第145話 清蘭祭 生徒会室にて

「それじゃ、思いついたことを聞かせて貰える?」


放課後になって過ぐに愛央と志保、清華と合流して俺達は揃って生徒会室にお邪魔して、少し落ち着いたころに明日香先輩から思いついたことを教えて欲しいと聞かれた。


「えぇ、先ず今、皆さんが悩んでいる問題についてですけど、俺がいる事で入場者が例年よりも増えるのをどうするかって点に関してですが、これは警備員を雇うなり入って良い場所、駄目な場所を確りと明確にして入っては駄目な場所はしっかりと鍵をかけるなり通行止めにするなりで、そもそも近寄るのも無理な状態にする事で別に制限をかけなくても良いかと、それで問題がゼロになる訳では無いでしょうけどかなり減らせるかなと思います。

そして、入場者が増えると言う事は学校に入ってくるお金も増えると言う事ですから最初に言った通り外部に警備員を頼んだとしても赤字にはならないのでは?っと思います。」


「うん、確かにそれなら・・・。」


「そして次に俺の所属するA組の出し物に関してですが、禁止にしてはいないと言うのは昼に聞きました、ですが喫茶店でもやればそこに人は集まるでしょうし中には入り浸る人も居るでしょう。

それで満足して他は見ないで帰るってのが問題では?って認識で良いですよね?」


「その通りよ。流石に全員が全員ではないでしょうけどそう言う人も出て来るだろうってのが正直な所。」


「なので・・・一つ、学校全体でゲームしましょう!」


「げ、ゲーム・・・?」


「どう言う事、悠馬?」


「スタンプラリーですよ、スタンプラリー。」


「ん?ん?」


俺の提案に全員が全員、頭の上に????って浮いてるのを少し笑いながら続きを話す。


「例えばですね、一日目には各教室の出し物から5つ。二日目は部活関係の出し物から5つ回って貰ってそれぞれスタンプを集めます。」


「う、うん・・・。そこまでは分かるけど・・・?」


「景品は、俺のブロマイドでどうでしょ?説明会の時の写真のデータ残ってるでしょ?それで作っちゃうんですよ。」


「「「はっ?」」」


「一日1枚、おひとり様一回限定でね。」


「ええええ?!」


「俺はほら、商品価値ある訳だしね?」


「悠馬っ!」「悠馬さんっ!」「悠馬くんっ!」


「な、何っ?!どうしたの3人共。」


「二度と言わないで!」


「そうです!二度と言わないでください!」


「流石にそれは怒るよ!ってか許さないよ!」


「え?いやだって、見に来る人の目的って俺だろ?学校側だってそれを表立って言わないだけで当てにしてるんだし悩んでる問題も俺の事だろ?」


「違う!そこじゃない!!!」


「そうです!違います!」


「あのね!私達が怒ってるのは悠馬くんが自分をなんて言うからだよ!」


「だよっ!ブロマイド云々は仕方ないと思うよ、実際あの説明会のパンフレット何てYouMa写真集とか言われてるし!だけどね!?自分を商品価値が高いからってそれを利用するのもだし自分で言うのも嫌なの!・・・・悠馬本人がそんな風に自分を見ないでよ・・・言わないでよ・・・・。」


「そうですよ・・・。そんなの悲しすぎるじゃ無いですか・・・。私達だって悠馬さんが悠馬さんだから恋をして側に居るんです・・・。」


「悠馬くんに商品価値が高いから好きになった訳でも側に居る訳でも無いよ。私達は悠馬くんだから恋をしたんだよ・・・。だからそんな考えは捨ててよ。そして二度と言わないで・・・。その言葉は私達も傷つくよ・・・。」


