第81話 終わりは
「いてぇぇぇぇぇ!俺の顔がぁぁぁぁぁ!鼻がぁぁぁぁ?!」
「その程度で何だってんだ?折角だししっかりとやり返してやりたいところだが・・・。時間切れだわ。」
ウゥゥゥーウゥゥゥーウゥゥゥーファンファンファン!!
パトカーの音が徐々に近づいてくる、タイミング的にはバッチリってところか。
それを見届けたのか狭山さんが近づいてきながら手配してくれたのか色々な報告と入る時の俺に対するやり返しなのか嫌味っぽく言ってきた。
「随分ぼろぼろになりましたね?悠馬さん。」
「許容範囲内ですよ?狭山さん。」
「良く言いますね・・・。これだけぼろぼろになって起きながら良くもまぁ・・。まぁ良いです、ついでに救急車も呼んでおきますね。」
「お願いします。・・・さて逃げれると思うなよ?ここで逃げたところでお前が何処の誰か何てのは分かってるんだ。直ぐに捕まるだけだ、諦めな。」
「ハッ!俺が捕まっても俺は何も責められないんだよ!言ったろ?俺の親は権力者だってなー!」
「ふーん。まっ、そう思っておけば良いさ。取り合えず寝とけ。」
俺は愛央が手に持っていたスタンガンを受け取って脳震盪でも起こしてるのかふらふらしてる馬鹿に無造作に近づいて思いっきり首筋にスタンガンを押し当てて発動させると「ヒギィ?!」っと叫んだ後に動かなくなって床に倒れ込んだのを見た後に振り返りながら問いかける。
「ふぅ。一先ずだな、志保は怪我とかは無いか?・・おっとっ。」
「ばかぁ!悠馬のばか!こんなにぼろぼろになって!こんなに怪我して!!こんなっ!?こんなっ?!」
「あー・・・ごめん。言ったら猛反対されると思って・・・。」
ばか!ばか!っと俺に抱きついたまま泣きながら俺の胸をドンドンッと叩きながら責めてくる・・・あっちこっち痛いんだから勘弁して・・・。
「ゆ、悠馬さん・・・。ご、ごめん・・・なさい・・・。わたし・・・わたし・・・。」
「悠馬くん・・・取り合えずお説教は後でね?」
「あ~・・・はぃ・・・。志保、怪我はないか?こいつに何かされたとかは?」
「そ、それは・・・大丈夫ですけど・・・、でも、でもっ!」
「愛央、ちょっとごめん。狭山さんと清華先輩と一緒にそいつ縛っておいてくれ。」
そう言った後に志保に近づいて・・・優しく震えてる身体を抱き締めた。
「ゆ、悠馬・・・さん・・?」
「無事で良かった・・・。俺と関わったせいで志保に何かあったら俺は自分を許せなかった。」
「そ、そんな!それは違います!私が、私と関わったから!!」
「それは違う、悪いのはこいつだ。俺さ~・・・志保と出会えてよかったよ?志保は違ったのかな?」
「その聞き方はずるいです・・・。嫌な訳無いじゃ無いですか!悠馬さんと出会えて日々を過ごせてどれだけ幸せで毎日楽しくてっ!何でもない日々がどれだけ輝いて宝物なのか!無くしたくないです!悠馬さんと離れたく無いです!でも、でも・・・。」
「なら、一緒に居れば良い・・・。お、俺は・・・、志保と・・・。」
やばい・・・意識が・・・。
「ゆ、悠馬・・さん?悠馬さん?!」
「ごめ・・ん、ちょっと・・・寝る・・後、たの・・・む・・・。」
「悠馬?!」「悠馬さん!?」「悠馬くん?!」
流石に殴られ過ぎたのか思ってたよりもダメージ多かったらしく俺はそのまま志保に寄りかかる様に気を失った。
------------------------------------------------------------
SIDE 志保
あの後、狭山さんが外で待っていたこともあって警察が直ぐに突入、白波(名字すら口にするのも嫌悪しますが・・・。)を確保、救急隊員も少し遅れて到着して攫われていた私と気を失っている悠馬さんを直ぐに運んでいきました。
私は怪我も特になく、そう言う事もされた訳でも無かったので少しカウンセリングを受け警察からの事情聴取を受けるだけで済みました、と言っても・・・終わったのは朝でしたけど・・・。
愛央さんと清華先輩は警察からお説教を受けてました、大人に任せずに誘拐犯の居るところに入り込んで私を助けた事で危険が云々、もっと考えて云々っと
勿論、私も少し怒られましたが・・・菜月ちゃんが・・・。
「今回の事は仕方ないと思います、志保さんに責任も無いのは分かってます、でもそれでも、兄さんが怪我をした事は変わりません。大体にして逃げろって言われて居たんですよね?それなのに、逃げずに兄さんの前に出て来て予定を狂わせるとか馬鹿なんですか?」っと・・・私は愛央さんと清華先輩に引っ張られて連れて行かれただけなんですけど・・・。
でも最後には・・・「無事で良かったです。志保さんが無事で本当に良かったです・・・。」っと私に抱きつきながら泣いてくださって私もごめんなさいと、恐怖と色々な感情が溢れて来て一緒になって泣いてしまいました。
紗季の事も聞きました、悠馬さんがキレて頭を掴んでテーブルにぶつけ捲ったと殺そうとしたと、最後には母が水をかける事でギリギリで止まったと・・・私は約束すら守れなかった・・・、悠馬さんの手が汚れるかも知れない時は私が止めると約束したのに関わらず・・・。
そして・・・悠馬さんは・・・。
「悠馬・・・、お願い起きて・・・。」
「悠馬さん・・・。ごめんなさい・・・。」
「悠馬くん・・・。」
あれから一日、余程ダメージがあったのか悠馬さんは目を覚まさずに寝続けてます、怪我自体は骨に異常があるとかも無く打撲で済んだそうなのでそこだけは良かったんですが・・・。
「ほらほらっ。愛央も二人もそろそろ時間よ、葵さんも菜月ちゃんもね。後は任せて帰宅しなさい。」
愛央さんのお姉さん、柚希さんがまたしても対応してくれて面会時間の終わりを教えてきます。
「ほら、行くわよ皆。悠ちゃんは大丈夫、大丈夫よ。柚希さんお願いします。」
それはまるで自分に言い聞かせているかのような・・・。
「は、はい・・・。悠馬、また明日来るね?」
私達は愛央さんのその言葉の後にそれぞれが言葉を伝えて最後まで名残惜し気に悠馬さんを見ながら病室を後にして帰宅する事になりました。
葵さんが私達を自宅まで送ってくださって、母に抱きつき泣きながら眠れずに一夜を明かす事になったのでした・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます