第70話 取材

SIDE 葵


「あぁ!いい!それ!その表情戴きぃぃぃー!!!」


「そう!それそれそれ!!!いいわ!いいのぉーー!」


「悠馬きゅん!きゃわぃぃ!かっこウィィィィィ!!」


ねぇ・・・あの人、狭山さんって大丈夫なの?ハンドルハッピーは聞いた事あるけど、カメラハッピーって存在するの?聞いた事無いんだけど・・・。クールで綺麗な人って最初のイメージ粉々なんだけど・・・。


「何かすいません、あの子何時もあーなんです。悪い子じゃないし腕は確か何ですけど何故かカメラを構えるとあぁなるんですよねぇ。」


「カメラハッピーとでも言えば良いんですかね?初めて見ましたし初めて発する言葉なんですけど・・・。」


「ところで、葵さん。今回の話は何故受けて貰えたんでしょう?」


彼女の事をあえて視線から外して足立さんは私に質問をしてきた。


「そう!それそれぇぇぇ!良いの!その表情たっまんないわぁぁぁ!濡れるぅぅぅぅ!」


「・・・・・・えっと、彼女本当に大丈夫なんですよね?」


「はい、何時もの事です。興奮すると男女問わず濡れるそうなので。今回は流石に早いですけど展開。」


「足立さんを信用するしか無いですしいざとなれば菜月ちゃんにはスタンガン持たせてるので大丈夫でしょうけど・・・。えっと、理由でしたっけ?」


「はい、差し支えなければでよろしいんですけど。」


「良いわぁぁぁぁぁ!!!もうびっちゃびちゃよぉぉ!!!」


「少々お待ちを・・・。」


そう言って、足立さんは狭山さんの所まで歩いていって持っていた本を丸め・・「いい加減にしなさい!!!!」っとスパァァァァンッと綺麗な音を出しながら頭を叩いた後何事も無かったかのように戻ってきた。


「お待たせしてすいません。ささ、そっちに座りながらお話ししましょうか。」


とっても素敵な笑顔の足立さんに連れられるまま私は座って先週の悠ちゃんとの話を話し始めた。


------------------------------------------------------------

その後、ある程度の撮影を終えて足立さんからのインタビューを受けてる。

狭山さんはインタビューに答えてる俺を撮ってるし・・・。


「それじゃ、自分の実力を知るためにわざわざ清蘭の受験を受けたの?」


「はい、そうですよ。男子だからって試験も無く進学校に受かる。俺にはどうしてもおかしいとしか思えなかったので自分の実力を知るって意味でも学校に無理を言って受けさせて貰いました。」


「それで、最高点数を大幅更新って凄すぎない?」


「いえ、たまたま抑えてた所がーってだけですよ。勿論それなりには勉強しましたけどね。」


後ろの方で、愛央も志保も清華先輩も「絶対うそだぁ~。」って目で見てるのはスルーする!


「なるほど・・・って事は記憶力も良いって事だね。だってそうじゃないと自分が何処を勉強したのか覚えて無いと無理だしね。本当にどんな頭してるの?」


「それ、放送委員にも言われましたね~。ラブレター関係でお昼の放送に出させてもらった時に。」


「あはは。やっぱりモテるんだね。悠馬君は女性にも優しいと聞いたけどそこの所を教えて貰ってもいい?」


「あぁ、はい。と言っても特に意識してる訳じゃ無いんですけどね。単に男だから何をしても許される、男だから何でも免除、男だから傲慢で当然。おかしくないですか?唯でさえ数が少ないのにそんな事ばかりしてたらもっと数は減るし種の存続って意味でも健康体じゃ無いと弱くなってしまうでしょ?だから俺はそう言う甘えが嫌で色々してるだけですし、何より俺自身が母のお陰で今があって妹のお陰で家でも楽しく過ごせて、二人のお陰で好き勝手に出来るんですから。見捨てられたら後は死ぬしかないじゃないですか?ってそこまで考えてる訳じゃ無いですけど、頑張ってくれてる女性が居るお陰で生活出来てる男が居るのだけは変わらないと思うんです。だからこそ、しっかりと感謝と敬意をもってっと思ってるだけです。何て偉そうな事言いましたけど、単純に自分が嫌だってだけなんですけどね。」


