第125話 少し自信を持てた健司
SIDE 稲穂 健司
シャコシャコシャコシャコっ。
一定のリズムでかき混ぜて生クリームになるようにまずはメレンゲを作って行く、毎回思うけど本当に力仕事だよなこれ・・・・。
やって見て分かったけど機械も無くこれを作っていた当時の女性の職人さん達の苦労って凄かったんだろうな・・・。
あの日、悠馬さんに諭されて実際に色々と確認してみて本当に、女性のお陰で自分の食事や人間らしい生活が出来ているのだと、こうやって実際に自分で作ってみたりして心から悠馬さんの言ってた意味を理解した。
「稲穂くんって変わってるね。」
「え?変わってるって何が?」
門倉さんがボウルを抑えながら俺にそんな事を言ってきて素直にどう言う事だろう?って聞いた。
「いや、だってねぇ?普通の男子なら自分から進んでこんな力仕事しないでしょ。それに昨日のアレもそうだし今日だって穏やかだしうちらに普通に着いてくるしさ。」
「えっと・・・ダメだった?」
「んーん。全然良いんだけどね、男の子と話せるのはこっちも嬉しいしさ、流石に悠馬先輩みたいな有名人だと緊張で死にそうになるからもたないし・・・。」
「あはは・・・。確かに門倉さんだけじゃなく立花さんも小河原さんも緊張しまくってたね。」
「てか、稲穂くんは緊張しないの?悠馬先輩は勿論だけど3女神もさ。」
しない訳無い・・・。俺だってずっと緊張しっぱなしだっての。
「しない訳ないって・・・。でもさ、少し話したけど出会った時に悠馬さんにも天音先輩にも迷惑かけたからさ。」
「天音先輩にも迷惑かけたって?」
「えっと悠馬さんに怒られた場所がステイルだったから・・・。」
あぁ・・・っと門倉さんは察したらしくこの程度の説明で納得してくれた。
「それで今日の謝罪って訳かー。」
「許して貰えて本当に良かったよ。謝りたいって思っては居たけど実は凄い怖かったし昨日も言えなかったからさ。」
そうなのだ、昨日も言えなかった事を帰ってから物凄く後悔したから今日、もし会えたら謝ろうって決めていたけど怖かった、でも許して貰えたから本当に良かった。
「まぁ・・・悠馬さんが認めてくれてるからこそ・・・何だろうけどさ・・・。」
「それはあると思うけどいい結果に収まったんだし良いんじゃない?」
コクンっと頷いて目の前の作業に集中しなおして遅れて迷惑をかけないように頑張らないとな。こう言う事だって天音先輩に言われた精進の一つだと思うし。
「何にしても悠馬さんは俺の目標だからあの背中に追いつくなんてそれこそ死に物狂いで頑張らないと駄目なんだろうけど、諦めるって気が起きないんだよね。だから会って話すのは緊張するし、星川先輩さん達もそうだし緊張してても出来るだけ表に出さないで堂々として居たいって思ってやってるだけだよ。言っちゃえばハリボテみたいなもんだね。」
「ハリボテかー。まぁ良いんじゃない?それすら出来ない人の方が多いんだしそう言う形から入る的な努力も大事なんじゃ無いかな?って思うよ。」
「だよね。何かちょっと自信付いたかもありがとね、門倉さん。」
そう言って俺達は終始和やかに作業を進めた。
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む?何か千里と稲穂くんの空気がほんわかしてる?
