第103話 第11楽章 当日
「清華ちゃん大丈夫?なのかしら・・・。」っと言いながら同じくソファーに座った母さんに「多分・・・?」っと返して「何だったんだろ?」っと呟いたら母さんは意味深に笑いながら俺を見つめてきた。
「む?何か心当たりある系の顔してない?母さん。」
「さぁ〜?どうかしらね〜?それよりも愛央ちゃんの迎えがそろそろじゃない?」
「やべっ!確かに時間が近いわ!部屋行って準備してくる!!」
俺は使った茶器を台所に置きに行ってそのまま部屋まで急いで移動したけど母さんが「頑張りなさいよ清華ちゃん。応援してるからね。」って呟きを聞いて自分の母親の優しさに嬉しくなりながら温かい気持ちになるのだった。
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SIDE 清華
ふぅ・・・、約束は取り付けたっ!
後は浮かれないように頑張らないとっ。
「おはよ!早苗!」
「おはよっ!今日は宜しくね!」
悠馬くんの家から出た後は私は真っ直ぐに待ち合わせ場所に向かい早苗と合流してそのまま連れ立って会場となる早苗の学校に向かった。
「それにしても手ぶらだけど荷物は大丈夫なの?早苗。」
「うん、昨日の内に必要な物は学校に置いてあるし手ぶらで大丈夫だよ。」
え?それって大丈夫なの・・・?
「ねぇ、それ大丈夫なの?悠馬くんから貰ったリフレインの楽譜もって事でしょ?それに、連弾のも・・・他の人達とか先輩とかの妨害って大丈夫なの?」
「あ・・・流石に大丈夫だとは思う・・・、リフレインは頭に入ってるけど連弾は・・・、ちょっと心配になってきた・・・。」
「早苗・・・いそごっ!」
私達は頷きあって学校までの道を急いで走り始めた。
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「いらっしゃいませっ。」
あの後、愛央が迎えに来てそのままステイルまで来た、折角だと言う事で着替えてお店を手伝っていた。
「お二人ですね、お席にご案内します。」
「あ、あの!YouMaさんですよね?」
「うん、そうだよ。見てくれてるんだね、ありがっとっ。」
ニコっと笑顔で返事してぽけぇ~っとしてる中学生くらいの女子二人を連れ立って席まで案内する。
「それじゃ、注文決まったらお呼びください。」
そう言って俺は離れてカウンターの方に歩いて行って志保と愛央に話しかける。
「そんなに混んでなくて助かるね。清華先輩の事、気になるから忙しすぎるくらいの方がいいっちゃ良いんだけどさ。」
「そうですね。でもお二人共良かったんですか?手伝ってもらって。」
「勿論だよー。志保さんを置いて遊びに行くわけにはいかないしね。」
「だな。そりゃ勿論、個別にデートもしたいけど3人でいれる時は居たいよ俺は。」
「はい・・・///私も同じですっ///」
「勿論、私もっ!二人きりでデートも良いけど3人での時間も好きだもん。」
二人と話して居ると「すいませーんっ。」っとさっきの二人から声がかかったから直ぐに向かう。
「お待たせしました、ご注文伺います。」
「えっと・・・。」っと話し始めた二人から注文を取った後に志保に伝えて待機しながら愛央と話をして時間を潰していた。
大丈夫かな・・清華先輩。なんか嫌な予感がするんだよな~・・・。
「悠馬!聞いてる?!」
「えっ!あぁ、ごめん。考え事してた・・・。」
「何か気になる事でもあるんですか?」
愛央と志保が心配そうな顔で俺を見詰めて来て俺は迷いながらも伝える事にしたけど先に出来たものを持って行く事にした。
「先に商品持っていく、戻ったら話す。」
そう言って心配そうな顔で見て居る二人の視線を背中に感じながら俺はお客さんに商品を届ける事にした。
「お待たせしました。ごゆっくり・・・。」
「あのっ!どうかしたんですか?私達何かしてしまいましたか?」
