第83話 実感

そして・・・更に二日程たって今日は木曜日、結局、入院って事になってしまって暇な一日を過ごしている。

皆には取り合えず普通の生活に戻って貰っては居るけど放課後は直ぐに病院にお見舞いに来てくれて時間ギリギリまで居てくれながら学校で何があったのかを話してくれるのを聞きながら一日を終えたりって流れだ。

ちなみに学校はそりゃもう大騒ぎだそうだ、俺が休んでる理由が理由な訳で全員がブチ切れてるそうだ。勿論、犯人にな。

んで、こっからが凄く、自分達に何か出来る事無いかってんで何があったのかを徹底的に拡散したらしい、あの馬鹿の配信記録も引っ張り出してきてガンガン拡散。

勿論、削除削除削除ってあっち側はやるが・・・ほら?「消すと増えるの法則あるでしょ?」消したところからネズミ算式に増えて行ってもう取り返しがつかなくなってるそうだ。

その結果、犯罪者を許すな!あいつの育った環境や町の在り方、親の力がどうのってのも全部バレて町の全部があっちこっちから責められる結果になってるらしい。


そして俺はと言うと志保と一緒に院内の休憩スペースに居る。


「悠馬さん、お身体は大丈夫ですか?」


「大丈夫だって、別に何処か切れてるとかじゃ無いんだから正直、寝てれば直る、つーか・・・寝すぎて逆に身体に悪いっての。」


志保はここ数日学校を休んで朝からずっと俺に付き添って何をするのも手伝ってくれてるから逆に申し訳ない位だ。


「そう、言われましても・・・。心配なんですよ・・・。」


「うん、ありがとな?志保にまで休ませてるのは申し訳無いけど正直助かってるのは事実なんだよな~。」


「いえ、私の事は良いのです、悠馬さんにはどれだけ頑張っても返せない恩がありますから。」


恩とか気にしなくても良いんだけど言うだけ無駄よな~志保だし・・・。っと考えながら自販機のコーナーで志保とゆっくりとした時間を過ごしていると刑事さんが俺達に向かって近寄ってきた。


「すいません、逆月君。今お時間大丈夫ですか?」


「えぇ、良いですよ。俺を逮捕でもしにきましたか?」


俺の言葉に志保が直ぐに前に出て俺を庇う様にしてくれて。


「悠馬さんは悪くありません!全ての元凶は私です!逮捕するなら私を!」


「ふふっ。っとごめんなさい、別に貴方達を逮捕しに来たわけではありません、今回の事件のお話しと天音さんを誘拐したあの男の進退と、お話しをしたいと思いまして。」


「そうでしたか、ここで話す事でも無いですし病室戻ってから聞きましょう。」


俺は志保に支えられながら立ち上がって話を聞くために刑事さんを連れ立ってゆっくりと病室に戻ったのだった。


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そして話を聞いたが順番に話すと、先ずはあの男は檻付きの精神病院に隔離だそうだ、まともな判断も出来ず未だに「俺が悪い!自分は悪くない!」「俺が正義!あいつは悪だ!」「配信していたんだからYouMaは悪だって全員が知ってるだろぉぉぉぉ?!」って思考でどうしようもないってんで檻付きの病院に隔離でこれから先、出て来ることは無いらしい。

そしてそんなあいつの親や親族は「そんな男は知りません、家には息子なんて居ません。」「親類からもそんな男は存在しない、知らない。」の一点張りだそうだ、どうやら随分前から見放されていたらしく失敗作だと常々言われていたらしい。

勿論、そんな言い訳が通用する訳も無くそんな人間を育てた、気に入らない奴等は町ぐるみで追い出すって広まった事で町そのものが責められてるのを住民たちも怒り狂いあいつの親も親族も立場を完全に失った結果、一気に老け込んだだけでは無く公園や橋の下で寝泊まりするレベルに落ちたって話を聞いた、本当かどうかわからんし確認するつもりも無い。


