第66話 志保の宝物

「あれ?!私?!・・・確か目の前にYouMa様のご尊顔があって、それで・・・・。うん、夢ね。夢。そんな事ある訳無いしね。」


うんうんっと一人納得してる彼女を現実に戻すのもどうかなーっと思いながらも・・・・また気絶しないと良いなーっと・・。


「夢じゃないですよ。身体大丈夫ですか?」


「うん、まだ寝てるのね私。起きないと!起きないと!あぁ・・でも夢でもYouMa様に会えてるんだから寝たままの方が幸せかしら・・・。」


「起きたまま現実で会ったほうが幸せじゃないですか?こうやって触れる事も出来ますしね。」


っと、そっとお姉さんの手を取って目の高さまで上げてニッコリっと・・・。


「ひょぉぉ?!現実?!え?!夢?!明日死なない私?!」


「落ち着いてくださいってば。」


「それじゃ落ち着けませんよ、悠馬さん・・・・。どうぞこれでも飲んで落ち着いてください。」


そう言って志保は目を覚ましたお姉さんにお茶を渡しそれを受け取ったお姉さんは直ぐにゴクゴクゴクっと勢いよく飲み干した。


「はい、もう大丈夫です。何かすいませんでした。」


「いえいえ、落ち着いたようで何よりです。この辺では見ない方ですが・・・。」


「はい、私こう言うものです。」


そう言って有希華さんと志保と俺にも名刺を渡してきた。


「えっと・・・。足立あだち 麻帆まほさん、旅行雑誌の記者さん?」


「これって全国を対象にしてるやつだったわよね?」


「はい!この街の隠れた名店の紹介をしたくて周辺の方々の話題になってるこのお店を紹介させていただきたいなと思いまして。」


「と言われましても・・・・。悠馬さんが出入りするようになってからお客さんが増えたってだけで特に何かがって訳では無いですよ?」


「そんな事はないだろ?愛央が言ってた通り俺が出入りし始めた事でお客さんは確かに増えたんでしょうけど、それをぬきにしてもコーヒーは絶品ですし、料理も美味しいしお店の雰囲気も落ち着くし、看板娘がとても美人っと良いところしか無いですよ。」


「ゆ、悠馬さん・・・・////」


「ん?変な事言った?看板娘は美人なのは間違って無いだろ。あぁ・・・オーナーさんってか有希華さんも美女だから美人親子の経営する喫茶店ですね。この美貌の二人ですし同じ女性でも目の保養になるのでは?もしくは美の秘訣を知りたいと思うとかっ。」


「「「・・・・・・・・・・・・。」」」


あれ?何でシーンっと静かになるんだ?志保と有希華さんは顔真っ赤になって俯いてるし、うん、とっても可愛いですね。

記者さんはぽかーんって顔で俺を見てるし・・・・・。


「どしたの?」


「いえ・・・だって・・・///初めて美人だと言われたので///」


「悠馬君ったらこんなおばさんを揶揄わないの!もうっ!」


「え?ただの本音ですけど?」


「「だ、だからっ///」」


「YouMa様は何と言いますか変わってますね・・・。」


「らしいですねー。よく言われます。あぁ、逆月悠馬と言います。以後お見知りおきを・・・。」


そう言いながら左手を鳩尾の辺りに添えて礼を一つ。執事の挨拶の様な事をしてみた。


「かっはぁっ////」


「悠馬君それは///そのポーズは破壊力高すぎ///」


「ぽけー////」


うん、やり過ぎたかもしれん。志保までぼけーっとしちゃってるし。

これまた暫く話進まない奴だな・・・・うん。


------------------------------------------------------------

って訳で、全員が戻ってくるまで一人ゆっくりと待機してた。


「それにしても、取材ねぇ〜・・・余り有名になって出入りが難しくなるのは困るけど志保の家に余裕が出来るのは良いことだよな・・・。」


さてさて、どういう流れになるかな〜?

変なことにならないと良いんだけど多分無理だよな〜・・・っと一人ここからの流れを頭の中で予想と整理をしながらも、俺が出入りして居れば時間の問題か・・・?何て少し己惚れてみたのだった。


その後10分ほどで三人とも復活したので改めて話し合いが始まった。


「それで、如何でしょうか?記事にさせていたただいても宜しいですか?」


うーんっと、頭を悩ませてる有希華さんを眺めながら俺と志保は少し離れた位置で小声で話してた。


「志保はどう思うんだ?」


「そうですね・・・私としては余り乗り気はしないですね。」


「何でまた?」


「悠馬さんがゆっくり出来なくなるのは困ります。」


ただ一言、志保はただ一言その言葉を発して黙ったが俺は志保の言った理由がまさかの俺の為で少し思考が停止してしまう。


「悠馬さん・・・?どうかしましたか?私の勘違いで無ければ悠馬さんはこの店でゆったりとした時間を過ごしていると思ってましたけど・・・?」


「あ・・・っと。うん、ごめん。理由がまさか俺の為だとは思って無くてさ、うん、嬉しいよ、ありがとな。」


志保の答えに俺はとても温かい気持ちになって自然と笑顔になりお礼を伝えた。


「い。いえっ///そんなお礼を言われる程の事ではっ///ところで悠馬さんはどう思いますか?このお話しなんですけど・・・。」


「そうだな~・・・。志保の言う通りここで過ごす時間はとても大事だし好きな時間でもあるよ。でもさ俺の効果以外でもお客さんが増えるのは良い事だと思うし、実際これからの進路やらを考えたらお金はあって困る物じゃないでしょ?って言うか・・・俺の、YouMa効果が無くなったとしてもこのお店の実力なら普通に今よりも流行るさ。」


それだけは間違いないっと確信をもって伝えながら「それでも・・・・」っと続きを話し始める。


「忙しくなることで志保との時間が無くなったり、とりずらくなったりするのは嫌かな。だから賛成が8割反対2割って所かな・・・。」


「なるほど・・・確かに私も悠馬さんとの時間が少なくなる、無くなるっと言うのは嫌ですね、私は悠馬さんがここに来てゆっくりとした時間を過ごして貰える事、私と同じ時間を過ごして貰える事、私の淹れたコーヒーを美味しいと言って貰える事がですからっ。」


志保も俺と同じような考えってのが分かって俺も嬉しくなりながらも・・・・。


「そんな宝物って、大げさな・・・///」


どうにも照れてしまって頬を掻きながら志保を見るととても優しく、綺麗で誰でも見惚れてしまいそうな微笑みを浮かべていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る