第76話 悪意
♪~♪~♪窓から差し込む、柔らかな光、見送った~♪~♪
スマホの呼び出し音がなって直ぐに俺は通話を押す。
「愛央!どうだ?!」
「スマホは見つけた!ステイルまでの道で見付けたよ!次はどうすればいい?!」
「愛央はそこから志保が居ないかを探してくれ!清華先輩もステイル側から探して貰う!二人の中心地で合流してくれ!」
「分かった!」
「私も出るね!悠馬くんは待ってて!」
俺と愛央の通話を聞いていた清華先輩が直ぐに店から飛び出してくれた。
「愛央も気を付けて!」
「分かってる!また後で!」
ピっと通話を終わらせた俺はスマホを仕舞いながら一息ついて考えを纏める。
「悠馬くん・・・何か出来る事は無い・・・?」
「有希華さんは念のためにここで待機を。」
「母さんは一旦戻ってくれ、菜月が飛び出してくると困る。」
チリンチリーンー♪
店の扉が開く音がして俺達は一斉に扉の方に視線を向けるとそこには足立さんが居た。
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SIDE 志保
シュッ・・・ザシュッ。
シュッ・・・ザシュッ。
「ぅぅん・・・。ここは・・・?」
何かが一定のリズムで刺さる音が耳に届いた私は
目を覚ました。
「起きたか、手荒な真似して悪かったなー志保。」
「んっ!!貴方・・・こんな事してただで済むとでも?!」
私が目を覚ますと身体は椅子に固定されていて身動きが取れない状態でした。
「俺様がルールだ!お前は俺の女だし何をしても許されるんだよ!」
「何を馬鹿なことを・・・!」
シュッ・・ザシュッっと私の顔の真横の壁に彼が投げたサバイバルナイフとも言えば良いのか、大きめな刃物が刺さりました。
「まだ状況も何も理解してないみたいだな?俺様から逃げられると本気で思ったのか?だとしたら甘いのは・・・志保、お前の方だ。」
「何を言って・・・私達親子を追い出したのは貴方達でしょう?!」
「それは勘違いだ、周りが勝手に騒いで天音家を追い出したのさ。俺は何もしていないさ。」
「白々しい・・・。」
「まっ、お前がどう思おうと知らん。お前を見つけたからな。」
彼はそう言うと私に近づいてきてガコッと音を鳴らして私の側に刺さっているナイフを抜いて私の顔に近づけた。
「何が目的ですか、わざわざこんな犯罪までおかして。」
「クククッ、アーハッハッハッハッ!決まってんだろ!YouMaを殺す!俺の志保を
「なっ・・・ふざけないで下さい!私のことならいくらでも好きにすれば良いでしょう!!悠馬さんを巻き込まないで!!」
「だからだよ、あいつを痛めつければお前も壊れるだろ?俺はなー!お前が壊れた姿が見たいんだよ!それもこれも!あいつが悪いんだ!俺の志保とこんなもんで話題になってんだからよ!!まぁ〜でも?お前を見つけることは出来たからそこは感謝だがな!」
彼が私に見せたのは私達やお店が掲載された雑誌でした。まさか、あの雑誌でバレるなんて、それ以前に私を何て考えもしていませんでした、勿論、母もそうでしょう・・・。
こんな事になるならお話は断るべきでした・・・いえ、それ以前に逃げたりしなければ諦めて受け入れていれば・・・。
悠馬さん、ごめんなさい、私のせいで・・・。
お願いします、助けに何て来ないで下さい・・・。
…………………………………………………………
「どうしました?足立さん。」
「聞きたいことがあるの、志保ちゃんは帰ってきてる?」
「いえ、連絡が取れなくて困ってます。」
何の用なのか、意図も分からずに俺は自然と足立さんを見つめる目が冷たくキツくなっていっているのを自分でも自覚しながら続きを話す。
「今、立込んでるのでしょうもない話なら今度にしてください。」
「うっ、ちょっと待ってください悠馬さん。狭山が今、後をつけて場所の特定をしています。」
「は?それはまさか、志保を攫った奴らを見たんですか?ってか、志保はやっぱり攫われたんですね?」
ここに来てまさかの話が舞い込んできた。
「詳しく話して貰えますよね?」
丁寧には話しているが有無を言わさない雰囲気と迫力を出しながら俺は足立さんに詰め寄る。
「分かってるから、順を追って話しますね。実は・・・。」
足立さんの話はこうだ、雑誌の売上アップやステイルへの宣伝効果を祝って狭山さんと飲んでいたらしい、良い感じに酔って歩いていたら志保ちゃんが誰かと話していて、夢中に?なっている間に後ろから近寄ってきた女性に恐らくスタンガン?で意識を奪われて担がれたそうだ、そのままそいつらは人目を避けて志保を運んで行くのを見て狭山さんが写真や動画を撮りながら後をつけてるらしく、足立さんは俺達に知らせないとって事でこっちに来たそうだ。
「あぁぁぁ・・・志保どうして、志保が・・・。」
「少しだけ聞こえたんですが4年前っと言葉だけは聞こえましたが何か心当たりは?」
「4年・・・まさか!今更・・・そんな・・・。」
「心当たりがあるんですね?」
「はい、私達親子がこの街に来たきっかけの・・・。」
「その話は今度聞きます。今は志保の行方と安否だ。」
俺はスマホを取り出して直ぐに履歴から愛央に電話をして清華先輩も二人で戻ってきてくれと指示を出してスマホを仕舞うのと同時にまたしても来店を告げるベルの音が鳴り響いた。
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SIDE 有希華
「貴女は・・・何故ここに居るの?!」
私は悠馬くん達が居るのも構わずに娘と同じ歳の子に怒鳴り声を浴びせる。
「答えなさい!どうしてここに居るのかを!彩希!!」
「相変わらずうるさいですね、少しは黙ることを覚えたらどうです?ここへはこの雑誌を見て来ましたよ?」
それは発売されたばかりの旅行雑誌、私達親子のお店が載っている雑誌。
「いやいや、まさかこんなところでお店やってるなんてねー?載ってるのを見た時は馬鹿かこいつら!っと思いましたよ?あのお方が志保を諦めている訳無いでは無いですか。」
「ま、まさか!志保は貴方達が?!」
ニヤっと嫌な笑みを浮かべた彩希の前にいつの間にか悠馬くんが立っていて・・・ただ一言静かにこう聞いた。
「志保はどこだ?」
「何ですか?貴方・・・あぁ、貴方がYouMaですか、挨拶も無いなんて、礼儀のひと・・・っ?!」
ズッガンッ!っと悠馬くんは彩希の言葉を遮り、彩希の頭を掴んで容赦無くお店のテーブルに叩きつけた・・・。
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ここから暴力的になりますので苦手な方は飛ばして80話からお読みください
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