第50話 告白

「聞いて欲しいなら聞くけど?愛央が望まないなら話したくなった時にで良いよ。」


「そゆところだよ、だから勘違いしちゃうんじゃん。」


「勘違いって?」


「私にも脈が有るんじゃないか?って私でも可能性有るんじゃないか?ってさ。」


「勘違いじゃなかったら?」


俺の言葉に愛央はガバっと顔を上げて俺を見詰めてきた。

唯、目は不安に震えてる。


「ゆ・・・悠馬君。・・・それって・・・。」


不安しか無かった瞳に期待が混じって直ぐにでも泣きそうな顔をしてる愛央を見た俺は、ハッキリと自分の気持ちを伝えることを決めて・・・。


「好きだよ。俺は愛央が好きだ。友達としてじゃなく一人の女の子として愛央が好きだ。」


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SIDE 愛央


「好きだよ。俺は愛央が好きだ。友達としてじゃなく一人の女の子として愛央が好きだ。」


悠馬君からの告白、期待してなかった訳じゃない。

今日の悠馬君は何時もより積極的って言うか私の事を兎に角気にしてくれていたのは気付いてた。


さっきの事だって、別に言い返す事なんてしないで無視すれば良かったのに、私が馬鹿にされたら一気に怒り出した。

あんなに怒った姿は見た事が無かったから、私の為に怒ってくれたのが分かって嬉しかったし、悠馬君に危害が行くんじゃって不安になった。


「初めて愛央を見た時から俺は愛央が好きだ。一緒に過ごす内にどんどん好きになって止まらなくなった。」


悠馬君の言葉に私の頭はもう沸騰しそうで、嬉しくてどうしても涙が零れるのを我慢する事は出来なかった。


「なぁ、愛央。愛央は俺の事はどう思ってくれてるんだ?俺で良かったら愛央の彼氏に、愛央と恋人になりたい。」


ぼろぼろと情けない位、泣きながら私は・・・・。


「ごめんなさい・・・。」


心にもない言葉を口にして私は居てもたっても居られなくなって悠馬君から逃げ出す様に走り出した。


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愛央・・・断られたか・・・・。

己惚れてたかな~・・・、今日の感じだと行けると思ってたんだけどね。


「はぁ・・・帰るか・・・。」


俺はとぼとぼと歩きながら今日の事を考えてた、何が駄目だったかな?あれかな?これかな?それともずっと俺の勘違いだったのかな?っと意気消沈しながら自宅まで歩いていく。


