第8章 秋の時間
第144話 清蘭祭 前期間
清蘭高校 生徒会室
SIDE 明日香
「それでは来月に迫った、学園祭の話し合いをしたいと思います。」
「今年は例年と比べて来場者は格段に増えると思われます、その対策としまして入場者の制限を行うかどうか、そして悠馬くんの居る1-Aに出し物を許可するかどうかですね。」
「そうですねぇ~・・・正直どちらも難しいと思います。入場制限は苦情が殺到するでしょうし、A組に出し物を禁止は最悪の場合は悠馬くんが恨まれることになるかと・・・。」
「そうだよねぇ~・・・。何か対策を思いつく人は居る?」
「「「・・・・・・・・・。」」」
「どうしましょうね、どっちを犠牲にしてもいい結果にはならないし、かと言って・・・どちらも満たす条件となると・・・。」
「A組の出し物に人が殺到するのは間違いないでしょうし、そこだけ行って帰るって人も多いかもしれませんしね。」
正に頭を悩ませているのはそこなのだ。
全員が全員そうだとは言わないがそこだけ行く人、入り浸る人っと絶対に出てくる。
そうなると他のクラスや部活の出し物の意味が無くなってしまうのと、皆のやる気の問題も出てしまう。そして最悪、悠馬くんが恨まれてしまう。
「皆が皆とは言わないけど思い出は残したいものね。そしてそれは悠馬くんも同じ、彼だってクラスの出し物だけに拘束されるのは本意では無いでしょうしね。」
「会長、この際ですし悠馬さん本人に知恵を借りるのはどうです?彼も自分のせいでクラスメイトや他の生徒に迷惑をかけるのは本意では無いでしょうし。」
「そうね・・・。明日にでもクラスを訪ねて聞いて見る。もしかしたら名案を出して貰えるかもしれない。」
「では、この案件は一先ず後回しにして、他の部分を話し合いましょうか。」
「そうね、他のを進めて頂戴、次の議題よろしく。」
話し合いが進んでいく中、私は明日はどのタイミングで訊ねるべきか?いつなら迷惑が掛からないのかっと考える事に意識を使っていたのだった。
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「ごちそうさまでした。美味しかったよ、ありがとな、清華。」
「お粗末様でしたっ。まだまだ志保には追いつけないけどね。」
「そんな事ないですよ、清華さんの味付けだってとても美味しいですし勉強になります。」
「俺も、愛央のも志保のも清華のもそれぞれに味付けの違いとかあって毎回美味しくて大満足だな。って何か偉そうな言い方になったな、ごめん。」
「良いよ良いよっ。満足してもらえてるなら嬉しいから良かったっ。」
「私達、邪魔じゃない?誘ってくれるのは嬉しいけどさ。」
「気にしない気にしない。悠馬に告白したんでしょ?二人共。」
「「う、うん・・・。付き合うって事にはなって無いけど・・・。」」
そう薫と悠花の事も3人には話してある、と言うか・・・ポロっと零した後に3人に詰め寄られて確りと説明を求められて
そんな訳で俺に直接告白して来た薫と悠花に関してはお昼とかはこれからたまに一緒する事にしたのである。
「まぁ・・・良いと思うよ?大勢の方が楽しいのは間違いないしね。」
「それはそうだけど、良いのかなぁ~?って思っちゃうよ。」
「友人でも無いと言うなら兎も角、友人なのですから問題ないですよ。」
志保の言葉に俺等は揃ってうんうんっと頷いて、「それに・・・。」っと俺が続けて・・・。
「来年になったら少なくても健司は誘ってやりたいと思うし、えっと、ほら・・・柚美ちゃん達も合格出来たら同じように加わるかもしれないしな。」
「そうだねー。そう考えると来年からも楽しそうで今から楽しみだね。」
愛央の同意に志保も清華も考えたのか楽しそうな顔をして話して居たら教室の扉が開いてそこには明日香会長が立って居た。
「失礼します、悠馬くん居ますか?」
「居ますよー。明日香会長どうしたんですか?」
「いきなりごめんなさい。少し時間貰える?」
「えぇ、勿論。どうしました?」
「うん、あのね。少し知恵を貸して欲しくて・・・。」
「知恵ですか?俺が先輩に教えられる事なんて無いと思いますけど・・・。」
「えーっとね・・・。学園祭の事なんだけどね。」
「来月でしたっけ?今から楽しみですよ。」
「うん、それなんだけど・・・・・。えっと・・・・。」
俺の言葉に明日香会長は言いずらそうにしながら言葉に詰まっていて・・・。
「どうしたんですか?何か悠馬さんに知恵を借りたいのでは?」
「あ・・・。あ~・・・私分かったかも・・・?」
「何がです?清華さん。」
「何か思いついたのか清華?」
「うん、まぁ・・・確かに言いずらいかもねこれ。私から言って良い?多分合ってると思うけど。」
コクリと会長の同意を得た清華が話し始めた。
「悠馬くんが居るから来場者の増加があるのは間違いないから入場制限するかどうかとそれに伴ってA組へのお客さんの増加、それと出し物を許可するかどうかって所かな?それで仮にA組に出し物を許可しない場合の悠馬くんへのヘイトの増加って言うかクラスメイトに恨まれるのでは?って所でしょ。」
「うん、正解・・・。」
あぁ!成程っ!っと俺も愛央も志保も悠花も薫も聞いていたクラスメイトも頷いて居て、俺自身も確かにそれはあるかっと気付いた。
俺達が揃って難しい顔をしてるのを見て明日香会長が慌てて一つ否定した。
「あぁでも!!勘違いしないでね!出し物を許可しないって話は確かに出たけどそれは酷すぎるって事で禁止にはしてないから!」
「それなら良かった・・・。禁止ってなったとしても別に恨んだりはしないけど。」
「うん、思い出が一つ減るってだけだしね、寂しいのは寂しいけど・・・・。」
そんな薫と悠花の声に周りも頷きながらもそうなったらなったで仕方ないかって顔はしていた。
俺は特に返事もせずに少し考えを纏めていたけどどうやらそれが不機嫌に見えたようで・・・。
「二人共・・・。」
「え?・・あっ!ごめん!悠馬くんの前でする話じゃなかった・・・。」
「ごめんなさい・・・。」
志保のきつめの視線と言葉に焦りながら俺に謝って来て俺もそれには流石に反応した。
「え?あぁ・・・、違う違う。怒ってるとかじゃ無くて少し思いついた事があってさ。明日香会長、この話は放課後に生徒会室でしません?どっちにしても昼休みだけじゃ時間足りないですし。お邪魔しても良いです?」
「勿論っ!・・・って何か思いついたの?!」
「まぁ・・・。上手く行くかは分からないですけど俺を利用すれば行けるんじゃないかなっとは思ってます。」
「「「利用?」」」
俺の言葉に愛央も志保も清華もどう言う事って顔して俺を見詰めて来る。
「まっ!詳しくは放課後に、愛央、志保、清華、悪いけど付き合ってくれ。」
「「「勿論っ!」」」
っと同意してくれて、詳しい話は放課後にするって事でひとまずは纏まったのである。
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