第107話 第15楽章 終わりを迎えて
SIDE 清華
「お母さん?!何時から居たのっ?!」
全く気付いて居なくて素直に何時から居たのかっと聞いてしまった・・・。私が頼んだんだから悠馬くんが居る時点でここに居るのは当たり前なのに・・・、これ絶対怒られる・・・、悠馬くんも苦笑いしてるし・・・。
「はぁ・・・全くあなたは・・。全然気付いて無かったでしょう?」
「そ、そんなことないよ・・・?応援に来てくれてたのは気付いてたし・・・?」
「いや、清華それは不味い・・・。」
「へぇ~・・・。それじゃ~一体誰かここに悠馬くんを連れて来たのかしらねぇ~?」
笑顔で青筋浮かべて私を問い詰める母・・・。
「えっとぉ・・・。」
不味い・・言い訳が出て来ない・・・・どうしよう・・・。
「さ・や・か?」
ひぃぃ。誰かたすけてぇぇぇ・・・。
「まぁまぁ、伶佳さんもその辺で。からかいが過ぎるのも問題だしビビってますし俺に免じて・・・ね?」
「悠馬くんっ!えっと・・・ごめんね、お母さん。」
「はぁぁ・・。まぁいいわ。自分のピンチに駆けつけてくれた王子様しか見えなくなるのは仕方ないものねぇ~?」
物凄いニヤニヤした顔で本人の前で王子様とか言わないでってばっ。
「お、お、王子様って・・・。それは・・その・・・えっとっ///」
「あはは・・・、まぁ、取り合えず色々と上手く行って良かった。」
「うんっ!本当にありがとうねっ!」
「いや、頑張ったのは二人だよ、俺は提供しただけだし思った通りに初めての曲でも上手く行って良かった。」
「本当ですよ!自分でもびっくりしてるけどあんなに上手く行くなんてっ!」
「それが二人の実力って事ですよ。」
そう言って悠馬くんはとても素敵な笑顔を私達に向けてくれるのだった。
------------------------------------------------------------
その後、邪魔をした馬鹿の処理になったんだが・・・。
「それで?こいつはどうするつもりで?」
「先ず部からはクビにします、それと今回の事を計画した者たちも一緒に処分したいと思っています。」
「って事は結構な人数が消えるって事ですね、二人を睨みつけてた奴等かなり居ましたし。親が立場があったりお金あったりで自分も偉いと勘違いしてる馬鹿共だから自分の何が悪いのかすら理解出来ないでしょうけど、未来永劫。」
「悠馬さん・・・。」
「うん?あぁ、言い方?間違えて無いでしょ?」
「それはそうかも知れないけど、少し手加減しよ?悠馬くん。」
「って言われてもね?俺の提供したもの捨てられてる訳だし?ましてや・・・リフレインだ。」
言葉と共に明確な怒りを露わにして思いっきり冷たい目をしながら実行犯とその仲間と思われるやつらを睨みつけると全員がビクッっと反応して俯いた。
「まぁ、言ったところで無駄でしょうけどね。処分するって言っても所詮、口だけになるのは目に見えてる。処分したらしたでこいつらの親が煩いだろうしね。こんな失敗作を育てる親なんざ高が知れてる。」
俺の言葉と雰囲気に誰も何も言えなくなってるのを見ながら、まぁ関係ないかっと割り切ってパッパと帰ることにして、声をかけはじめる。
「清華、早苗さん、伶佳さん、帰りましょうかっと、早苗さんはまだ残らないと駄目かな?」
「あ、うん。私は後少しかな〜、清華は大丈夫です。」
「りょーかいー、そんじゃ帰りましょっ。あぁ、それと、終わったらステイルに来てくださいね、そっちの子達と一緒に。」
「良いの?」
「勿論!志保がお疲れ様会の準備してるから楽しみましょ!んじゃお先にっ!」
ここに居たくないって気持ちを一切隠す事無く俺は清華と伶佳さんを連れ立って教室を後にして先に出て行く事にしたのだった。
------------------------------------------------------------
SIDE 早苗
いやぁ~・・・悠馬さんガチギレしてたな~・・・まぁでも、キレるのは仕方ないよね。こんなの私でもキレるし、ましてや手を出したのがリフレインだしねぇ・・・。悠馬さんからしたら対象者全員ぶん殴っても気は済まないよねこんなの。
何て事を先生の話を聞きながら考えているけどほんとにさっさと終わりにしてくれないかな~・・・私が悪い?訳じゃ無いしさー・・・って、置きっぱなしにしちゃったのも原因の一端だし私も早く行って謝らないと・・・。
「先生、早く終らせてくれませんか?悠馬さんじゃ無いですけど正直ここに居るの気分悪いし、私が居る意味も特に無いですよね?それと置きっぱなしにしてしまった事を早く悠馬さんに謝罪したいのでお願いします。」
「そ、そうね・・・。結果は後日発表します。それと早苗さんの楽譜を破り捨てた生徒とその派閥は全員、残りなさい!事情聴取を行います!他の皆さんはお疲れさまでした、解散です!」
先生の言葉を聞いて私は直ぐに荷物を纏めて外に出ようとして思い出した。
「ほら!あんたらも早くする!悠馬さんに呼ばれてるでしょ?悠馬さんの事だから私達が合流するの、待ってると思うし、あんまり待たせるのも嫌だしさ。」
「「は、はいっ!直ぐに行きます!」」
後輩たちを連れて私はパッパと教室も学校も後にしてキャッキャ騒ぎながらステイルに向かったのだった。
------------------------------------------------------------
「ただいまー!戻ったよー。」
「「おかえりっ!「なさいっ!」悠馬っ!清華先輩っ!「悠馬さんっ!清華先輩っ!」」
「兄さんおかえりなさい。」「悠ちゃんおかえりなさい。」
「あれ?母さんは兎も角、何で菜月まで居るんだ?」
「えっと、私が声をかけたんだけど、不味かったかな・・・?」
「何も問題無いからそんな心配そうな顔するなっ。」
不安そうな顔してる愛央をぎゅぅっと抱きしめて撫でながら何も心配いらないよっと安心してもらって。
「よかった・・・。それに無事に戻ってきてくれて嬉しい。」
「はいっ。本当に無事でよかったです。大丈夫だとは思いながらもやっぱり心配でした・・・。」
「うん、志保もありがとな。それと心配かけてごめんと、ただいま。」
志保の事も愛央と同じように抱きしめて撫でて落ち着かせる。
「二人共ごめんね、心配かけちゃって。それと悠馬くんを送り出してくれてありがとねっ!葵さんもありがとうございました!」
「良いのっ!良いのっ!それに止めたところで一人でも行っちゃうだろうしねぇ~・・・。」
母さんからのジト目を俺はスルーする事に決めて見ない様にしながら愛央と志保を愛でてると伶佳さんが母さんに改めて挨拶して居るのが見えたけど、こう言うのは何処の世界でも変わらないよな。
「それではそろそろお疲れ様会を開始しますか?悠馬さん。」
「あーえっと、もう少し待って貰える?早苗さんとあの二人の中学生も誘ってるから合流したら開始しよ?」
「分かりました、それでは直ぐに出せる様にだけ準備しておきますね。」
そう言って志保は奥に引っ込んで行くのを見送って俺達は早苗さん達の到着をゆっくりと待ちながら今日の事を話しながら時間を潰すのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます