第116話 いざっ!学校へ!
ピピピっ、ピピピっ、ジリリリリリっ!!
「うるさい!今日は夏休み中でしょ!まだ寝るの!!」
バチコーンっと目覚まし時計を止めて布団に潜り直した私は、はて?っと何で目覚ましをセットしていたのかを思い出して直ぐに飛び起きた。
「じゃないっ!説明会の日!二度寝するところだった・・・あぶな〜。」
寝てしまわない様にササっと起きて準備して・・・。
「制服良しっ!髪型良しっ!お化粧軽くだけど良しっ!体臭多分良しっ!お財布も良しっ!スマホも良しっ!忘れ物無しっ!時間・・・やばいぃぃぃぃっ!」
どったんばったんと部屋から転がり出て玄関まで一気に行った私は台所に居る母親に聞こえる様に「いってきまーーーーす!!」っと声をかけてバタバタと勢いよく家から飛び出したっ。
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「ぐるじぃぃぃぃ。ぐざいぃぃぃぃ、あづぐるじぃぃぃぃ。」
「吠えないでよ、柚美。余計に体感あがるでしょ・・・。」
「早い時間のはずなのにこんなに同じ目的の人が多いなんて・・・。」
そう、私達は学校に向かう電車の中で押しつぶされそうになってる。
あの後、急いだだけあって割と時間の余裕をもって千里と涼と合流できたまでは良いんだけど私達と同じ目的だと思われる女子の群れ!群れ!群れ!群れ!!
お陰で車両の中がぎゅうぎゅうになって押しつぶされそうになってるしおっぱいとか押し付けられてる状態だし女子の匂いで鼻曲がりそうだしで大変な状態になってるのである。
「もう少しの辛抱よ・・・。うぐぐぐぐ・・・。」
「つーぶーれーるー。ぎゅにゅぅぅぅぅ。」
「早く着いてぇぇぇぇ・・・。」
3人共死にそうな思いをしながら電車に揺られて僅か数十分の間にぐったりとする事になったのであった・・・。
「はぁぁぁぁ~・・・。空気が美味しい・・・。」
「街中で何を馬鹿な事をっと言いたいところだけど流石に今回は気持ちは分かるわ・・・。」
「もう良いから早くいこー。折角早めに着くようにしたんだしたどり着いてゆっくりしたい・・・。」
涼の同意と千里の提案で私も直ぐに歩き始めて清蘭高等学校までの通学路を歩いて行く・・・そうすると何と言うか不思議な気持ちになってきて・・・それは私だけじゃない様で千里がぽろっとこぼした。
「何か、感慨深いかも?毎日YouMaさんはここを通って、この綺麗な並木道を通って向こうに見える綺麗な学校に入っていってるんだよね?」
「そうね、そして星川先輩、天音先輩、伊集院先輩の3人もそうなのよね。」
そう私達の、いや・・・、清蘭高校を目指す女子達からすればYouMaさんも3女神達も憧れの人だ、そんな人達が普段歩いている道を私達は今歩いている。
「確かに憧れの人達が普段歩いてる道を歩いてるって考えると感慨深いかも・・・。」
私達3人は言葉少なげに少しずつ見えて来た清蘭高校の校舎を見ながら歩く・・・。
「来年、絶対に3人で通おうね。絶対にっ!」
「「ええっ!勿論っ!」」
私達は気持ちを新たにたどり着いた校門を抜けて憧れの人達の通う校舎の敷地に足を踏み入れた。
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「説明会会場はこちらでーす。」
3人で敷地の中を歩きながら校舎に入って案内に従いながら歩いていると、会場になる講堂前に生徒会の人?と思える女子が立って受付けをしていた。
「あそこが受付けみたいだねー。パンフレットかな?渡してるの。」
「多分そうだね、でも何でキャッキャ言ってるんだろね?」
そうパンフレットを貰った女子が揃いも揃って中を見ながらキャッキャと騒ぎ立ててるのが凄い気になった。
「貰ってみれば分かるでしょ。受け取って中に行って場所取りましょ。」
「そうだね、そうしよっか。」
話しながら3人共受付けを済ませてパンフレットを受け取って会場の中に入って丁度3人で座れるスペースを見つけたから直ぐにそこを確保して一息ついたんだけど千里と涼の二人がさっきから無言なのが気になった。
「ねぇ?何で無言なのさっきから。」
「柚美・・今すぐパンフレットの中見てみなさい。」
「え?うん、分かった。」
そう言ってパンフレットを開いて中をパラパラと確認していたら、とあるページで私の手は止まった・・・って言うか思考も意識も止まった・・・。
「・・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・?」
「ちょっちょちょちょっちょっ?!」
頭が再回転し始めた出て来た言葉は上手く発する事が出来なかった。
そんな私を尻目に二人は無言で食い入るようにパンフレットを見てる。
「これはぁぁぁやばい・・・何てサプライズぇ・・・。」
そう、最初の方は学校の成り立ちや理念、施設等の説明でどこのも同じような内容だと思われることが書いていたんだけど、各種部活紹介のページからこれはただのパンフレットでは無くなる。
完全保存版のYouMa写真集だった・・・。
「これ・・・やばい・・・。カッコいい・・・。可愛い・・・。こんなのヤバすぎるでしょ・・・。」
「「うんうんうんうん。」」
他の二人も私の言葉に頷いてはいるが視線は写真集から一切離れなかった。
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「ふぅ・・・。まだ30分あるけどトイレ行っておかない?」
「そ、そうね。パンフレットは持ったままいきましょ。」
「だね。取り合えずいっとこか。」
っと言う訳で3人揃ってパンフレット?写真集?を持ったままとっても綺麗なトイレを済ませて会場に戻って歩いてたのは良いんだけど・・・。
「ねぇ、どこかで道間違えたよね?絶対。」
「間違えたよねこれ。絶対こっちじゃないよねこれ。」
「って言うかこの学校広すぎ・・・。普通に迷う・・ってか迷った。」
「どうすんのこれ?間に合わないとかやばいよ。」
「一階だし、最悪は窓から外に出て会場まで戻りましょ。」
「そうだね、って言うかもうそうしない?涼の言ってる通りさ。」
3人揃って顔を見合わせて窓から外に出ようとしたところで声がかかった。
「あれ?もしかして貴女達・・・迷子?」
「え?あ、あぁ、あぁぁぁぁ・・・。」
「どうしたの?千里、って・・・え?」
そこには3女神の一人、千里の推しでもある星川愛央先輩が私達の開けた窓から入り込む風で揺れる髪を抑えながら優しい笑顔で立っていた。
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