そうで何より!お姉さんもお久しぶりです。」
「おひさ~!精進してますか~?お久しぶりですお姉さん。」
「お久しぶりです、お会いできて嬉しいです、お姉さんもご無沙汰しております。」
立花さん、門倉さん、小河原さんの3人に声をかけていたけどこうやって会えるとやっぱり嬉しいね。
「3人共、お久しぶりね。ところで、ブロマイドとかって聞こえたけど何の話?」
「えっとですね、参加費は必要みたいなんですけど悠馬先輩のブロマイドを手に入れよう!ってイベントをやってまして。」
「スタンプラリーみたいです。教室棟と部活棟の出し物を5か所ずつ回ってスタンプを集めてって感じみたいです。」
「うへ・・・10か所も回るのは大変だ・・・。」
「いえ、でもですね?レートはスタンプ5個で1枚みたいなんですよ。それとシークレットスタンプ見付けられたら更に1枚って感じみたいです。」
ほぇ~・・・悠馬さんの企画かな?何となくそんな気がする。
「悠馬さんの企画っぽいなーっとは思うけど何でこんなんやってるんだろう?」
俺の疑問に小河原さんが冷静に分析したみたいで予想だけどっと前置きを置いて説明をしはじめた。
「今年の清蘭祭の来場者の目的は殆んどが悠馬先輩でしょうっと言うのは間違えて無いと思います。」
うんうん、確かにそこは間違えてないだろうね。
「そして、生徒会並びに教師陣からすれば来場者が増えるのは良い事だけど悠馬先輩のクラスの出し物にだけ行って帰る人、入り浸る人が出るのではないか?そんな人ばかりだと他のクラスの出し物や部活関係の出し物が無意味なものになってしまう。」
ふむふむ・・・確かにそう言う人も居そうだしそれは学校側って言うか悠馬さん自身も困るだろうね。
「ここまでの予想はほぼ確実に正解だと思ってますがここからは完全に予測です。
恐らくですが、悠馬先輩がこの事の対応策として今回のイベントと夏の学校説明会で配られた悠馬写真集の事に対する対応かと・・・。」
あぁ・・・中学生の女子だけ、しかもあの説明会に参加した人しか手に入れてない、言うならば悠馬さんのコスプレ写真を他の人も手に入れる事が出来るようにって事か・・・。
「ただし無料で配るとそれはそれで問題になると言う事で参加費を取って手に入れる事が出来ても二日間で最大で6枚って対応にしたのでは無いかと。」
「スタンプラリーの意味は他の出し物にも満遍なく回って貰う為か・・・。」
「はい、おそらくはそうだと思います。」
確かに合ってそうだねー、学校側って言うか生徒会側としてもそうする事で問題になりそうな事を解決した・・・と・・・。
でもな・・・悠馬さんを売り物にしてるようで、ちょっと・・・。
「稲穂さん、これも予想ですけどこのイベントの提案自体が説明に書いてある通り本当に悠馬先輩の案だと思います。」
「何でそう思うの?」
「簡単な事です、仮にこのイベントが学校側と言いますか、教師陣と生徒会の独断で行ったと分かったらどうしますか?」
「ブチ切れます。悠馬さんを売り物にするな!って本気でキレます。」
「ですよね?私もそれは同じです。」
あ、そうか。仮に突っ込まれても悠馬さんの考えでなら文句を言ってきた奴らも黙るしかないのか。
「でも・・・悠馬さんの・・・悠馬さん自身の提案だったとしても自分を売り物って言うか商品みたいに扱うのはちょっと・・・。」
「分かります。私も嫌です、ですが・・・悠馬先輩自身が提案した事であれば自分を商品にするなと怒れるのは星川先輩達と悠馬先輩のご家族位だと思います。」
「分かってる。それは俺も分かってるよ・・・、それでもっ。」
くっそっ!っと頭をガリガリと掻いて自分の中のモヤモヤを抑えようとするけど何かやっぱり・・・。
「ねぇ、稲穂くんっ!会いに行こう!私達と一緒に悠馬先輩に会いに行こう!そして本人から聞こうよ!」
立花さんがそんな提案をしてくれる。
そうだ、ここでグダグダ言ってても仕方ない!会って話してから判断するべきだ。
「そう・・・だね!一緒に行って貰えるかな?」
「「「勿論っ!」」」
「なら、貴女達に健司の事は任せる。私はスタンプラリーしてみるから。」
