第45話 愛央とデート

「おし・・・行くか。」


待ち合わせの1時間前に家を出る準備を終えて待ち合わせ場所に向かう事にして、母さんと菜月に声をかける。


「ちょっと早いけど行ってくるねー母さん、菜月。」


「早すぎない?!兄さん一人で外で待つのは危ないよ!」


「そうねぇ・・・。ギリギリで良いと思うわよ。悠ちゃん。」


「うん、それも考えたんだけど、愛央を待たせたくないし待つ時間も楽しいし、確りと顔も見えにくいようにしながら待っておくから大丈夫さ。ヤバそうならどっかに逃げ込むし。」


「うーーん・・・・。」っと二人共微妙に納得いかないって顔をしながらも俺の気持ちを優先してくれて送り出してくれた。

と言っても、しっかりと心配されてだけど・・・・。


「危なくなりそうならちゃんと逃げるんだよ!!!」


「愛央ちゃんと合流するまで気を抜かないでね!」


「うん、分かってる。ありがとね、二人共。行ってきます!」


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SIDE 愛央


どうしよう・・・・朝になっちゃった・・・・。

窓の外からはチュンチュンっとスズメの鳴き声が聞こえて来てる・・・。

今は朝の六時どう考えても手持ちの服じゃ納得できない・・・。

うぅぅぅ・・・こんな事なら買っておけば良かったよ〜〜〜っ!


「決まらない・・・。私って何が似合うの・・・ていうか何を着て行けばいいの・・・?」


更にあーでもない、こーでもないと思い悩むこと二時間・・・。


自分が男の子とデート出来る時が来るなんて思ってなかったからその時用の服なんか持って無いって事に気付いてしまった・・・・。


「やばい・・・マジでどうしよう・・・。」


ガチャンっ「ただいま~。疲れた~・・・。」


!!!お姉ちゃん!!!帰ってきた!借りよう!

私はドタドタと階段を降りて玄関からリビングに入っていった姉を追って声をかけた。


「おかえり!お姉ちゃん!デート貸して!服なの!!」


私の声にびっくりして振り返ったお姉ちゃんの顔は驚いてるのと困惑した顔になってる。


「は?何言ってるのあんた?デート貸して?服なの?って何・・・。」


「うぅぅぅ・・・揚げ足取らないでよー!デートなの!!!服が無いの!!貸して欲しいの!!!」


「は?デートって言った?誰と?!・・・え?妄想?」


実の妹にそれは酷くない?貴女のかわいい妹ですよ?


「悠馬くん!お姉ちゃんの担当してた逆月悠馬くんに誘われたの!だから服貸してよーーー!お姉ちゃんならそれなりの持ってるでしょー?!」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!ちょっと!!ちょっと!!どう言う事?!」


「昨日誘われたの!兎に角、準備急がないとだから服貸して!詳しい事は後で説明するからぁぁぁぁ!お願いぃぃぃ!!!」


「待ち合わせは何時なの!?」


「10時!」


「ちょ?!もう2時間無いじゃ無いの!あーーもう!直ぐに来なさい!確りと決めてあげるから!!ほら!部屋行くわよ!・・・じゃない!あんたは先ずはシャワー!浴びてる間に見繕っておくから急ぐ!」


「はいっ!」


「はぁぁ・・・朝から煩い子達なんだから・・・。もっと落ち着き持って欲しいわ・・・。っと言うかまさか・・・愛央がねぇ~・・・。」


母親の言葉を背中に聞きながら私は直ぐにシャワーを浴びにドタドタと動き回るのだった。


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着いたっと・・・・。流石に愛央はまだ居ないよな?


