幕間2

第87話 変わる男子と変わらぬ男子

「おはよ。母さん、姉さん。」


俺の言葉に母親も姉もびっくりした顔をしてる。


「お、おはよう。朝ごはんは食べる?」


「お、おは、おはよー?早いね。」


「食べる、お願い。姉さんは何で疑問形なんだよ?」


「いやだって、あんたがこんなに早く起きてくるなんて思わないから。」


そう、普段なら二人が出ていってから起きてくるのが当たり前だった。


「あ〜えっと、YouMaさんを見倣って改善しようかなって。」


「そっかっ。良いと思うよ。」


「それとさ、母さんでも姉さんでも良いんだけどお菓子の作り方の書いてる本とか器具とか頼んでもいいかな?」


「それは良いけど自分で確かめてじゃなくていいの?」


そうか、自分が読んで使うもの何だから自分で見ないとダメか。


「それなら一緒に見に行って貰っても良いかな?」


「うんうん、今日の夕方にでも行きましょっ!」


「それから、母さん。俺の進学先なんだけど、清蘭にしたいんだ。」


「えっ、でも清蘭は偏差値高いわよ?男の子だから試験はパスも出来るだろうけどその後、付いていくの大変じゃない?」


「うん、YouMaさんも清蘭だし、同じところで背中を追いたいって思う。だから今日から全力で勉強も頑張る。それと、ダイエットもしたいし・・・。」


「待って待って!やりたいことは応援するけどそんなに一気にやってもやり切れないわよ。一つ一つ確実にやらないとだめよ?YouMaさんの背中を追うなら尚更今の貴方じゃ一気にやったら潰れちゃうのは自分でも分かってるでしょ?」


母さんは俺が怒るかもしれないってのを分かっていながらそれでも、はっきりと今のままじゃ無理だと言ってきた。

これもYouMaさんの効果なんだろうなっと思えば怒りも湧いてこないし、何より怒るってことは自分でも理解していてただのワガママってのも分かってるって事。


こうやって考えると自分でも驚くけどYouMaさんに言われたことでこれだけの変化を与えてくれる、与えることが出来る人って考えたら背中は本当に遠いなっと改めて思った。


「うん、そうだよね。焦りすぎたかも・・・。一つずつやっていけば良いんだよね・・・。」


「怒らないの?はっきりと無理だと言ったのと変わらないのに・・・。」


「うん、確かに昨日までの俺ならキレて暴れてたと思う。でもそれって癇癪でしか無いんだってのを理解したんだ。YouMaさんに言われた通り何の努力もしてないのに好き勝手やるのは間違えてると思ったんだ。」


「そう。分かった。それが分かってるなら何も言わない。頑張りなさいね?」


そういった母親の顔は暫く見ていなかった綺麗な笑顔だったし、姉も同じ様な顔で微笑んでいて俺は妙に恥ずかしくなって顔を赤くしながらガタンっと立ち上がった。


「部屋に戻るから。ごちそうさま。それと、仕事と学校頑張って。」


俺は恥ずかしさで叫びたくなるのを堪えながら部屋に戻るのだった。


YouMaさん、必ず追いついてみます!

先ずは一つずつやっていこうと心に決めるのだった。


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「白波さん、朝ですよ、起きてください。」


うるせぇなぁー・・・何で俺がお前らの言う事聞かないとだめなんだってのよ。

俺はまだ眠いんだっての!


「はぁ・・・まぁ、言って理解出来る頭あるならこんな所には居ませんよね。面倒です、拘束して連れて行きなさい。」


はぁ?!拘束ってなんだよ!?人権侵害だろうよ!


「おい!拘束ってなんだよ!連れて行くって何処にだよ!!!」


俺の叫びは一切答えずに職員は俺を拘束しようと拘束具なんかの準備を始めてやがる。


「ざっけんな!お前の言う事なんかきかねーよ!俺をここから出しやがれ!!!!・・・うっ。」


何だ俺の首に何を打ちやがった・・・?!意識が?!


「本当に愚かで救いようが無い・・・。まぁこれでも身体は若いですしそれなりに使い道はあるでしょう。」


そんな言葉を最後に俺の意識は消えていった・・・。


それから数時間後、俺はこの病院の自室の中で力尽きて動けなくなっている。

と言うのも、連れて行かれたのは採精室、親も親戚も何もかもを無くし入院費もある程度の年数分は払われているが全く何処にも足りないと言う事で若いうちに少しでも世間の為に役に立てと言う事で一日5発、無理やり絞り出されるらしい。


そして今日がその初日だったらしく嫌がる俺から無理やり抜いて行きやがった、当然怒鳴り散らして文句も言ったが「遺伝子的には問題ないですし貴方の価値なんてこれ以外に無いんです、諦める事ですね。あぁ、ご安心をあなた以外に仲間は一杯いますから独りぼっちでは無いですよ?国として種の保存はしないと行けませんので今まで散々世間に迷惑をかけてきたのですからこれからは種馬として位、役に立ってください。」っと無表情で言いやがった!


「ふざけるな!ふざけるな!殺してやる!殺してやる!」


俺は復讐を誓いながら眠りにつくのだった。


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「はい、おはようございます。今日のお仕事の時間ですよ。」


近づいて来たのを見計らって俺はベッドから飛び起き全力で蹴りをかましてやった!


「ほいっと。馬鹿ですか貴方、あぁ、バカでしたね。」


俺の足を簡単に掴んでひっくり返しやがった!俺は後頭部から落ちてぶつけた事で意識が混濁している内にぱぱっと拘束されてその日の分を取られるために運ばれた。


「あぁ、まだ自分の立場も分かってないみたいですし、今日から10発取ります、勿論、拘束具もつけたままです、排せつもそのまま出来るように器具を付けさせて貰いますね。自分が唯の種馬と理解出来るようになるまで続けますので。」


その言葉に俺は真っ青になったまま運ばれて行くのだった・・・・。


「もう殺してくれ・・・。こんな生活嫌だ・・・。殺してくれ・・・。」


あれから一週間?10日?もう分からない・・・。


「何を甘ったれた事を言ってるんですか?10発は取れなかったから限界の8発に変更してあげてるじゃ無いですか。こんなにも素敵な慈悲を与えていると言うのに・・・。今までのツケですよ。」


何でこんな事に・・・何でだよ・・・・。


「おっと、舌を噛み切られても面倒ですし、猿轡さるぐつわを付けますねー。」


?!嫌だ、いやだ、イヤだ、いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!

そうして俺はここから出る事も出来ずに永遠と変わらない毎日を過ごす事になった・・・。


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