第118話 悠馬を目標にしている人

「お前ら何のためにここに来てんだ!!進学する学校説明聞きに来てるんじゃねーのか?!」


「はぁぁぁ?!何でお前にそんな事言わなきゃなんねーんだよ!」


「説明を聞く気が無いなら出て行けよ!真面目に進学しようとしてる人達の迷惑だ!」


「てめぇ!何調子に乗ってんだゴラァ?!」


「俺等が常に正しいんだよ!調子乗ってるくそ虫こそ出ていけや!」


っと文句を言い始めたやつらを止める為に大声を出した男の子に対して数人が詰め寄ってどんどんヤバい雰囲気になってる・・・。


「癇癪起こしてるやつらが偉そうにするな!俺は間違えてない!聞く気がないお前らこそ出ていけ!!!」


っと一切、ひるまずに言い返してる、あんな男子も居るんだ・・・。

って関心していたら「てめぇぇぇ!!!」っと顔を真っ赤にした男子が止めに入った男の子の胸倉を掴んで腕を振り上げた。


「そこまでだ!そいつの言ってる事が正しい。その手を放して下ろせ、そのまま殴った場合、俺がお前をぶっとばす。」


いきなり声が聞こえてそちらを見た私はその人の姿に一瞬で目を奪われて・・・。


「え・・・・・?」


壇上に一人の男子が立って居て間一髪のところで止めたんだけど、私を含めてその人の姿に、その人が何でそこに居るのか分からなくて声も出なくなってる。

でも、私も千里も涼も他の女の子達も保護者の人も全員が全員その壇上の男の人から目を離せなくなってるのだけは・・・回らない頭で理解出来た・・・。


「聞こえなかったか?手を放せと言ったんだ。」


そう静かなんだけど何処か威圧感のある言い方で言葉を紡ぎながら静かに講堂を歩いて揉めてる男子達の所まで歩いていったその人は何て言うか・・威風堂々?とでも言えば良いか、これだけの女子に見られてるのに怯える事も無く、ましてや揉めてる男子に怯むこともなく堂々とした姿で・・・。


「お前も良く吠えた、やれば出来るじゃん。正直、見直したぞ。」


「ゆ、悠馬さん・・・。何で?」


「その辺は後でだ、後は任せろ。・・な?」


「は、はいっ。」


「さて・・・敢えて聞こうか?お前達は何が目的で今ここに居る?」


「「いや、えっと・・・それは・・・。」」


っとすっかりとYouMaさんの雰囲気に飲まれた男子達がしどろもどろになってるのを尻目にYouMaさんはどんどん、言葉を紡いでいく。


「ほら?答えて見ろよ?何をしにここに来た?説明を受ける為じゃないのか?それとも男色のお仲間でも見付けに来たか?」


「「ぶふぅ。」」っと周りから噴き出す音が聞こえて来て、私もあんまりな言い方に我慢するので精一杯になりながら見続けたけど、笑われたのに気付いた男子がこっちを睨んで来た。


「おいっ!何を睨んでいる!図星つかれて笑われたからか?!」


ビクっと身体を揺らして下を向いてYouMaさんからの睨みから視線を外してる男子に向けて止めを刺しに行ったらしく・・・。


「あぁそう言えば俺を見に来たとか俺の司会を聞きに来たとか言ってたっけ。さしずめお前らのママに騙されたか、もしくは自分の妄想と現実の区別がつかなくなったかのどちらかだろうな。それと俺は普通に女の子が好きなのでね、お前らみたいな男色には一切興味も無ければ興奮も有り得ない。お前らがどれだけ頑張ろうが俺と何かってのは未来永劫有り得んよ。」


その言葉と共にがっくりと肩を落とす男子、床に手をついて項垂れる男子、茫然自失になってる男子と半数ほどが落ち込んでる。


「理解したのなら出ていけ。喚き散らすだけの3歳児のいる場所ではない、自分のオスを探しに来ただけの奴も同じだ。ここはお前らの居る場所じゃない。真面目に聞くやつだけ残れ。さっさと失せろ、目障りだっ。これで良いですかね?先生方、そして明日香会長。」


「えぇ。ありがとうね。」「責任はこっちで取るから。」


「ありがとうございます、それとお前。」


「は、はいっ!」


「さっきは良く吠えたな。ステイルの時から随分と変われたみたいだな。」


「あ・・・ありがとうございます!悠馬さんに言われて目が覚めました・・・。悠馬さんに少しでも近づきたくて・・・おれ・・・おれっ。」


「だーーもう、泣くやつがあるかっ!お前はこっちに来い、ここに居たんじゃこいつらに何されるかわかったもんじゃない。」


「ここと違って下は少し暑いんだけどな。」そう言いながらYouMaさんはさっきの男子を連れて下に降りて来て・・・。何か私達の方を見てるって言うか・・・きたぁ?!


「君達、悪いんだけど彼をそこの空いてる席に座らせても良いかな?」


「「「は、はいっ!勿論ですっ!」」」


私達3人は打合せした訳でも無いのに揃って、いきなりのYouMaさんにしどろもどろになりながら聞かれた事に答える。


「うん、ありがとうな。ほら、お前も・・・っと名前なんて言うんだ?」


「あ・・稲穂、稲穂いなほ 健司けんじです。」


「んじゃ、健司だな。この子達に許可貰ったからそこに座れ、お礼言っとけよ。」


「はいっ!君らもありがとう。」


そう言って隣に座った稲穂君のお礼を聞き届けてYouMaさんは私達の所から離れて壇上に戻って行くのだった。


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その後壇上の会長さん、最初に出てきた女生徒さん、3女神とYouMaさんは何かを話した後マイクを持って話し始めた。後ろに会長さんと3女神を従えて・・・。


「先ずは、ご来場の中学生の皆様、並びに保護者の皆様。お騒がせいたしまして、申し訳ございません。」


そう言ってYouMaさんは深々と頭を下げる。

それに習って会長さんも3女神も頭を下げる。


「お詫びと言うわけではありませんが、明日香会長達と話し合った結果、本日は私、逆月悠馬が会長に変わりまして司会、進行をさせていただきます。どうぞ、よろしくお願い致します。」


まさかの流れ!会えないと思っていた悠馬先輩が現れて司会進行をしてくれる・・・?


こんな事あるの・・・?

ふと、両隣を順番に見れば千里も涼もぽかーんっとした顔で「うそ・・・。」「悠馬先輩・・・?」と呟いてるし稲穂君?を見れば「流石です、悠馬さん。」っと憧れの目で見てる。

その後回りを見てみれば会場の女子も「まじ・・・で?」「会えるなんて・・・。」「YouMa様・・・。」「意識飛びそう・・・。」っと感動で打ち震えてる。


かく言う私もこれが夢なんじゃないかと、私の妄想なんじゃないかと未だに現実感が無い。

誰か全力で殴って夢じゃないと認識させて欲しいマジでっ!!!


そうして、説明会なのか、ライブなのか良く分からない雰囲気のまま、説明会が始まった。


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