第142話 無礼てんの?
SIDE 雪村夏凜
「それじゃ、話をしましょうか?OHANASIにならない事を祈りながらね。」
そう言って悠馬さんは私達を見詰めて来る、さっきまでの雰囲気とは違ってこちらを問い詰めるかの様な雰囲気になってる。
しかも、誤魔化しなんか効かないとでも言うかの様な雰囲気・・・更に言うなら指向性?でも持たせてるのか、陽依里の態度に変化は無い。
そして・・・私は・・・。
「えっと・・・その・・・。」
悠馬さんの雰囲気が凄くて上手く話せなくなってしまっている。
これがたまに掲示板で話題に出るキレてるYouMaなのかも知れない・・・。
正直舐めてた・・・配信とかやって有名になって調子に乗ってるだけの高校生だと思って居たけど直接、相対するとそれは間違いだと分かる。
こんな雰囲気を出せるならそりゃ、喫茶店の件もモールの件も更には学校説明会の時の事も納得できるってものだ。
母に付き合って将来の為にも交渉の席等には出た事あるけど、その時の雰囲気も苦手だし、重たいなっと思う事はあったけど、これは・・・そんなのは児戯だとでも言うかの様な雰囲気だ・・・。
こんな雰囲気に今は睨まれたりはしてないけど、睨みも加わったら、そりゃ悠馬さんの独断場になるのは分かる。
こ、答えないと・・・じゃないと、どんどんこちら側が不利になる・・・だけどっ、これは・・・。
「兄さん、それじゃ夏凜さんは何も言えないですって・・・。」
菜月ちゃんの呆れたかの様な声に合わせてフッと空気が軽くなって、私は・・・ふぅっと空気を取り入れる事が出来た。
「ふむ・・・大学3年でしたっけ?立場的にも交渉の場等にも出た事もあるだろうと思って少し圧力出したけど、この程度にも耐えられないか・・・。」
「夏凜さん、兄さんを
YouMa板にもアップされてるから知ってると思いますけど、モールの事、喫茶店の事、説明会の事は一切ヤラセでは無いですから、無礼てると怪我じゃ済まないと思いますけど?」
「菜月・・・それじゃ俺が悪人みたいじゃないか・・・。」
「えっ?!・・・ソンナキハナイデスヨ。」
「おいっ!・・・はぁぁ・・・まぁそれは良いや。それでこの騒ぎはどう言う事か説明して貰えるんですよね?」
俺の問いの後に望んだ答えではなく陽依里ちゃんが夏凜さんに怒りを露わにした。
「もうっ!だから言ったじゃん!絶対止めた方が良いって!!!絶対に悠馬さん嫌がるって!悠馬さんだけじゃなく妹さんもお母さんも怒るって言ったじゃん!!!」
「いやだって、新築祝いのパーティーは元々決まってた事だから一緒にした方がさ・・・。」
「別にパーティーじゃなくお茶会程度ので良いって言ったのに一緒にしてこんな大げさにしたのはお姉ちゃんとお母さんでしょ!私は反対したじゃん!」
「待って!まって!私だって反対したってば!だけど、お母さんが一緒にやってしまいましょうって話になってだし!」
「だとしても!同じことじゃん!!」
っと、気付けば私達の姉妹喧嘩を見せつける事になるのだった。
…………………………………………………………
喧嘩なら後でして欲しいんだけどな〜、そんなの見るために来てる訳じゃ無いし。
暫く放置しとくかね・・・面倒だし。
「それにしても見られてるな、移動したけど余り意味は無かったかな?」
「そんな事は無いでしょうけど、兄さんが居る以上は仕方ないんじゃないかなって思います。」
「そうは言っても、菜月の言う通り俺ですら見覚えのある芸能人も居るんだしこんな一般人の男なんて見ても仕方ないでしょうに。」
「いや、それは流石に。悠馬さんが一般人は無理があると思いますけど・・・。」
「うっ・・・陽依里ちゃん、刺してきたね。」
「ご、ごめんなさいっ。」
