第143話 顔を立てましょか!
「悠ちゃん、やりすぎよ・・・。志保ちゃんの時の雰囲気が出てるわよ?」
「うん、わざとだからね。この程度で腰抜けるとは思いませんでした、すいません。」
「そういえば・・・悠ちゃん、あの時は命のやり取りみたいな感じだったものね・・・。それならこれも納得・・・?」
母さんの言葉に玖美子さんを筆頭に雪村家はギョッとした顔をして、驚いてる。
「それって、もしかして・・・YouMa殺戮ショーの・・・?」
「そうそれ、あれ以来、やり方覚えちゃってっ。」
俺の言葉に全員が「おいおい・・・。」って顔してるわ〜。
やり方覚えたものは仕方ないじゃんね?
「取り敢えず、やりすぎてしまって申し訳ありません。・・・んで、行きましょっか。」
「行くって・・・何処にですか?」
玖美子さんの手を取って立ち上がらせながらの俺の言葉に当然の疑問が飛んでくる。
「そりゃ、勿論。顔を立てにですよ。母さんと菜月も宜しくね。」
疑問符を浮かべたままの雪村家を連れて逆月家は玖美子さんの顔を立てるために動き始めた。
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SIDE 夏凜
何と言うか、凄い!としか言葉が出てこない。
自分より大人を相手にして一歩も引いてないし、それどころか、遣り込めてる。
母の顔を立てるために悠馬さんは、私達が呼んだ人達の所に順番に挨拶まわりをしてくれてる。
うん、勝てないなって同じ様に後ろを付いて歩きながら本当に思った、付き合ってられるかって帰っても良いものなのにね。
「これがYouMaなんだね、凄いな〜・・・。」
陽依里が誰に言うでもなくボソッと呟いた。
「兄さんですから、この程度は何でもないですね。」
「悠馬さんの方が私よりも遥かに大人に見えてるよ。」
「言ったでしょう?無礼ると怪我じゃ済まないと。」
菜月ちゃんの言葉の意味が本当に理解できた。
母の跡取りとしても、人間としても、勝てるところが無いなって感じてしまう。
「YouMaさんはアルバム等は出さないのですか?」
とあるレーベルの社長さんが悠馬さんにそう声をかける。
「生放送とかのコメント等でも言われますけど、今のところは出すつもりは無いですね。」
「今の所と言う事はいずれはって事ですか?」
「仮に出すとしても、個人と仲間内だけで少数作って出しますので、どこかの会社や事務所に所属して等と言う事は予定には無いですね、とある芸能事務所への返答した通り国家予算積まれても所属も契約もしないのでっ。」
「そ、そうですか・・・。」
「はいっ。都合の良い道具になるつもりは一切無いのでっ。」
ニコリっと目が笑ってない笑顔できっぱりと・・・普通の人なら飛びつくのに、この人、超有名レーベルの社長さんなのに・・・。
「それに何より・・・本気で活動してる方達への侮辱にしかなりませんよ。俺はそれだけでやってる訳じゃ無いので。
男だからYouMaだからって理由だけで必死に努力してる人を押しのけて社長さんの力で発売する何て俺には無理ですね、虫唾が走ります。
まぁ・・・こう言うのもチャンスだろって言われればそれまで何ですけどね。」
「分かりました、気が変わりましたら連絡をください。」
そう言って社長さんは名刺を渡して離れていく、その後すぐに違う人が寄って来るの繰り返しだ。
「は、初めましてっ!私、モデルをしていて、
「初めまして、YouMaです。一応、一般人です、お会いできて光栄です。」
「妹の菜月です!詩音さんのファンです!いつも雑誌とか買ってます!」
菜月ちゃんがファンだったみたいでテンションが上がって話してるの尻目に悠馬さんはこちらに寄ってくる。
「ふぅ・・・流石に疲れました。これだけの人と会う事になるとは。」
「ご、ごめんなさいっ。こんな事になって・・・。」
「あーごめんなさい、嫌味のつもりは無かった・・・。」
片手で後頭部を掻きながら申し訳そうな顔をさせてしまった。
「ごめんなさい!そんな顔までさせて・・・って、ぷっ。」
「くっ、くくっ。」
流石に大声で笑う訳にも行かず私達は口を押えて笑うのを我慢する。
お互いに謝り合ってるのが何かおかしかった。
うん、申し訳ない事ばかりしてしまったけど、こうやって笑えるのも、笑い合えるのも嬉しいな。
「兄さん、夏凜さん、何を笑ってるんですか?」
「何かあったの?お姉ちゃん。」
「「何でも無いよっ。」」
私と悠馬さんは同じ返答を揃ってそれぞれの妹に返事をするのだった。
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その後、来客者達と挨拶を済ませて適当に時間を過ごしてパーティーの終わりまで過ごした。
今は子供達?だけで固まって話してる、母親ズはお互いに話してるし。
