第74話 二日間を乗り越えて
SIDE 志保
なんとかうまく行ったみたいですね。流石に焦りましたけど流石は悠馬さんですね。
「ふう・・・。悠馬らしいけど心配で心配で・・・もうっ」
「そうだね、でもさ。何か良かったよね?上手く言えないけどさ。」
「そうですね、大丈夫だとは思ってましたけど何か良かったです。」
私達3人が顔を見合わせて話して居るのを葵さんが穏やかに眺めているのは気になって葵さんを見て居たら視線に気付いた葵さんが話しかけてきました。
「ふふ、悠ちゃんを信じてくれてるなーって思ってね。愛央ちゃんも志保ちゃんも清華ちゃんも。それに、悠ちゃんの言葉で胸が一杯で暖かな気持ちになってるのは皆同じよね?」
あぁそうか・・・。私達はまだ学生で実感は無いけど他の大人の女性陣は感じ方が違いますよね。自分たちの努力をちゃんと見てくれてる、認めてくれてるってのが感じ取れるから頑張ってきた甲斐があるってなりますもんね。葵さんだけじゃなく他の店内の女性陣も同じような表情をしていますし、多分間違いは無さそうです。
本当・・・悠馬さんは凄いです、あんなに簡単に考えを変えさせてご家族とも蟠りを解消する手助けまで・・・。本当に、貴方に恋をして良かったと私は改めて実感しました。そして、この気持ちを貴方に伝えたいと改めて決意しました。
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「っと、そうだ。ご来店のお客様の皆様。お騒がせして申し訳ありませんでした。
お詫びといたしまして、今のご注文分は私がご馳走させていただきますので、ごゆっくりとお楽しみください。」
「いやいや、そんな事して貰わなくても大丈夫です!」「そうです!そうです!ちゃんとお支払いしますから!」「お気持ちだけでほんとうにもう!」「YouMa様のお言葉で温かい気持ちになれましたのでむしろこちらの方が・・・。」
「これは俺の自己満足でしかない事は理解してますが、騒がせたのは事実ですのでお気になさらないでください。良いですよね?有希華さん。」
「えっと、こっちは良いけど・・・悠馬君、本当に良いの?」
「勿論、二言はありません。」
「うん、分かった。それじゃ今、店内に居る人の分は悠馬君のおごりって事にしますね。」
「お願いします、皆さんもこれでご勘弁ください。」
「えぇぇ・・・でも・・・。」「嬉しいけど嬉しいけど・・・。」「YouMa様からのおごり・・・。」「やばい、頼んだものが一気に光輝いて見える・・・。」「食べるの勿体なく・・・。」
「これで何とかかな?悪評は出ないと思う。」
「悠馬さん、ありがとうございます。それと、すいませんでした、直ぐに駆けつけられなくて・・・。」
「ん?謝ること何て何も無くない?元々俺が対象の問題だったしさ。」
「ですが・・・。」
「それに下手に出ていってこのお店の人間が揉めるってのは外聞が良くない、ましてや相手は男子だ。だからこれで良かったんだ、今回はね。」
俺の言葉に納得も理解も出来るけど感情面では〜みたいな顔してる志保を眺めて、しゃーないなっと思いながら頭を撫でて誤魔化すことにした。
「俺なら大丈夫。志保の気持ちだけで嬉しいよ。だからありがとな。」
っと、撫で回して無理やりこの件は収めたのだった。
その後は特に問題も騒ぎも起こる事も無く過ぎて行って一日目が無事に終わったのはとても良かった。あの家族も静かに最後まで過ごしてて帰る時にしっかりと頭を下げて帰ったからこれから少しずつ改善すれば良いなっと家族仲も良くなれば良いなっと他人事ながらも思ったり?
そして二日目からは特に問題も起こる事無く過ぎて行く、と言っても忙しさが半端ないったら無い・・・、近県の人達も来たりして前日よりも大盛況になって本当にてんやわんやって感じで、急遽ではあるけど菜月にも手伝って貰う事になったり・・・・。
足立さんと狭山さんも来てくれて自分達が作った記事の影響を確認、大成功だったと喜んでいた、なので、二人にも特製ケーキを出してあげたら、泣きながら喜んで食べてたのは笑わせて貰った。(挟山さんは写真撮りまくってました。)
「こんな素敵なものを食べられたなんて・・・もうこの世に悔いはありませんっ!!」っと足立さんが言ってたから「死んじゃうなら取り上げますよ〜?」っとふざけて言ったらこの世の終わりかの様な顔をしたのには、疲れも忘れて人目も憚らずに大爆笑した。
そして・・・、忙しかった日曜日が終わり、本来ならこのままお疲れ様会をって話だったけど、皆が皆、ぐったりだったのもあって来週の日曜日はお店をお休みにして昼間から騒ぐ事になった。
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SIDE 志保
ふぅ・・・本当に忙しかったですね・・、でも悪くない疲れです。
この二日間、本当に大変でした。YouMa目当てのお客さんでお店はとても大忙しでした。
「悠馬さんの素敵な一面も見れましたね。あの時は焦りましたけど・・・。」
男子を連れたご家族が来店して悠馬さんが対応して直ぐに問題が発生した・・・。
「それもさっと解決してしまうどころか・・・男子どころかご家族の考えも関係性も変えてしまうんですもの・・・。」
どれだけ凄い人なんでしょうね?今なら愛央さんの気持ちが少し分かる気がします、釣り合わないと思ってしまうのは私も分かりました、愛央さんの言う私の凄いところ、特別と言ってくれた部分は別に私である必要なんて無い、言うなれば誰でも手に入るものだ。私からすれば愛央さんの方が凄いと思うし特別なお友達だ。
「何て・・・私が愛央さんなら私や清華先輩を特別だと思うんでしょうね・・・。」
結局の所、お互いに無いものねだりなのだ、私は愛央さんの様に無意識に人の中心に立って引っ張っていくなんて出来ないし憧れもする、清華先輩の美しさとピアノと言う難しい楽器を演奏し、悠馬さんと一緒になって演奏する事が出来るだけの技術には憧れる。
「きっと・・・清華先輩も同じなんでしょうね・・・。私達は同じ人に恋をしただけあって何処か似通っているんでしょうね。」
そんな事を考えながら疲れ切った身体に鞭を打って夕飯の食材を買って自宅までの道を私は歩いていた。
「見つけた・・・、やっと見つけたぞ・・・志保。」
そんな私の目の前には私を知っている様で、私は見覚えの無いようなどこかで見た事ある様な男が立ちふさがった・・・。
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ここから流れを変えて行きます。
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