「まー良いけど、喧嘩は落ち着いた?」
「「うっ、お見苦しいところをお見せしました・・・。」」
「ほんとですね。喧嘩なら他所でやって欲しいですよ。」
菜月もトゲトゲしいねぇ〜、色々ムカついては居るんだろうけどさ。
「それで?何でこんな事になってるんだ?」
また、脇道にそれても面倒だと判断した俺は少し強めに睨みながら雪村姉妹の答えを聞くことにしたんだけどその前に玖美子さんと母さんが合流してきた。
「ちょっと待ってください、悠馬さん!この子達は悪くないんです、この形に決めたのは私なんです。」
「悠ちゃん、先ずは話を聞いてあげて?怒るのはその後でも出来るから。」
「まーそれは良いけど。なら話して貰いましょうかね?」
「実は・・・。」
夏凛さんも陽依里ちゃんも最初は反対してたらしい、特に陽依里ちゃんはかなり強くというか強固に、俺の迷惑になる、困らせる、絶対に嫌がる、怒らせるっと反対してたそうだ。
夏凛さんも失礼な態度を取ってしまったのもあって、こんな騙し討ちみたいな事したら激怒させることになるっと反対してたらしい。
だが、ここからが問題だった、他の参加者に新築祝いのパーティーに母さんが出ること、その息子でもあるYouMaが出ることが何故か参加者には分かってしまっていたらしい。
まぁ、これに関しては近所に居るってのと、陽依里ちゃんの件を見てる人なんかも居ただろうから雪村家の付き合いのある人ならある程度の予想は出来るだろうと思う。
んで、参加者のスケジュールの問題で今日以外だと厳しいって話になったらしく、それなら仕方ないと結論付けたって話の様だ。
勿論、無闇矢鱈に接触はするなと、厳重に注意はしていたらしい。
見られては居ても寄って来なかった理由はそれだそうだ。
「まぁ、俺のことがバレてたのは兎も角として、理由は分かりました。
それに、学校が始まれば土日でも時間取れなくなるのも分かります。
ですが、それならそれでこちらに一言あるべきでは?」
「その点は完全にこちらのミスです、すいません。」
「それで?」
「それでとは・・・?」
「惚けるのは止めてください、それとも無礼てるんですか?」
「ゆ、悠ちゃんっ。落ち着いて・・・ね?」
「お母さん、悠馬さんに隠し事はだめだよ。ちゃんと説明しないとだめ。」
「そうだよ、お母さんが私達の事を思ってこうした理由は分かってるけど・・・。」
「そうね・・・悠馬さん。確かに大きな事になった事、娘達に男性をっという狙いもあった事、それと・・・。」
「業界人に俺との繋がりを見せる事ですね?」
「はぃ・・・。他の方なら兎も角、YouMaさんですから、葵さんとの繋がりも勿論ですが懇意にしていると・・・すいませんでした。」
まぁ、予想通りかな〜、んじゃ少しお灸を据えますかね?
「予想通りか・・・実に残念だよ。夏凜さんの妹思いのところも、陽依里ちゃんの素直な可愛さも好意的に見ていたんだけどな、その母親がこんなとはね?
自分の利益を優先するようなとは・・・実に残念だわ。
まぁ、でもこれくらいの強かさは必要なのかも知れんけど、随分と無礼めた真似してくれるものだわ。」
ビリっとさっきの夏凜さんの時とは比べ物にならないくらいの、威圧を玖美子さんにだけぶつけると直ぐに怯え始めた。
「ひっ・・・。す、すす、すいま・・・。」
「悠ちゃんっ!・・・「なんてね?」・・・ちょっとっ!!」
「ごめんなさい、お灸を据える程度のつもりでしたけど、やりすぎたみたいですね。」
俺のその言葉に、玖美子さんは女の子座りでへたり込んだのを見て・・・うん、やりすぎたっ!っとちょっと反省したのでした。
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