愛央も志保も清華も俺に詰め寄りながら怒って泣いてそんな事を言ってくれた。

確かに俺だって愛央達が自分の事をそう言ってたら悲しいし怒るわな・・・。


「あ、・・・うん。言い方悪かった、ごめんな。俺も3人からそんな言葉出て来たら悲しいし怒るわ。だから、ごめん。」


そう言って3人を抱き締めて慰めながら謝って・・・・。


「んっ。んんっ!仲が宜しいのは大変結構なんですがー・・・。」


「ここでは勘弁してくれませんかねぇ?だれかーコーヒー頂戴ーブラックでー。後、冷房いれてー!なんか暑くなってきたーーーー。」


「「「「あっ・・・。ごめんなさい・・・。」」」」


そう言って俺達は離れて椅子に座り直して小さくなった。


「えっと・・・それで何だけどスタンプラリーは確かに良いかも知れないけど・・・良いの?」


「まぁ、仕方ないかなーっと。手に入っても2枚だけだし俺が目的の人であるなら参加はするんじゃないかなっとおもいまして。」


「ん~~~~~、恋人側としては余り宜しくはないけど仕方ないっちゃ仕方ないのかな~・・・。」


「明日香、仮にやるならだけどさ、そっちに人数制限つけてやって。」


「そうですね、来場者全員分なんて用意出来ないんですし、入場制限を付けるよりはスタンプラリーの方に人数制限をつけるって事が良いかと。」


「そうだ、例えばだけど午前と午後に分けて一日分の人数制限をいれるってのでどうです?勿論の事だけど事前にお知らせは無し、当日に来た人だけが知るって形で。」


「後は参加費を取れば準備分もある程度は回収できるんじゃ無い?」


「うん、悠馬くんが良いのであればそれで行きたいなっとは思うけど・・・。後は教師陣から許可が下りるかどうかだね・・・。」


「明日香先輩、もしごねるようであれば俺からの提案である事と学校側としても来年からの男子の入学数を稼げるかも知れないって目論んでるでしょう?っと、俺が言っていたと。」


「会長、個人的な意見で申し訳無いですけど悠馬くんを売り物みたいに扱うのは反対です。ですが・・・本人が言う通り効果的であるのは間違いないと思います。」


「それは分かってる。私だって個人的な感情で言えば反対よ。

でも生徒会長って立場で考えたら一番効果的な提案ではあると思う。

少なくても禁止してA組の生徒や全校生徒が悠馬くんを恨む事になるような事態にはならないのも間違いない。」


「でも・・・。」っと明日香先輩は悩んでくれて、それに嬉しくなりながらも俺は更に提案を重ねる。


「学校側から予算云々を言われたらこう言ってください、ブロマイドやスタンプ分のお金は必要なら俺が出すと言っていたと。YouMa効果でお金はありますから俺。」


「うぅぅ・・・。それはそうかもしれないけどっ!でもっ!そこまで言ったら私かなり嫌な奴じゃない?」


「そこはまぁ・・頑張ってくださいなっ。

まぁ、あれですよ。学校側だって意地やプライドはあるでしょうしまさか生徒がお金まで出すよって言ってるのをそのままのむって事も無いんでは?」


「そうかも知れないけど・・・。はぁぁぁぁ・・・分かりましたっ!分かりましたよー!取り合えず提案はしてみる。

駄目だったらまた考えましょう、その時は知恵を貸してね?」


「乗り掛かった舟なのでそこは勿論ですよ。これで決まるに越した事は無いですけどね。後、一か月しか無い訳だし・・・。」


そうして俺からの提案をとりあえずは出してみるって事で話し合いは終わって俺達は一足先に生徒会室を出て帰る事になった。


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SIDE 明日香


「それで、実際どう思ってるの?明日香。」


唯恵が悠馬くん達が出て行って少ししてから聞いて来た。


「多分、受け入れられると思う。私だって悠馬くんが自分をあんな言い方したのはイラついたけど実際に効果的であるのは事実なのよね。」


「そうだね、説明会の後も問い合わせ多かったしね。その事を知ってる訳では無いと思うけどあの提案は予想外過ぎる・・・。」


「うん。てか私も欲しい・・。」


綾香の呟きに他のメンバーも激しく頷いてたけど、私だって欲しいわ!って言葉はギリギリで踏みとどまった。


「とにかく!先生の所に持って行ってみる、気は重いけど・・ね。」


「商品価値か・・・・。愛央ちゃん達も怒ってたけど実際にそう言う部分もあるんだよね・・・。悲しい事にさ。」


「そうだね。悲しいし、寂しい事だけどそれも事実なんだよね。」


「はぁぁ・・・!しっかりしろ!私!せっかく悠馬くんから提案されたんだ!覚悟決めて行ってくる!」


私は気合いを入れなおして生徒会室を出て一人、職員室に向かって歩き出したのだった。


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