第54話 もう一度ここから
SIDE 愛央
悠馬君!悠馬君!悠馬君!
私は息が切れるのも構わずに公園に向けて走ってる。
ステイルを出るのと同時に悠馬君から「公園で待ってる。」とだけ書かれたフリッペが届いて私は全力で走りだした。
外はもう暗くなり始めているから急がないと一人で待ってる悠馬君に何かがあれば私は後悔してもしきれない。
「ごめんっ!ごめんねっ!私っ・・・私っ!」
もう汗やら風やらで髪型もボロボロだしお化粧も落ちてるのが自分でも分かる、こんなぼろぼろの状態で悠馬君に会うなんて本来なら絶対に出来ないけど、今は・・・今はっ!
全力で走ったお陰か、もう公園が見える、私は勢いのまま中に入って今日の最後に話を、告白を受けたベンチに向かうとそこには既に・・・。
「悠馬君ーーーー!!」
私の大好きな彼が待ってくれていた。
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「悠馬君ーーーー!」
愛央の声に顔を向けるのと同時に愛しい人が俺の胸の中に飛び込んでくる。
「おっと・・・っ。」
俺はたたらを少し踏みながら愛央を受け止めて抱きしめながら頭を撫でる。
「悠馬君っ!悠馬君っ!悠馬君っ!」
俺の胸の中でぐりぐりしたり強く抱きついて来たりしながら愛央は唯々泣き続けてる・・・。
「よしよしっ、大丈夫だ。俺はここに居る・・・。」
言いながら愛央を兎に角落ち着かせないとって思いながら愛央に答える様にきつくきつく抱きしめる。
どれくらいそうしていたか・・・愛央が落ち着いて、俺の胸から少し顔を離した。
「ごめんね・・・。」
「大丈夫・・・、話せるか?」
「うん・・・。」
俺は愛央と手を繋いで引っ張ったままベンチに二人で並んで座ってもう一度、俺の気持ちを伝える事にした。
「愛央、俺は愛央が好きだ。友達としてじゃなく一人の女の子として愛央が好きだ。俺と付き合ってほしい。」
俺のその言葉に愛央は、一度、俯いてぽつぽつと話し始めた。
「私なんかで良いのかな?だって悠馬君はさ・・・YouMaって有名で凄い人気で、学校でも人気者でファンクラブまであって・・・、勉強も運動も料理も何でも出来ちゃう、そんな悠馬君の隣に立つのが私で・・・本当に良いの・・・?」
「愛央自身の気持ちは何処にあるんだ?確かに俺は愛央の言った通りかもしれない、でもな?愛央が好きだって気持ちだけは誰かに決められたものでも操作されたものでも無い。はっきり言って世間の評価なんてどうでもいい、俺は愛央にかっこいいって好きだって思って貰えたらそれで、それだけで十分なんだ。」
俺の言葉に愛央はまたぼろぼろと大粒の涙を流し始める。
「愛央の気持ちを聞かせて貰えないか?」
「わ、わたし、私もっ、好き・・・大好きっ。悠馬君が・・・どうしようも無い位・・・好きですっ。」
「うんうん、俺は愛央じゃないと嫌だ、愛央が好きなんだこれからも俺と一緒に居てくれない?これからは・・・恋人としてっ。」
「私もっ!私も一緒に居たいっ!ぐすっ・・・うぅぅ・・・一緒に・・・ずっと・・・、よろしく・・・お願い・・・します・・・えぐっ・・・ああぁぁぁぁっ。」
もう我慢の限界とばかりに大声で泣きだした愛央を確りと抱きしめて愛央の涙を受け止める。
「愛央は俺が守る。愛央を悪く言う奴は誰が相手でも許さない、俺とこれからもずっと・・・。」
「うん・・・ぅん、好き・・・悠馬君が大好きっ!わぁっぁぁぁぁぁ。」
今日は泣かせてばっかりだな・・・でも、これは悲しい涙じゃ無く嬉しい涙だから・・・良いよな?
そんな事を考えながら愛央が落ち着くまでポンポンっと背中を撫で続けた。
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「ぐすっ・・・。ごめんね・・・。」
「大丈夫だ、惚れた女の涙なら幾らでも受け止めるさ。」
うぅぅ・・っと恥ずかしそうにしながら俺にされるがままになってた愛央も落ち着いて来たのかゆっくりと名残惜しそうに離れて俺を見詰めて来た、涙で濡れた瞳と照れてる顔とそんな愛央に我慢なんて出来なくて・・・。
「んっ。」
気付けば・・・ちゅっと愛央の可愛い唇にキスをしていたのだった・・・。
「ふぁ・・・。悠馬君・・・、今・・。」
「ん、愛央が可愛くてつい・・・。」
「嬉しい・・・。」
あはは・・っとお互いに照れながら手だけ繋いで偶にキスをしてっと何でもない時間を過ごしていたら、愛央がぽつぽつと話し始めた。
「モールのやつらね・・・中学の時の同級生でね・・・。」
話はじめた愛央に口を挟まずに続きを促す。
「それでね・・・昔さ・・・。」
ぎゅっと愛央の手を握って大丈夫だよって言葉にしなくても伝わる様に・・・。
「まぁ・・・いじめかな・・・。アニメとか漫画とかラノベとか好きだしほら、ゲームもあんな感じだしね私。それで、オタク扱いでね、嫌がらせ受けてたの。」
「そんなところだろうと思ってたよ、でももう大丈夫だ、あんだけ徹底的に
「うん、あそこまで悠馬君が言ってくれたからもう絡んでくる事は無いと思う・・・でも・・・ぷっ・・くくく・・あの・・ぶふぅっ・・・。」
「あー何か凄かったなー泡吹いて痙攣してたね~っ。」
「あははははは!思い出させないでよぉー!お腹痛い・・・。」
これだけ笑えるなら大丈夫だろうな・・・、もう真っ暗だしそろそろ移動かな?
「おっし!もう暗いしここからなら俺の家の方が近いし今日はそのままお泊りかな?」
「えっとぉ・・・////はい・・・////」
「赤くなって何考えてるんだかねぇ~・・・・愛央のえっちぃー。」
「ちょぉ?!彼氏///の家に誘われてお泊りってなったら誰だって・・・////」
「さぁ~?どうかな~?」っとニヤニヤしながら言って愛央と恋人繋ぎをしながら自宅へと歩き始めるのだった。
お互いに、幸せそうな笑顔を浮かべたまま・・・・。
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