「あー、大丈夫だよ、今日先輩が友人の校内のコンクールのお手伝いをしててね、それが心配ってだけだから。てか、ごめんね?嫌な思いさせちゃって。」
「コンクールって女子高のですか?」
「あれ?知ってるの?ってか有名なの?」
「あ、いえ。私達はそこの中等部なんです。今日は先輩が出てるのでそうかな?って思って。」
「あぁ、そう言う事か。工藤早苗さんと伊集院清華先輩の組み合わせなんだけど大丈夫そう?てか、知ってる?」
「早苗先輩のパートナーの方ともご友人なんですね!」
「えっと・・・先輩の実力なら大丈夫だと思うんですけど・・・その上の先輩達が・・・。」
やっぱりか・・・そこが俺も気になってるんだよな・・・、本当に何も無いと良いんだけど。
「そっか、取り合えず分かった!ありがとね!ごゆっくり楽しんでくださいっ。」
俺はそう言って二人の頭を撫でてお礼して離れた後に志保と愛央の元に戻った。
「えっと、それでなんだけど・・・。何って訳じゃ無いんだよ。何となく嫌な予感がするって程度でな・・・。」
「嫌な予感ですか?」
「ふむふむ・・・。悠馬の予感って結構当たるから先輩に何かあるとかじゃ無いと良いんだけど・・・。」
そこなんだよな・・・。タイミング的に清華先輩の事だとは俺も思うしさっきのあの子達の話もあるから予感だけは強くなっているからどことなく落ち着かないのだ。
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SIDE 清華
やっぱりかぁ〜・・・こうなりそうな気はしたんだよな〜。
「くっ、まさかこんな事するなんて・・・。」
早苗も悔しそうにしてるけど、私も同じだ。
流石に連弾の曲まで頭には入ってない、私に打てる手となると悠馬くんはステイルで時間をつぶすって言ってたから手伝いをしてそうだし電話しても気付かなそう、となるとお母さんかな?
「早苗、ちょっと連絡してくるね。こっちは任せて先ずはリフレインを完璧に!」
「う、うん・・・、でも大丈夫なの?今から何とかなんてさ。」
不安そうな早苗の顔に私は「任せて!」っとだけ答えて早苗の側を離れて母親に悠馬くんのところに行って貰うための連絡をするのだった。
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SIDE 早苗
「清華、お願いね・・・。」
それにしても、まさか捨てられるとはね・・・。
犯人の目星は付いてるけど、ニヤニヤしてるしさ、本当に大馬鹿、バレないと思ってるの?
「早苗先輩・・・あの・・・。」
後輩の子が私を心配して話しかけてきてくれてこの子が悪いわけじゃ無いのに何で半泣きなのよ・・・。
「もうっ!何であんた達が泣きそうなのよ!私なら大丈夫だって!」
「でも!だって!こんなの!」
「そうですよ!異常ですって!こんなビリビリに破いて何て!」
「へーきへーきっ!リフレインは頭に入ってるし連弾のも清華が今、手をうってくれてるし!」
「でもっ!いくら頭に入ってるって言っても楽譜の有無の安心感は!!」
うん、それは分かってる、でも本当に平気なのだ。だって・・・。
「大丈夫、言いたいことは分かってる。少し前なら確かに駄目だったけど悠馬さんのお陰で答えを見つけて、悠馬さんに言われた、私のリフレインを弾くことに何も心配は無いし、いらないよ。」
私の言葉に後輩達は胸に手を当てて「早苗先輩のリフレイン・・・。」っと呟いてる。
「まっ!信じて聞いてなさい!悠馬さんの顔に泥を塗るわけにも行かないし、私のリフレインを届けて見せるから!!!」
「「「はいっ!!」」」
私の言葉に安心したかの様な顔で頷いてくれた後輩達を見ながら私は気合いを入れ直すのだった。
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