「もう、愛央と話す事も出来ないのかな・・・?」


そう口にすると自然と涙が零れて来てあることに気付いた・・・。


「あれ?何で愛央は泣いていたんだ・・・?」


俺を傷つけるから?愛央の優しさならあり得るか・・・。


考え事をしながら歩いていると俺はいつの間にか自宅にたどり着いていて玄関を開けて「ただいま。」っと玄関を通った。


「あら、悠ちゃんおかえりなさ・・・い?どうしたの・・・?」


「あぁ、えっと・・・。あはは・・・は・・フラれちゃったわ・・・。」


「ぇ?ぇぇぇぇぇぇえええええ?!?!悠ちゃん駄目だったの?!?!」


「あはは・・・、うん・・・。」


「兄さん・・・、嘘ですよね・・・?」


「嘘なら良いんだけどね・・・。部屋・・・戻るね。」


俺は母さんと菜月の間を通り抜けて自室に入って荷物を適当にぶん投げてソファーに身体を投げ出した。


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SIDE 葵


「ねぇ・・・ママ・・・。おかしくない?」


「おかしいって?」


「だって、愛央さんだよ?何処からどう見ても誰が見ても兄さんの事好きじゃん!!それなのに兄さんの告白を断るなんてさ。」


確かにそう感じるかも知れないけど男女の事だし好きは好きでも恋人になりたいって事じゃ無かったのかも知れない。

って・・・自分で考えておいてそれだけは無いなっと愛央ちゃんを見てれば分かるのよね。


「男女の事だから無い訳じゃ無いだろうけど愛央ちゃんの事を知って見てれば確かに不可解かもね。少し悠ちゃんと話して来るわ。」


「うん、兄さん多分泣いたよね、涙の跡あったし・・・。」


「えぇ、上手く隠したつもりだろうけど、跡あったもんね。」


私は菜月にそう言いながら悠ちゃんの部屋に向かう。

悠ちゃんが失恋かぁ~・・・こう言っては何だけど悠ちゃんが失恋する何て考えもしなかったし有り得ないと思ってた、だって悠ちゃんよ?見た目が良いだけじゃ無く優しくて思いやりもあって、何でも出来て・・・。


コンコンっと悠ちゃんの部屋の扉をノックして考え事を頭の外に追い出しながら「悠ちゃん、入ってもいい?」っと声をかけた。


「良いよ。」


悠ちゃんの声に元気も明るさも無くただ一言だけ返事が来たのを聞いてそれだけショックだったのねっと思い直した。


「お邪魔します、悠ちゃん大丈夫・・・?」


「うん、大丈夫だよ。」


「もうっ。嘘つかないの、大丈夫な訳無いでしょ?」


「・・・そうだね・・・。」


「デートは楽しかった?」


「うん、楽しかった、凄い楽しかったよ。」


「そっか・・・。良かったね。」


私はそう言って悠ちゃんの隣に座った。

少しの間、私は悠ちゃんの言葉を待つように黙って悠ちゃんと同じようにただ点いてるだけのテレビに目線を向けていた。


「なぁ・・・母さん。俺さ、己惚れてたかな?今日のデートの感じとか普段の愛央の感じだと愛央と恋人になれるかなって正直期待してた。」


「うん、私もそれは思ってた。愛央ちゃんなら悠ちゃんを支えて一緒に成長して心から愛し合える関係になれるって思ってた。」


私の言葉を心に染み付けるかの様に悠ちゃんはぽろぽろと涙を流した。


「愛央がさ・・・泣いてたんだよ。」


「え?泣いていたの?」


「うん、泣いてた。俺が告白してさ、愛央の事を友達としてじゃなく一人の女の子として好きだって恋人になりたいって言った時に嬉しそうに泣いてた。そして、悲しそうな顔をしてごめんなさいって一言だけ言って走り去っちゃった。」


どう言う事・・・?嬉しそうにって事はやっぱり悠ちゃんの事は好きなのよね?その後に悲しそうにって事は断る事を悲しんだって事・・・?


「どう言う事だったんだろうな・・・。分からないや。」


「悠ちゃん、何かありそうな気がするわ。それにまだ愛央ちゃんの本当の気持ちは聞いてないんでしょ?ごめんなさいって言った理由も、今はまだ愛央ちゃんに連絡しても多分何も変わらないと思う。」


「時間空けろって事?」


「違う、悠ちゃんにはもっと効果的な方法で気持ちを伝える方法あるでしょ?」


「効果的な方法・・・、あ・・・そっか、そうだね・・・。」


「分かった?それなら頑張ってね。悠ちゃんなら絶対に大丈夫よ。」


目に力と光が戻って覚悟を決めたかのような息子の姿を確認した私はすっと立ち上がって悠ちゃんの部屋を後にする事にした。


「母さん!・・・ありがとうっ!俺やって見るわ。」


「うんっ!頑張ってっ!」


大人になったって思ってたけどやっぱりまだまだ子供だなって変わらずに可愛い息子だなっと私は思いながら部屋を後にした。


「あら・・・菜月ちゃん。」


「ママ・・・兄さんは大丈夫・・・?」


「うんっ!当然よ!やるべき事は分かったみたいだから悠ちゃんなら大丈夫よっ!」


「そっか・・・。そっかっ!頑張れ兄さんっ!」


笑顔になった菜月を連れて私は部屋から遠ざかりながら早ければ今日中にでもよねーっと考えながら笑顔になるのを止められなかった。


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流れ変えてみました・・・いかがですか・・・?

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