第95話 第2楽章 スマートに

SIDE 早苗


はぁ・・・うざったいなぁ~・・・。

自分が偉いと勘違いしてるお嬢様はこれだから・・・。進学先完全に間違えた・・・。

清華と同じく清蘭にすれば良かったな~留学するのが夢だし推薦も取れたからって思ってこっちに来たけどさ・・・。

今じゃ清蘭には大人気のYouMaまで居るし清華も仲良くなってるし本当に失敗したと思い始めると止まらなくなるわ。


「ちょっと聞いてるの?」


「えぇ聞いてますよ、それで私にどうしろと言うんですか?先輩。」


「決まってるでしょ!黙って譲れって話よ!あんたはまだ時間あんじゃん!こっちは最後の一年なんだから!」


「そう言われましても、私は私で努力の結果で今回、選ばれた訳ですし。と言うよりも喫茶店で声を張り上げないでください。」


「あんたより私の方が選ばれるべきだっての分かんない訳!そんなんだから連弾の相手だって見付かんないのよ!」


話聞けよほんと、大体にしてあんたらが下らない派閥とか組んでるからでしょうが!


「ほら!反論も出来ないじゃん!だから黙って譲れって言ってんの!」


何も努力もしてないやつが勝手な事を!面倒だからスルーしてるだけだっての!


「嫌です。私は努力して選ばれたんです、それなのに努力もしてない人に何で譲らないといけないんですか!相手だって候補も居ます!何の問題もありません!!!」


「このぉっ!ほんと生意気だよあんた!言葉で分からないなら仕方ないよな!」


先輩が手を振り上げて私を叩こうとしてるのを目をつぶって耐えようとしたけどいつになっても痛みも衝撃も来ないのを不審に思って目を開ければそこには私を叩こうとした腕を掴まれている先輩がぽかーんっとした顔をしていた。


「そこまでにしとけ。ただの言い合いなら度を越えなきゃ放置するつもりだったけど手を出すなら話は別だ。」


一人の男の子が先輩を睨みつけて私を庇ってくれていた。


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全く・・・人の隣で下らない言い争いをしてるなっと思っていたらヒステリー起こしてるのか知らんが引っ叩こうとしやがるんだもんよ、咄嗟に掴んじまったわ。


「何で・・・男の子が・・・。」


「取り合えず、落ち着いて座りなよ。喫茶店で金切り声を上げるのも問題だし、人を殴るのも問題だろ?それに制服なんだから学校に苦情行けば困るのは君だろう?」


「うっ・・・。」


「その制服って確かお嬢様学校の制服だろ?君の行動で学校に苦情が行けば最終的に君の親の世間の評価にまで関わる事になる上に地位が高いなら高いなりに他の人のにならないと駄目なんじゃないか?君自身も他よりも偉いって考えがあるなら余計にね。それに何よりうるさくて迷惑だよ、隣のテーブルだった俺からすればな。」


少しだけキッと強めに睨んでやればビクッとした後に素直に座り直して「申しわけありません。」っと謝ってくる。


「まっ、分かってくれれば良いけどね。腕を掴んだり、睨みつけたりしてごめんな。」


「いえいえ!止めてくれてありがとうございます。」


「んっ。こっちは収めておくからもう行きな、それとこの子に言うよりは一度頭を冷やして話し合うとか教師に提案するとかが良いんじゃないか?このまま恫喝どうかつして奪えば君自身の評価が下がるだけじゃ無く恨みも買うだけだろ?」