まぁ、悠馬先輩のおかげとは言え他の男子と違ってしっかりと私達と話してくれるし穏やかだし会話をしやすいのは分かる。
これが悠馬先輩だったら私も千里も涼もあぁは出来ないし。
はぁ〜、緊張しすぎて言動おかしくなるの何とか出来ないかな〜・・・。
悠馬先輩がってより男子って存在に馴れてないってのが一番大きいんだけど、かと言って馴れるために他の男子と関わるのも前ならともかく、今はなぁ〜・・・。
「ありがとね!」
「ふぇ?何がですか?」
考え事をしていたら付いていてくれた先輩からお礼を言われて何のことだろ?ってなっちゃった。
「男の子連れてきてくれたこと、悠馬くんを連れてきてくれたことねっ。」
「稲穂くんに関しては昨日の事もあってたまたまですよ、悠馬先輩は私達も驚いてます。昨日は私達の行動を気にしてもらえてお話は出来たけど今日も会えるとは流石に思ってなかったですし。」
そう、会えたら良いな、会いたいなっとは思っていたけど、会える何て想像もしてなかった。
「やっぱり悠馬先輩は大人気なんですか?」
「そりゃねぇ〜。かっこいいだけじゃなくて、優しいし面倒見も良いし、頼りになるし、入試の最高得点更新されてるのは知ってる?あれね、悠馬くんの点数だよ。主席合格で代表挨拶してるし、後輩に聞いたら期末の順位も一位だってさ。その上運動神経も良い。さらに言えば声も良くて歌も上手いでしょ?二次元から出てきたのってくらいの男子だもん人気が無いわけないよ。」
「聞けば聞くだけ知らなければ妄想の人?って思っちゃいますね。」
うんうんっ!っと先輩が頷いてるのを見ながらあの更新された点数は悠馬先輩だったのか・・・っと憧れも強くなったけどほんとに人間?っと思ってしまう。
「でもそんな人の恋人になってる星川先輩達は嫌がらせされたりしてないんですか?」
そうだ!涼の言う通りそんな凄い人の恋人なら妬まれて嫌がらせされてもおかしくは無いはず。
「ないないっ!先ずそもそもにして嫌がらせなんてしたら悠馬くんに嫌われて激怒される、モールで悠馬くんに思いっきり言われて〜って動画見たことある?」
「ぁぁ・・・。痙攣して泡吹いてるアレですか?」
「そそ。あれね?星川さんなんだよ一緒に居たの。一緒に居た星川さんをディスったみたいでね、そしたら悠馬くんが烈火の如く怒り出してのアレってわけ。」
「そんなのあるんですか?悠馬さんが女性をそんなになるまで追い込む何て想像できないんですけど?」
どうやら稲穂くんはあれを見てないらしくきょとんっとしてる。
「見てないんだねあれ。殆んどピー音で何言ってるかは分からないけど言われてたやつらは顔色がどんどん青くなって行って泡吹き始めて倒れ込んで痙攣してってなっても悠馬くんは責めるの止めなくて星川さんが止めないと死ぬまでやったんじゃないかな?ってレベルで激怒したの。回りで聞いてた他の人達も真っ青通り越して白くなってたしね。」
ほぇ~っと・・・悠馬さんがそこまで・・・っとどこか感心したような顔で話を聞いてる。
「んでまぁ、話を戻すけど星川さん達に危害加えたりしたら悠馬くんの激怒からの学校中から総スカンは確実になるだろうし下手したらYouMaファンの襲撃までもあるかもしれない、リスクが大きすぎて羨ましいなって思うのは沢山いるけど誰も手を出さないの。」
あぁ、成程・・・、確かに学校中からの総スカンだけでも地獄だ・・・。
「学校と言う閉じた世界の中で居るのに居ない扱い受けるって地獄ですね・・・。」
「うん、そう言う事。まぁ・・それに何よりさあれ見てよ。」
先輩の指の方向には悠馬先輩が星川先輩や天音先輩と楽しそうに笑顔で話してる。
それを見て、あぁそっか・・・って理解した。
「分かった?」
「「「はい。あの笑顔が曇るのは嫌ですもんね。」」」
「そう言う事っ。あの笑顔を見れるだけでも私達はラッキーだもの。」
私達3人は声を揃えて同じ答えを口にしたのだった。
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