特別話

第28話 特別話1 バレンタイン

SIDE 菜月


お昼休みの時間、私は兄の手作り弁当を今日も机の上に広げた。

仲の良いメンバーの3人も一緒に机をくっつけてご飯の時間を過ごしてた。


「ぐぬぬ・・・今日も物凄い美味しそうだし・・・。」


そんな泣きそうな顔で見なくても・・・・。


「菜月のお兄さん凄い・・・・。家のお母さんのよりも美味しそう・・・。」


「これさ、冷凍食品無いよね明かに・・・・。」


「うん♪無いよ~♪」


「その笑顔に殺意もつ・・・・。」


「「それな!」」


兄さんの作ってくれた本当の意味での手作り弁当を今日も幸せを感じながら食べてるのを3人は勿論クラスの子達も気にしてる。


「一応勘違いしないで欲しいんだけど、私もママも兄さんに無理やり作らせてる訳じゃ無いからね?そんな事しなくても良いよって言ってるのに兄さんがただ家に居るのも申し訳ないって言うか何かしてあげたいって思うから進学したら難しいけど今はこれくらいはさせてくれって言われたら・・・ねぇ?」


「「「YouMa様・・マジで神。」」」


本当にこんな兄を持ってる私は幸せだと思うのです。

ましてや配信で顔だししてからという物その人気はうなぎのぼりで余計に私に近づいてくる人も増えたとは言えそれを抜きにしても大好きな兄である事は変わらないし幸せだと思うのです。


その後皆がある程度食べ終わったのを見計らって私はクラス中に聞こえる様に声を上げた。


「皆ー!ちょっと聞いて!悪いんだけど少しの間で良いから席に座ってて貰えないかな?ちょっと皆に話したい事あるの。」


「ん-?」「ほんー?」っとほとんどが疑問に思いながらも兄さんの事かも知れないと思ったのかほとんどが席に着いてくれたけどそれでも私の言う事を聞かない人達も居て・・・・。


「はぁ?昼休みの時間少なくなるんだけど?」「何でアンタの話なんて聞かないと行けないの?知らんし。」「付き合ってらんないーいこいこー。」っとクラス内でやんちゃぶってるギャル組は居なくなった。


「まぁ良いけど・・・。悪ぶっても良い事無いのにな~・・・・。特に今回は・・・。」


「菜月ー、結局なんなん?お兄さんの事?」


残ってくれてた人達も気になるのと時間少なくなるのを気にしてか私に声をかけてきたのを居なくなったやつらの馬鹿さ加減を無視することにして話し始めた。


「えっとね、兄さんから何だけど、(何時も菜月がお世話になって仲良くしてくれてありがとうね。一人一つで申し訳ないけどバレンタインのプレゼント作ったので良かったら食べてください。)だってー。」


「「「?!?!?!?!?!?!?!?!」」」「「「やっっっっっっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」っと一気に大騒ぎになったのを尻目に一人一人に兄さんの手作りのマドレーヌを渡していった。