「はい・・・失礼します。」


物わかりは良いみたいでさっと帰って行ったのを見届けて助けた子にはどうしようかな?っと。


「やれやれ、素直なもので。」


「いえ、あれは相手が男の子だから直ぐに引き下がったんだと思います。」


「あぁ、それはありそうだ。なら俺の言ったことも理解は出来て無さそう。それでっと見ては居たから大丈夫だとは思うけど怪我は無い?」 


「あ、はいっ。大丈夫です、お手数をお掛けしまして申し訳ありません。」


「別に何てことは無いさ。まっ、災難だったね。」


「あ、あのっ!もし宜しければお名前を教えてもらっても?」


「あ、あぁ、ごめん。俺は・・・。」


「兄さん!お待たせしました。って、その人は?」


俺が自己紹介をしようとしたところで俺の待ち人の菜月が現れて俺が話してる人は誰なんだ?って顔してる。


「早いくらいだから気にしなくて良いよ。この子はついさっき殴られそうになってるのを助けた。」


はぁ、またそうやって自分から火事の中に飛び込む・・・っと呆れた顔しなくても良くね?


「まぁ良いです。それよりもママも待ってるし行きましょ?」


「そうだな、ごめんね、俺はこれで。」


「あ、はい!本当にありがとうございました!」


っと腰を折って頭を下げる彼女に俺は一言。


「悠馬。名前は悠馬だよ。またね!」


それだけ言って彼女の分の伝票も精算して店から出るのだった。


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SIDE 早苗


え・・・?ゆうま・・・?ちょっと待ってゆうまってYouMa・・・?


「えぇぇぇぇぇ?!・・・って、あっ!!すいませんでした!!」


つい大声を出してしまって直ぐに謝ったけど店内で見ていた人は同じ様な反応をしてた。

マスクとかしてたけど男の子って事は皆分かってたけどまさかの・・・。


「こんな事あるの・・・?」


一人でぶつぶつ言いながら頼んでいたものを片付けて自分も帰ろうと席を立ったところであれ?っと気付く。


「伝票は?まさか、先輩が?」 


っと考えたところで無いな!っと結論づけた私は店員さんに声をかけて聞くことにしたんだけど・・・。 


「あ、あの!伝票が見当たらないんですけど?」


「あぁ、お客様の席のでしたら先程の男性っというかYouMaさんが払っていかれましたよ。気付いてらっしゃらなかったんですね・・・。」


「はい、全く。てか、スマート過ぎません?噂以上にかっこいいと言うか何というか・・・///」


「ほんとですよねっ。素敵過ぎる男性ですよっ///」


後、5年は私が若ければな〜っと言いながら店員さんは仕事に戻っていきました。


「悠馬さんかぁ~・・・///うんっ!清華に頼んでみよう!」


私はそう一つ決めると次の日に早速、清華に連絡を取って来て貰う事にするのだった。


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SIDE 清華


「って訳で・・・っ!」


うん、悠馬くんらしいっちゃらしいけど・・・。


「分かったけどそれで何で悠馬くんが男の子として気になるって答えが出るのよ・・・。」


早苗ってば悠馬くんが気になるから何て言うから「はぁぁぁぁぁ?!」っと大声を出してしまった・・・。会いたいと、ダメならせめてリフレインだけでも演奏させて欲しいっと言ってきたのを聞いて私は自分からの火の中に飛び込んで行かないでよって気持ちと早苗を落とすってどう言う事よ・・・っと。


「え?///だってっ///あんなおとぎ話のみたいにスマートに物事解決してサッと去っていく何てそんな事されたら・・・///」


そうだった・・・この子は王子様に憧れが・・・。


「あんたまだ王子様なんて・・・。」


「清華だってそうでしょうにっ!」


「うっ。それは否定しないけど・・・。」


否定はしないけど・・・こんなところで言わないで欲しい・・・。


「はぁ・・・兎に角、悠馬くんには話してみるから確か2週間後くらいだっけ?」


「そうそう!殆んど夏休み前!時間はまだあるって言えばあるけど早いほうが良いからお願い。」


「うん、あんまり期待しないでね、聞いたら連絡するからさ・・・。」


「ありがとう!清華ぁぁぁ!待ってるから!」


はぁぁ・・・何か変な事になったなぁ~・・・。


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