第75話 過去の因縁
あぁぁぁぁ・・つっかれた・・・。
何だったんだこの二日間・・・混みすぎだろう・・・。
「菜月・・・大丈夫か・・・?」
「無理です、死にます。」
「全く、仕方ないなもうっ。」
俺はソファーでぐったりとしてる菜月をお姫様抱っこしながら部屋まで連れて行って菜月をベッドに寝かせると直ぐに寝息を立て始めた。
「やれやれ・・・ありがとうな、菜月。助かったよ・・・。」
サラサラの髪を撫でて「おやすみ。」っと一言だけかけて俺は菜月の部屋を後にした。
「悠ちゃん、菜月ちゃんは?」
「疲れ切って寝ちゃったよ、もしかしたら夜中に起きるかも知れないから起きてる間に起きて来なかった時の為のおにぎりでも作っておくよ。」
「うん、分かった。急に菜月ちゃんも手伝う!って言った時は驚いたけどちゃんと出来たのは偉いわね。」
「そうだね、流石にどうよ?って思ったけど実際には助かったもんな~。」
菜月のお陰で配膳が楽になって志保と有希華さんが調理だけに集中出来るようになり回転は早くなったんだよね。
「今度何か菜月のお願い聞いてあげないとなー。」
「うんうんっ!菜月ちゃんも喜ぶと思うよっ。」
母さんとそんな事を話しながらリビングでゆっくりとしていたら俺のスマホが鳴ってその内容がとんでもないものだった。
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チリンチリン~。
「有希華さん!志保は?!」
俺は電話を切った後に直ぐに母さんに車を出して貰ってステイルに到着後、直ぐに店内に飛び込んだ。
「悠馬!」
「悠馬くん!」
店内には既に愛央と清華先輩が居て俺を驚いた目で見て来るのにも構わずに有希華さんに俺は問い詰める。
「志保は無事なんですか?!まだ連絡はつかないんですか?!」
「お、落ち着いてっ!まだ帰って来ないし連絡もつかないのよ・・・。」
「くっそっ、何で・・・何が・・・。」
「有希華さん誰からも何もないんですか?」
「そうなんです、あの子が連絡も無しに遅くなる何て事無かったから心配で・・・。」
「何か心当たりはないんです?」
母さんのその言葉に有希華さんは考え込んでは居るが、出て来ないって感じだった。
「探す・・・。俺が探しに行ってくる。」
「駄目よ!悠ちゃん、それは許可出来ないわっ。」
「母さん!そんな事言ってる場合じゃ!志保だぞ?!志保が音沙汰無く何て明らかにおかしいだろ?!手遅れな状況になったらどうすんだよ!」
パーンっ!っと母さんが俺を引っ叩いた・・・。
「母さん・・・。」
「叩いてごめん、でも少しは落ち着いたんじゃない?」
「う、うん・・・。俺の方こそごめん・・・。」
「悠馬、私達だって同じ気持ちだから、だから焦らないで・・・。」
「そうだよ、悠馬くん。私達だって心配なんだから・・・。」
そうだ、心配なのは俺だけじゃ無い、母さんも愛央も清華も何よりも有希華さんが・・・、冷静になれ俺、頭を働かせろ。
「事件性があるか分からないから警察を頼る訳にも行かないってよりも正直役に立たない。」
「そうね、警察はなにかが無いとちゃんと動けないからね。」
「有希華さん!志保に何を頼みました?!この時間でここに居ないって事は外に出ていたって事ですよね?何か頼みごとをしたんじゃないですか?」
「夕飯の買い物を・・・。」
「愛央!ここから一番近いスーパーまで行った後に志保のスマホを鳴らしながらここまで戻ってきてくれないか?」
「良いけど・・・?」
「連絡がつかないって事は連絡できない状況って事、可能性があるとすればスマホを落とした事に気付いて無い可能性と志保自身が何か怪我をして動けない状態でスマホも落としてる可能性と誰かに拉致されてスマホに触れる事が出来ない状況の可能性だ。」
「そっか・・・、落としたなら帰り道のどこかに落ちてるって事か、仮に誰かが拾って居るなら何度もかかってくれば出るよね。拉致の場合はスマホは壊されてるんじゃないの?」
「それなら電源が~のアナウンスがあるはず、無いんだろ?」
俺の問いかけに皆が頷いてくれて、納得したのか「私いってくる!」その言葉と共に愛央は外に飛び出してくれた。
「悠馬くん私にも何か出来る事はない?」
「現状でだと後は聞き込み位しか無いよ。」
「ならそれしてくる!」
「いや、意味無いよ。」
「何で?!」
「志保がどうなったのか分からないと動きようが無い。少なくても愛央がスマホを見つけられるかが鍵になる。」
「どう言う事?」
「見つければ愛央の事だ、連絡をしてくるだろう、となれば次は周辺を探してもらうつもりだ。その時には清華先輩にはこちら側から探して貰う、それで怪我をした志保か、何処かで時間を潰してる志保が居なければ・・・。」
「誘拐・・・。」
真っ青な顔をして有希華さんがぼそっと・・・呟いた・・・。
「まだそうだと決まった訳じゃ無いけど、さっきから嫌な予感がしてる。」
胸の奥で不安感が溢れて来る実に気持ち悪いモヤモヤ感・・・。
頼む・・・外れてくれ、昔からこの手の予感は当たるから困る・・・。
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SIDE 志保
「私の事を知ってるようですけどどちら様でしょう?」
いきなり私の目の前に現れたこの男子は恐らくは同い年位でしょうか?どうにも私の名前を知っているようですが覚えがありませんね・・・。
「おいおい~冷たい事言うなよな、この4年ずっと探してたんだぜ?」
4年・・・この言葉に嫌な考えがよぎります・・・。
4年前と言えば私がこの街に来た頃、それはつまり・・・私は無意識に後ずさりました。
「分かったみたいだな?そうだよ俺だ、迎えに来たぞ、志保ぉ?」
「な、なんで・・・、それにその身体・・・。」
「お前がデブは嫌いだと言ったからな~探しながら努力したんだ。どうよ?見違えたろ?俺と来てもらうぞ、お前は俺のものだ。」
「嫌です。私は貴方の物じゃない、貴方の事なんて好きでも何でも無い、むしろ・・・大嫌いですっ!今の私には愛しい人がいる!貴方を好きになるなんてありえない!」
「勘違いするなクソアマ、お前の意見なんて聞いてないんだよ!やれ。」
「え?」っと気付いた時には私の後ろに一人いて私はその人によって意識を奪われた・・・助けて、悠馬さん!っと薄れゆく意識の中にあったのはその気持ちだけでした。
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