「あ、あれ?やるの?」
「実際に手に入れて見ないと分からない事もあるでしょ?」
「姉さん・・・欲しいだけだよね?悠馬さんのブロマイド。」
「そ、そそ、そそそんな事無いよ〜?!」
姉さんのその反応に俺も立花さん達もついついジト目になって姉さんを見てしまうと、焦りながらもそれっぽい言い訳をしてきた。
「い、良いじゃないっ!どんな物か気になるのも事実だし現物が無いと判断出来ないのも事実でしょ!」
絶対半分は嘘だ!まぁーでも半分は理解できるけどさ。
「はぁ〜、分かったよ。そっちは姉さんに任せる。俺は悠馬さんの所に行ってくるよ。」
「こっちは任せてください。」
「稲穂さんも悠馬先輩の関係者と言う事で注目もされていますし、この学校で悠馬先輩を怒らせたり敵対する様な事をするやつが居るとは思えませんし私達だけで大丈夫だと思います。」
「そーだね!私等も地味に話題に出たりもしてそうだし?多分大丈夫だろうねー。」
三人が姉さんにそう伝えて姉さんも頼んだ手前、納得する形で「お願いね!」っと伝えて離れていったのを見送った。
「じゃー俺達も行こうかって三人はスタンプラリーはしないの?」
「私達はほら写真集持ってるからさ!」
あぁ、それもそっか!っと納得して俺達は校内に入り1-Aを目指すのだった。
…………………………………………………………
「うげぇ・・・すげー長蛇の列・・・。」
「だ、だね・・・。」
悠馬さんのクラスと星川先輩と天音先輩のクラスへの廊下は人で溢れかえっていて列を作ってた。
仕方ないとは思うけどこれはなぁ〜・・・流石と言うか何と言うか・・・。
「ねね、後ろの子ってさ。」「ん?ぁ・・・お友達じゃない?」「YouMa様のお友達の子だね。」「んっ!やる?」「だねっ!」
ん?何だろ、何かボソボソ言われてる?
「みんなーー!YouMa様のお友達の子が並んでるから先に行かせてあげないーー?」
ちょっ?!そう言うのはいらないって!!
「まじで?譲る!譲る!」「一緒の子達もどうぞ!」「皆!道開けてー!」「会いに来たんでしょー?遠慮しないで先に行って来てっ!」
「いやいやいや!そう言うのは駄目だし!いらないですってっ!ちゃんと順番待ちますから!」
俺は特に特別じゃない、悠馬さんが友達と言ってくれてるからそんな立ち位置になってるだけ、YouMaの様に何かをしてる訳じゃない、だからそれを利用するなんて絶対に駄目だ!
ほらほらっ!っと俺の言葉じゃ止まらなくなってる、これが悠馬さんならきっと・・・。
「「「皆さん!!待ってください!」」」
俺が困っていると三人が揃って声をあげる。
「稲穂さんが困っています!特別扱いはいらないと言ってるんですから、尊重してください!」
「そうですよ!それに、こんな事に甘えたら悠馬先輩に怒られるのは彼ですよ!!」
「皆さんも善意で言ってるのは分かりますけど結果的に稲穂さんの立場を悪くするのは、本意では無いでしょう?!それとも悠馬先輩に来たら通してくれとでも、言われてるんですか?」
「いや、そう言う訳じゃないけど・・・。」「確かに怒られちゃうか、呆れられちゃう・・・?」
立花さん達の言葉に皆さんも考え始めてくれてるのを見て、俺も言わないとって勇気を出す。
「皆さん!ありがとうございます!お気持ちは本当に嬉しいです!でも、俺も順番は待ちます、待たせてください!悠馬さんと仲が良いからって理由だけで特別扱いはしないでください、俺もまだまだなのでお願いします!」
俺は皆に聞こえるようにはっきりと声を出して話す。
俺の気持ちが伝わるように!
「その、ごめんなさい。私達が暴走しちゃってた。稲穂くん?の気持ち考えてなかった。」
「いやいや!気持ちは嬉しいのでありがとうございます!」
これで、良いですよね?悠馬さんっ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
健司の成長に涙出そう・・・。
書いてる本人だけど・・・w
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