「はぁぁあ?それじゃあいつの言う権力云々って町の中での話だったので?」


「はい、そうです。町内だけであれば有力者ではあったので確かに好き勝手出来たし色々と揉み消したりも出来ていたみたいですがどうやらそれを勘違いした結果が・・・アレみたいですね。」


「な、何ですかそれ・・・。呆れてものも言えませんよ・・・。ところで紗季に関してはどうなりましたか・・・?」


「彼女に関しては、少年院行きになるでしょう。彼女だけは崇拝していたみたいですがやった事は天音さんの誘拐の手助けと気絶させていますから幇助ほうじょ罪と傷害罪が適用されますので、一発で実刑になるでしょうね。」


「俺はどうなりますか?言っては何ですが暴力も振るっていますし彼女を殺そうとしました。無罪って訳にも行かないでしょう?暴行罪と殺人未遂罪って所ですかね?」


「はて?そのようなお話は聞いていませんし、何処からも聞こえてきませんから私共には分かりかねますね。彼女の怪我は彼女自身が転んで顔面から地面に激突したと言っていましたし本人がそう言う以上、私達からは特には・・ね?」


「そ、そうですか・・・。問題は数年後に紗季が出て来てからって事か・・・。」


「あぁ、それも特に心配はいらないかと思います、洗脳が解けたのか自分が何をしたのかも理解していますしお二人にも謝罪をっと言っていましたからね。」


「信用は出来ないけど取り合えずそれなら良いです。」


「私も二度と顔も見たくないのでどうでも良いです。」


っとそうして俺と志保は刑事さんとどうなるのか、どうなったのかの話を聞いてこっち側は大丈夫そうだと言う事が分かったのだった。


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刑事さん達が帰った後に今度は足立さん達がお見舞いに来てくれた。


「悠馬くん、お邪魔しますねー。」「お邪魔します悠馬さん。」


「足立さん!狭山さん!」


「お元気そうで何よりです。気を失ったと聞いていましたので・・・。」


「思ったよりもダメージ大きかったらしく自分でも予定外でした。志保、二人にお茶お願いできる?」


「はい。勿論です。」


「狭山さん、申し訳ありませんでした。」


「えっと?何のことですか?」


「突入前に大人は信用できないっと言った事、眠らせる(物理)で脅した事、すいませんでした。」


俺は確りと身体を折って狭山さんに謝罪をした、こればかりはどうしても気になっていた。


「あぁ!気にしないでください。悠馬さんの立場であれば大人なんて信用できないと思ってしまっても仕方ないですから。それは全ての大人の責任です。」


「ありがとうございます、でも俺達の為に色々と協力してくれた方に言う事では無いですからそこは本当にすいませんでした。」


「全く・・・もう十分ですよ。」


「お待たせしました、どうぞ・・・。」


「ありがと、志保さん。」


「ありがとうございます。ところで何ですが・・・。」


「はい?どうかしましたか?」


「こちらからも申し訳ありませんでした。まさかこのような事になるとは思いもせず・・・。」


「いえいえ!お二人共、頭を上げてください!確かに大変な事になりましたけど、悪いのはあっち側ですから・・・。」


「志保さん、ありがとう。本当に無事で良かった・・・。」


「はい、全て悠馬さんのお陰ですっ。」


「悠馬さんは志保さんを助けに現れたどんなにぼろぼろになっても助けてくれる正義の味方ですねっ。」


「えっとっ///はいっ///」


「大げさ・・・ってか正義の味方なんて破綻者じゃ無いっての・・・。志保を助けるのは勿論当然の事だけどさ。」


「あらあらっ。悠馬くん照れてるっ。」


「ふふっ。普段は大人っぽくてかっこいいのに照れてる姿は年相応で可愛いですねっ。」


「う、うっさいです!そう言うのは言わなくていいんです!」


足立さん、狭山さん、志保の3人の笑い声が病室に響き渡って、志保の笑顔を見て無事で良かったと終わったんだと実感できてあの日は本当に長い一日だったと終わったんだってようやく感じる事が出来たのだった。


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