第139話 助けた子の正体は

「だ、だだ、だだだ、大丈夫?!怪我は無いですか?!」


直ぐに車を路肩に止めて運転手のお姉さんが降りて俺とこの子の側まで物凄く焦った状態でやってきた。


「落ち着いてください、俺もこの子も怪我もしてないですから大丈夫です。

それに悪いのはこちらですから・・・。」


「いやでも!」


「気にしないでと言っても無理でしょうし何も無くて良かったと思いましょう!お互いに。・・・それと、君はちゃんと謝りなさい。」


俺の言葉にぼけーっと気の抜けたような顔をしていた少女がはっ?!っと意識を取り戻して直ぐに。


「ご、ごめんなさい!」


ぺこぺこと頭を下げながら女の子は謝っている。


「うん、もう大丈夫だよ。これからはちゃんと気を付けてね?」


「はい・・・ごめんなさい・・・。」


お互いに謝罪合戦になるのを止めてお姉さんも仕事の途中と言うことでその場を離れ俺と女の子の二人だけになった。


「改めてありがとうございました。」


「無事で良かったし小学生かな?しっかりしてるんだね。」


「いえ、そんな事は・・・今も道に迷ってしまって困って居ましたし・・・。」


「あれ?迷子だったのか。ん~・・・近所の人の名前とか分かる?」


「えっと・・・あ!逆月さん!って言う大きな家に住んでる人が近くに居ます!」


女の子の口から出て来たのはまさかの俺の家の名前だった。


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「あぁ、成程ー。最近、引っ越してきたのなら迷うのも仕方ないね~、それにしても雪村さんの所の子だったんだね。」


「母を知ってるんですか?」


「俺は会った事は無いけど母さんがね、この間、家に訪ねて来たからって中にいれて話してたのを聞いたんだよ。」


女の子と連れ立って俺は自宅の方にこの子も自宅にっと一緒に帰ってた。


「お兄さんのお母さんがですか?・・・え?逆月さん・・・?」


「正解っ。逆月悠馬、高校1年生だ。改めて宜しくね?」


「悠馬さん・・・?・・・って?!YouMaさん?!」


「正解っ。気付いて無かったんだねっ。」


「全く気付きませんでした・・・。どこかで見た事あるなーっとは思ってましたけど・・・。まさかそれがYouMaだなんて思いもしませんでした・・・。」


「そんなもんだよねー。ところで、名前は何て言うの?」


「あっ!ごめんなさいっ!私の名前は陽依里ひより、雪村陽依里です!小学5年生です!よろしくお願いします!悠馬さん!」


「こちらこそ宜しくね。取り合えず連れて行くから帰ろうかっ。」


「はいっ!よろしくお願いしますっ!」


そうして、俺と陽依里ちゃんは色々な事を話しながらゆっくりと歩きながら帰宅したのだった。


…………………………………………………………

「着いたね。この辺は覚えられた?」


「はい!多分大丈夫だと思います!ありがとうございましたっ!」


「良いよ、良いよ。ご近所さんだしちょくちょく会うと思うからこれから仲良くしてね?今度は妹も紹介するから。」


「はい!楽しみにしてますね!本当にありがとうございましたっ!」


「うん、それじゃ・・・「陽依里?その人は?」・・・うん?」


「お姉ちゃん!おかえりなさい!」


「うん、ただいま。それで・・・。」


俺のことを訝しげに見てくる女性・・・まぁ、小学生の妹と話していればそうもなるか。


「逆月悠馬さんって言って迷子になって車に轢かれそうになった私を助けてくれて、ここまで連れてきてくれたの!」


「そう、って車に轢かれそうになった?!怪我は無いの?!」


「大丈夫だよー、何処も怪我してないよ。」


「そっか、良かった。えっと・・・妹を助けてくれてありがとうございました。」


「いえ、偶々通りかかったのと、ご近所さんだと分かったからってだけなのでお気になさらず。」


小学生の妹と話す高校生の男を何処か訝しげに見てたお姉さんの視線が少し和らいだ所で俺はそのまま帰ることにして。


「それじゃ俺はこれで。陽依里ちゃんもまたね。」


「はいっ!ありがとうございましたー!」


陽依里ちゃんの元気な声とお姉さんの会釈に見送られて俺はその場を後にした。


…………………………………………………………

SIDE 雪村姉妹


「ねぇ、本当に何もされてないの?」


「お姉ちゃん、悠馬さんに失礼だよ!!知ってるでしょ!?そんな人じゃ無いって!」


「知らない人なんだから、分かるわけ無いでしょ。」


「え?本気で言ってるの?悠馬さんだよ?」


「うん、本気だけど?」


「はぁ〜・・・お姉ちゃん、ファン失格・・・。」


「え?・・・えぇ?!ちょ、ちょちょ!まさか・・・?」


「YouMaだよ・・・今の人。」


「ぇぇぇぇええええ?!ほ、ほんとに?!」


「ほんとにほんとだよ。」


「うぅ・・・言ってよ・・・。めっちゃ失礼な態度取っちゃったじゃん・・・。」


「お姉ちゃんが気付かないと思わないもん。」


「だってぇ、陽依里の側に男性が居るんだもん、心配が勝ったのよ・・・。」


「それは嬉しいけど、そんな雰囲気でも無かったでしょー。この間、お母さんが挨拶に行ったでしょ?」


「あぁ、あの豪邸の・・・。はぁぁ〜・・・。」


「悠馬さんも言ってたけどご近所さんだし会えた時に謝っておけば良いんじゃない?」


「うん、そうする。てか、お母さんに頼んでお茶会にでも呼んでもらおうかな〜・・・。」


「悠馬さんが嫌がりそう、それ・・。」


「うっ・・・でもあんな家に住んでるんだし家の母とも取引がある会社の人なんだからそういうお付き合いも経験してるんじゃないかな~?」


「どうなんだろねー、まぁ何にしてもお家に入らない?ここで話してても仕方ないしお姉ちゃんの言うお茶会の事だってお母さんに話さないとやって良いかも分からないしさ。」


「そ、それもそうね!入りましょ!」


そうして私達は逆月家にも負けない自宅へと入って家にいる母親にYouMaさんに会った事、車に轢かれそうになったのを助けて貰った事、迷子の私を家まで送ってくれた事、お姉ちゃんが失礼な態度取った事(言わないでよ!)っと怒られたけど・・・。


そして、お姉ちゃんがお詫びもかねてお茶会をしたいって話をしたら、今度ホームパーティーをするからそこに葵さん達、逆月家を誘う事を教えてくれた。

外じゃなく家の敷地内でまた会えるって分かって私の胸は高鳴るのだった。


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小学生っぽくないなこの子・・・・(;´Д`)

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