「1時間は切ってるしこのまま待ってても良いかな?・・ってあれはもしかして・・・愛央か?」


待ち合わせ場所には既に着飾った愛央が居た、その姿を見て俺は完全に見惚れてしまってボケーっと愛央を眺めてたちんぼになってた。


「ん?・・・・あっ!悠馬君!おはよー!ってどしたの?」


「あぁいや、うん。おはよ。凄い愛央が可愛くて見惚れてしまってた。」


「ぁぅ///ありがとぅ。悠馬君もかっこいいよっ。」


「ねぇ?あの子今、そこの彼の事、悠馬って言ってなかった?」「言ってた!もしかしなくてもYouMa様?」「ちょ?!まじで?!」


「あー・・・ちょっと移動するか?」


「うん、その方が良さそうだね・・・。ごめんね?」


「大丈夫!いこっ!」


俺はそう言って愛央の手を取って確りと繋いで少し早足で待ち合わせ場所から離れたのだった。


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それにしても・・・困った・・・・。愛央が可愛すぎる・・・。

今まで見たこと無い様な大人っぽさもある服装で軽く化粧もしてるし、可愛さと綺麗が一緒になってるような感じ、フレアスカートも良く似合ってて本当に綺麗すぎる。


「悠馬君、先ずはどうするの?」


「先ずはそこの開いてる喫茶店で軽く食べない?俺さーまだ何も食べてないんだよね。」


って言うか少し落ち着かないと俺が持たないこれ・・・。


「うんっ!おっけー!行こ!行こ!」


「ちょっ?!引っ張らなくても行くってばー。」


カランカラン~。


控え目な入店音が俺達を迎えてくれて、直ぐに店員さんが近寄ってきた。


「いらっしゃいま・・・せ?えええええ?!」


店員さんが俺を見ていらっしゃいませの言葉尻が叫び声になった事で店内に居た数人のお客さんと店員さんがこっちを見て固まってしまった事で店内BGMしか音の無い空間が出来上がってしまった。


「・・・・・。」


おい、気まずいんだから仕事してくれ、って言うかどうすりゃいいんだこの場合?愛央も愛央で(気持ちは分かる、そうなるの当たり前だよね。)って感じで頷いてるしさ、勝手に席行って良いかなこれ?


「あのー、大丈夫ですか?」


「はいぃ!大丈夫です!ご、ごめんなさい!直ぐに席にご案内いたします!その前に何ですが・・・。」


「はい?どうかしましたか?」


「間違えてたら申し訳無いのですが・・・YouMa様ですよね・・・?」


「あぁ、はい。そうですよ。見てくれてるんですね、ありがとうございます。」


「そんなそんなこちらこそ毎日癒されてます!っとと、では!こちらにどうぞ、ご案内します。」


その言葉の後に店員さんの後ろに続いて席に向かったんだけど・・・「YouMa様のご来店だ!心して仕事しろー野郎どもー!」っと気合いの籠った声に全ての店員が「はいっ!お任せを!!!」っと答えてた、・・・・ナニコレ・・・・?


その後、愛央と向かい合って席に着いて、店員さんが離れる前にちらっと胸元のプレートを見たんだけどびっくりする事に(研修中)って付いていたのである・・・。

先輩や上司に向かってさっきの不味くないか?っと心配になったけど、反論が無かったのを見ると大丈夫かっと一人勝手に納得して頭から追い出す事にした。


「俺はサンドイッチのセットを、コーヒーをブラックで、愛央は?」


「えっと・・・私はカフェオレとパンケーキでお願いします。」


注文を取り終わって戻って行った店員さんを眺めながら「何か先が思いやられるかもしれんなこれ・・・。」っとボソっと呟いたつもりだったんだが、愛央が確りと拾ってた。


「どゆこと?」


「あーほら、YouMaって事で騒がれるかなーってさ。」


「あぁ・・・でも気にしなくて大丈夫だよ、悠馬君は悠馬君だもん、私が一緒に居るのはYouMaじゃ無く悠馬君だからねっ。」


「ありがとな、愛央。愛央のそう言う所、好きだよ俺。」


俺の言葉にそこまで赤くなる?って位に愛央が顔を真っ赤にしながら「ぁりがとぅっ////」っと呟いてうつむいてしまったのだった。


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