「んぅ〜〜!・・・はぁっ。結構、疲れたな。」
「ですね、気を遣ってばかりでしたし疲れました。」
「本当にすいませんでした、母が。それと止められなかった私達も。」
俺と菜月の言葉に陽依里ちゃんが申し訳無さそうに反応してくれた。
「陽依里ちゃん、気にするなって言っても無理だろうけど、気にしすぎないでな。こう言う経験も大事だろうと、今は思う。」
「そうですね、私もママの後を継ぐ、継がないに関わらず大切な経験だと思うので。」
「はい、ありがとうございます。」
「それにしても、小学生っぽくないなぁ〜、大人っぽいよね。」
「良く言われます・・・まぁ、姉がこの通りなので自然とストッパーと言いますか、ツッコミ役と言いますか・・・って、お姉ちゃん?ぽけーっと悠馬さんを見つめてどうしたの?」
「えっ?!み、みみ、見てないよ?!////」
「見てたじゃん!顔まで赤くして・・・って、えっ?・・・まさか?!」
「い、いい、いやいや!違うから!かっこいいな〜っ///とか、大人っぽくて素敵だな〜っ///とか、恋人になりたいな〜っ/// とか、それが駄目ならせめて子種ほしいな〜!とか、考えてないから!!///」
「ねぇさん・・・。気持ちは分かるけど何言ってるの・・・。確かに頼りになって優しくて素敵だなって思うけど・・・。」
「でしょ?!」
「でしょ?!じゃねーよ・・・本人の前で言うなぁ〜。」
「「す、すいませんっ。」」
「はぁ〜・・・私も気持ちは分かりますけど、お馬鹿姉妹と、言わせていただきます。」
そんな、菜月のツッコミが俺達のテーブルに響いたのだった。
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SIDE 葵
悠ちゃん達が仲良さげに会話をしてるのを眺めながら、私は玖美子さんと今回の事を話してる。
「流石にこれっきりにしてくださいね?こんな事は。
悠ちゃんなら、期待には応えると思いますけど私は振り回す気は無いですし、負担にさせたくは無いので。」
「はい・・・本当に申し訳ありませんでした。
そして、ありがとうございました。」
いえいえっと玖美子さんに返しながら「たまのお茶会程度であれば、良いとは思いますけどね、ご近所さんですし。」っと伝えてこの件はここまでっと終わらせた。
「それにしても・・・?」
「はい?」
唐突に玖美子さんは不思議そうな顔をして疑問を投げかけてきた。
「先程の悠馬さんの空気感は一体・・・?」
あぁ、腰を抜かしてしまった本人からすれば当然の疑問よねぇ〜。
私だってそんな事、出来るようになった何て、聞いてないし。
「少し前にですね、普段から仲良くしている女の子が誘拐された事がありましてその時に犯人の女の子の一人を殺しそうになった事が・・・私ですら怖いと思ってしまって動けなくなるなんて言う失態を・・・。」
あの時の事は今でも後悔してる、動くのが遅くなったせいで本当に殺しそうになった。
「それとその後のYouMa殺戮ショーと銘打った犯人の生放送での殺し合い?と言うか悠ちゃんの時間稼ぎと言いますか。
その結果、でしょうね・・・悠ちゃんは自分の周りの大切な存在や物を脅かす相手には容赦無いみたいで・・・すいませんでした。」
「いえ・・・、あっ・・・死んだっと思いましたけど、そんな経験をしたのなら納得ですね。」
それで納得するのもどうかと思うけど今までの経験とは違う雰囲気には勝てなかったって事なんでしょうね、私も同じだったし・・・ね。
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「それじゃお邪魔しました。」
俺達も揃って雪村家を後にすることに。
最後は和解?って感じで終われたのは良いと思う。ご近所さんだしね?お互いに何かあった時に協力出来るか否かは大きいしね。
「次は普通のお茶会でお願いしますね?」
「次は家で何かでも良いですしね。」
「そうね、今度は家で軽くとかにしましょうか。」
「なら、その時はケーキでも作るかな?」
「「楽しみにしてますっ!」」
「あはは・・・それではっ。」
母さんの車に乗り込み俺達は帰宅の途につく。
車内で菜月が一つだけ面倒が起こりそうなフラグを立てながら。
「そいえばですね、詩音さんと連絡先の交換しました。兄さんとも話したがってましたよ。」
「本物の芸能人がかよ・・・面倒が起きそうだわ。」
そんなフラグを自分でも立てた事に、そんな事あってたまるか!!っと否定しながらの帰り道だった。
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棚卸しの疲れやお盆の発注の準備等で手を付けられませんでした。
おまたせしました!
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