「皆受け取ったよねー?」


「「「はーーーーーい!!!!」」」


「んじゃ・・・ここからが本番!!!!さっき私の言う事何て聞けるか!って言って居なくなったあいつらの分の3個が余ってます・・・・。」


「「「!!!!!!!!!!!!!!!!」」」


「あいつらの事何かしらん!後から言われてもやらん!!!兄さんにも言われてるしね!」


私の言葉に全員が「うんうんうんうん」っと首を激しく上下したのを見て私は・・・すっ・・・と片腕を高く上げた。


「それじゃ・・・・行くよ?じゃぁぁぁぁんけぇぇぇぇぇん・・・・・・・・ぽんっっっっ!!!」


真剣な戦いの火ぶたが切られた。


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SIDE 葵


「よしっ!お昼ご飯!あ、恵ちゃん。秘書課の皆を集めてくれる?ちょっと渡すものがあるの。」


私は休憩時間になるのと同時に第一秘書の天羽あそう めぐみにそう声をかけた。


「構いませんが・・・渡すものですか?あぁ・・バレンタインだからチョコレートでも準備してくださったのですか?」


「いやいやっ。同じ女性から貰っても嬉しくないでしょ。それよりも時間が勿体ないし居なくなっちゃう前にお願い。」


「それもそうですね。分かりました、直ぐに・・・・。」


それから5分程度で秘書課の全員が私のオフィスに集まってくれた。


「皆、休憩に入るところなのにごめんなさいね。渡したい物があるの。」


そう言って私は「味わって食べてね。」っと言いながら皆に袋からマドレーヌを出して渡していった。


「あの・・・社長、このマドレーヌは一体?」


秘書の一人が私にそう聞いて来て、確かに行き成り渡されたら混乱するよね~っと思いながら説明に入る事にした・・・・勿論ポーズはゲ〇ドウポーズで。


「皆、心して聞きなさい・・・。そのマドレーヌは実はね・・・・。」


私の雰囲気と話す言葉の重さに誰とも知らずごくりっと唾をのみ込む音が聞こえて来た。


「一つ注意よ、決して大声を出さない事、誰にもバレない様にする事、そして残さず味わって食べる事・・・良いわね?」


全員がコクコクと首を縦に振るのを確認した後に真実を私は話した・・・・。


「悠ちゃんの・・・私の息子の手作りよっ!普段、母がお世話に成ってます!これからもよろしくお願いします!だそうよっっっっ。」


「「「!!!???」」」


「騒がない!他の社員にバレたらどうなるか・・・分かるわね・・・?」


「「「サーッ!イエッサー!」」」


「宜しい・・・では、解散!!!」


全員が物凄い宝物を受け取ったかのような雰囲気で退出していったのを眺めながら・・・私は無駄にやりきった感出しながら頭の中に突如浮かんでポーズを取った(ゲ〇ドウポーズ)って何?っと考えながら外を眺めたのだった・・・。


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「「「ごちそうさまでしたっ。」」」


3人で夕飯を食べ終わってお皿を片付けてお茶を飲みながら一息ついたところで今日の事を聞いてみたのだが、母の方は秘書課の人達が死ぬ気で隠したらしく問題は無かったらしいが、母さんの頭の中に突如浮かんだ(ゲ〇ドウポーズ)って何?っと不思議そうに気にしてた、(俺は苦笑するだけにしておいた・・・。)けど、菜月のほうは一悶着あったようだった。


「それでその子達どうしたの?」


「膝ついて落ち込んでたよー。こっちは待ってろって言ったのにつまらない意地を張るのが悪い。」


「余ったのはどうしたんだ?それと先生達にも渡してくれたか?」


「勿論ちゃんと渡したよ~。皆すごい喜んでたから安心して!それで余ったのだけど、私が代表でじゃんけんして3人決めて渡してあげたよ、まぁその途中で戻って来て渡そうとしたのを奪おうとしたけど、皆にぼこられ・・げふんっ。説得されて泣きながら膝ついて落ち込んだって訳。」


「そうか・・・ボコったのか・・・。」っと遠い目をしながら流石にそれは可哀想すぎるっと遠い目になった。


「っとそうだ、デザート食べるよね?二人共。バレンタイン用に作ったんだ。」


「「うんうん、勿論食べるー!」」


その声を聞きながら冷蔵庫で冷やしておいたチョコレートケーキを持って移動して3人で写真を撮ってアップした後に切り分けて食べながら団欒を楽しんだのだった。


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ちなみに流石に可哀想だし、菜月が恨まれる可能性を考慮した俺は・・・・。


「菜月、その子達が流石に可哀想だから明日、余分に作ったの持って行って渡してちゃんと話してね。」


「ぇー、兄さん優しすぎー。」


何てやり取りもあったとか無かったとか・・・・?


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