「なるほどっ。それが普段の行動や態度に現れているって事か。悠馬君はYouMa様としても有名になってるし、女性にも優しく頭も良くて運動も出来て容姿も優れてる、学校でも大人気でしょ?さっきラブレターって言ってたけど告白もされてるの?」


「いえ、まだ告白は無いですね、ラブレターの内容では確かにそう言うのありましたけど、さっき言ったように放送でちゃんと全部読みますけど返事は難しいしお付き合いをするならちゃんと知ってからって言ってあるので話しかけてくれる人は多いですが、直接の告白は無いですね。」


「なるほどなるほど。その放送が効いてるのかもしれないね。読んでくれるだけでも嬉しいって子も沢山いそうだしね。それとっ!これだけは絶対に聞こうと思ってたんだけど、先月の生放送の・・・。」


「あぁ・・・もしかして、あれですか?」


「分かっちゃった?」


物凄く楽しそうなニヤニヤとした笑みを浮かべながら俺を見てる足立さんから目線を少しずらして当事者の愛央を見ると俺を見てて俺の視線に気付いたらしくその顔には「??」っと疑問符が浮かんでる。


「えぇ・・・まぁ、えっと、何を聞きたいんでしょうか?」


「ぬふふぅ、ツブッターのトレンドを急上昇させたり女子の言われたい言葉ランキングも急上昇させたりしたあの言葉!アーカイブは残してないみたいだからある意味伝説の回になってるやつねっ。」


その言葉で理解したのか愛央はこれでもかって位、顔を真っ赤にしてうつむいた。


「俺の好きを舐めるな!これに関して聞きたいなーってっ!」


「詳しくは言えませんけどちょっと好きな人とすれ違いがありまして、二度と話したり出来なくなるのか?今まで見たいに仲良く出来ないのかって思ったら嫌で、俺がお前を守る!俺がお前の不安も何もかも吹き飛ばしてやる!そう言う意味を込めてですかね・・・。リフレインに関してはただ単に気持ちを込めた言葉をってだけです。」


「ふむふむ・・・。それはあそこで真っ赤になって俯いてる子かな~?」


くっ・・・気付いてやがる!


「はい、そうですよ。俺は愛央の事が大好きですからっ!」


「きゅぅぅぅっ。」っと完全に湯だったかの様な愛央の声を尻目に俺は堂々と足立さんに告げた。


「あ、アハハ・・・。そこまで堂々と言われると思ってなかったっ。まぁでもそっかぁ~、実に羨ましい事でっ。」


「この事は記事にはしないから安心してね?」っとウインクといたずらっ子の様な顔で俺に告げた足立さんは俺自身に関する質問の後にこのお店の事はどう思っているのかを聞いてくる。


「それじゃ次の質問ね。ここの事ステイルの事はどう思ってるのか教えて貰える?」


「そうですね、とても大切な場所です。落ち着くし何時間でも居れる位、居心地も良いし、志保の淹れてくれるコーヒーもとても好きですしとても大切な場所ですね。」


「なるほど、なるほど。それじゃー次は・・・・。」


って感じで質問が続き一通り聞き終わったのか質問タイムは終わりを告げたのだった。


「うんうん!今日はお時間取ってくれてありがとね!最高の記事にして見せるし完成したら雑誌も送らせて貰うね!勿論、皆さんの分も!」


可愛くサムズアップしながら成功させて見せるっと意気込んだ足立さんに続いて狭山さんが挨拶してきた。


「本日はお忙しい中ありがとうございました。写真も沢山撮れましたので厳選して選ばせて戴きますね。」


「はい。二人共お疲れさまでした。こちらこそ楽しい時間をありがとうございました。」


そう言って全力笑顔でにっこりとお礼を伝えた。(カシャッ!)


「素敵な笑顔戴きですっ!」


狭山さんの目にもとまらぬ撮影で確りと押さえられてその日の撮影と取材は幕を閉じたのだった・・・・。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る