第121話 どれを受けよう?!

そして次の日、幸せな終わり方をした説明会から一夜明け私達3人娘は今日も清蘭高校の校門の前に揃っていた。


「はぁぁ・・・。今日も来た・・・。」


「昨日凄かったもんね・・・。」


「絶対に忘れらない日になったものね。」


昨日の事を3人共、校門の前で思い出して居た。星川先輩から声がかかってその後まさかの悠馬先輩との邂逅。

本当に凄くて忘れられない日になった。


「えっと先ずは講堂だっけ?」


「そうね、今日の日程の説明をしてそこから各自で移動して先ずは授業、お昼を挟んで部活動の見学で終わりだったはずよ。」


「だね!それじゃ先ずは講堂にいこー!」


千里の掛け声で私達は昨日のように講堂に向かって歩き出した。


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「皆さん、こんにちわ。昨日はご清聴ありがとうございました。本日もこうやって皆様の顔を見れられる事を嬉しく思います。」


昨日に引き続き悠馬先輩が司会、進行をしてくれている。

流石に昨日と違うのも違和感があるって事なのかも知れないけどご無理だけはしないで欲しいと思います。


「では本日の日程の説明になります。

先ずはお昼までの時間の間に2種類の授業を受ける事が出来ます。

その後、お昼休憩を挟んで午後に部活動の見学して終わりとなります。

尚、お昼休憩ですが学食を利用するのも良いですし、お弁当を持参している方はそれを食べるのも良しとなっています。正し、立ち入り禁止の場所もありますのでそこだけはお気をつけください。」


悠馬先輩の説明を聞きながら私はずーーーっと目を離せずに瞬きも忘れて見続ける。


「それでは皆様、本日も楽しんでくださいね?」


そう言って笑顔で手を振りながら壇上から降りた悠馬先輩を見送って、私達は気合いを入れ直して何処から受けに行くかの相談を始めるのだった。


「それで何処から受けに行く?古文、現代社会とかの5教科の他にも家庭科もあるんだっけ?」


「そうねぇ、先ずは現代社会でも受けましょうか、正直、高校の内容の古文とか数学とか科学とか化学とか受けてもわからないもの。

2教科目に家庭科でも受けましょうか?お昼のオカズかデザートでも手に入るかもしれないでしょ。」


「あ〜確かに今の数学でも分けわかんないのに高校の内容なんて理解できるはず無いもんね。

それに比べて現代社会なら何とか?だと思うし。」


「なら、決まりだね。早く受け付けしておこう!確か家庭科の場合は必要だったよね?」


「そうね、そうしましょう。」


受ける授業を決めた私達はサッサと行動を開始して家庭科を受ける場合の人達の受け付けをしている場所まで急いだ。


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「あれ?稲穂君?」


「ほんとだー、昨日ぶり!おっはよ〜!」


「おはよございます、稲穂さん。」


「あ、3人ともおはよう!家庭科受けるの?」


「うん!2つ目のだけど受けるよ。」


「稲穂さんは男子なのに珍しいですね?」


「あ〜えっと、パティシエになるが夢でさ、恥ずかしいんだけど前にステイルで問題起こして悠馬さんに怒られて俺は何の努力もしてないってのに気付いたから、お菓子だけじゃ無く他の料理とかもって思ってさ、それで、練習してるからだよ。」


成程っ!これもYouMa効果の一つなのかな?

本当に憧れの先輩は色々な意味で凄すぎる。


「1つ目は決めたのですか?」


「いや、まだ迷っててさ、どうしようかな〜って思ってるところだよ。」


それを聞いた私は、千里と涼を見て、頷いたら二人も同じ考えだったらしく、直ぐに頷いてくれた。


「もし良かったら何だけど、私達と一緒しない?現代社会を受けるんだけどさ。」


「あ、良いの?知り合い?が居るのは助かるかも。」


「じゃー、決まり!早速いこー!」


私達は稲穂君を連れて授業が行われる1-Aの教室に向かって、4人揃って座れる場所を見つけて私達は授業が始まるまでの間に稲穂君の悠馬先輩と何があったのかを聞かせてもらって、結果、自分が変われた事を昨日ので初めて実感出来たと喜んでいた。

それに伴ってお菓子作りは体力勝負だと言われたこともあってダイエットしたり筋トレしたりと自分磨きも頑張っているみたい。


「でも、痩せたりして悠馬先輩みたいにモテ始めたら調子に乗って天狗になるんじゃないの〜?」


っと、千里が失礼な事を言い始めたのを見て私は流石に注意した。


「失礼だよ、千里ちゃん。そうなるって決まってる訳でも無いのにさ。」


「あ、あはは・・・、門倉さんはきついこと言うなぁ〜。

まぁでも、確かにその可能性はあるよね、悠馬さんに知り合ってなかったらだけど。」


「どゆこと?」


「俺さ。てか俺の家か・・・母さんと姉さんと居るんだけど悠馬さんに怒られた時に一緒でさ、一緒に話聞いてる内に自分達の間違いにも気付けたってさ・・・。」


え?それってとんでもなくない?言っちゃえば子供が大人の考えを変えちゃったんでしょ?


「それからだよ、家族の中でどことなくあった遠慮っていうか俺を怒らせないようにとかって甘やかしが無くなって、俺も母さんと姉さんの二人に物怖じすること無く話せるようになってさ、今の家族の空気が凄く良いんだ。

俺もそれを守りたいって思えるようになったし苦労かけてる分返せるようになったら返したいって思ってるし。」


そんなことを千里の言葉に怒るわけでも無く稲穂君は私達に話してくれて。


「だからってのも変な話だけど絶対に調子にのるなんてのは無いかな。」


「そっか。うん、素敵だと思う。さっきは失礼なこと言ってごめんなさい。」


「頭上げて?!怒ってないしそう思われても仕方ないのは分かってるからさ!!」


千里が素直に謝罪して座りながらも頭を下げたから稲穂君は慌てながら大丈夫だと伝えて、何かほんわかとした雰囲気が私達を包んでいた。


「まぁ、それに何より・・・そんなことで調子になんて乗って天狗に何てなったら悠馬さんから大目玉だよ、絶対・・・。」


それは確かにありそうだな〜っと私だけじゃ無く、千里も涼も想像できてしまったのだった。


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