第26話 ざまぁする悠馬(猶、本人も知らずに・・・)

俺の名前は鏑木かぶらぎ 亮悟りょうご。毎日、テレビに引っ張りだこの超売れっ子の男性タレントだ。


俺は今、世間を騒がしているYouMaの後をつけている。

俺と同じ男性でありながら歌を歌って演奏してSoo Tubeに投稿して一気に時の人になったガキだ。

確かに容姿も歌声も演奏技術も良いのは分かるがアレはあくまでも素人だ、プロの俺側の領域に踏み込んでくるのは許される事じゃない、しかも調べた結果、特に事務所に所属しているとかも無い、正真正銘の素人のガキ。


「当然、皆に騙されるなっと言ったんだがな・・・・。」


逆に俺の方が責められる事になったのはどうしても納得が行かなかった、だから興信所に金を積んでYouMaは本当は俺達と同じで我が儘勝手なやつだと証明する為に調べ上げて後をつけながらYouMaと同じように生配信で全部暴いてやると決めて今日の行動になった。


「さて・・・そろそろ始めるか。・・・おーっす皆見えてっかー?亮悟だぜ。」


俺の生配信に俺のファンの女共が大量にコメントを流してきた。

そう!これだよ!世の中の女は俺に夢中になるべきなんだ!

YouMaなんて素人のガキに夢中になるのは間違えてる!


「何で生放送してるかって言うとなー、世間を騒がしているYouMaの本性を生放送で暴いてやろうって訳だ。勿論、俺だって同じ男性が酷い目に合うのを良いとは思わないからな、撮影しながら必要な部分以外は自動でモザイクがかかる機材を使ってるわ。」


「気にしてるの流石ですー!」「亮悟様ー!生意気な子供に制裁を!」「皆を嘘ついて騙して調子にのってるガキを懲らしめてください!」


っと俺のファンの子達は俺を応援して、YouMaをシメてしまえっと言ってくれてる。

「はぁ・・無駄な事を、あれが嘘か本当かも分からない何て・・これだから・・・。」っと明らかにアンチのコメント流れて来た。


「そう言うって事はあんたはYouMaのファンって事だろ?言えるのも今の内だぜ?直ぐに極悪非道な我が儘なクソガキって分かる事になるわ。」


ギャハハハっと俺は笑いながら今回の協力者も紹介する事にした。


「ついでに協力者も紹介するわ。YouMaに沢山の罠を仕掛けてゴミ野郎だって証明するための協力者だ。」


俺がカメラを動かすと数人の女が映ってそれぞれで挨拶して俺達の行動が開始した。


「って訳だ、楽しみに見てろや、お前の大好きなYouMaの本性をな!」


その言葉を最後に俺は尾行と撮影を開始した。

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SIDE 悠馬


「んじゃちょっと行ってくる。」


「一人で大丈夫?お母さんも一緒に行こうか?」


「兄さん、やっぱり私も一緒に・・・。」


「大丈夫だって、それに登校するようになったら基本は歩きなんだから皆に慣れて貰わないとなんだしさ。」


「それはそうだけど・・・。」


「それに一応スタンガンと催涙スプレーも持ってるし逃げる事だって出来るからね。遅くなるともって危険になるし行ってくるよ。」


「悠ちゃぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」


「兄さんぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」


大げさだっての・・・・物凄い悲しい声で叫ばれながら俺は自宅を後にした。


「散歩がてら学校までの道のりを歩くってだけだってのにこの程度出来なきゃ通えないじゃんね・・・・。」


独り言ちながら俺は足取り軽く歩いて行く、回りの女性陣からの視線を一身に受けながら。


「めっちゃ見られてるけどこんなもんよな。襲い掛かってくるようなの居ないし、居たらぶっ飛ばすだけだしね。・・・ってあれ?」


暫く歩いていると俺の前を歩いている女性が財布を落としたの見た俺は直ぐに拾い上げて、女性に声をかける。


「お姉さん、待ってください。財布落としましたよ。」


俺の声かけに女性は驚いた顔をして俺を見つめてる。


「え?あぁ・・・ありがとう。」


「ちゃんと鞄にしまって持ち歩いてくださいね?無くしたら大変ですから。」


「そうね・・・気を付けるわ。ありがとうね。」


「いえ、それじゃ俺はこれで。」


俺はそう言って歩き出して女性から離れる・・・「まさか拾うなんて・・・本当に良い子なんじゃないの?」って言葉に頭の中に???っと浮かべながら・・・。


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何でだよ・・・何であんなに自然に拾うんだよ!意味わかんねー!

拾うまではあるかもしれねーけど、届けるとか!届けてもお礼の一つも奪わないで去るとか理解できねぇー!


「くそっ。次だ次ぎ、次はこうはいかねーぞ・・・クソガキ。」


俺は次の仕掛けの指示を出してバレない様に見失わない様に後をつけ続けた。


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SIDE 悠馬


こんな所にコンビニあったんだな、この辺は学校帰りに使えそうだ。


「あーでも、志保の所で休んで行く事が多そうだしそこまで使う事はないか・・・。」


まぁ、いいやっと考えながら取り合えず飲み物でも買おうと俺はコンビニ入って商品を決めてレジに並んでいた。


「えっと・・・えっとぉ・・・。どうしよう・・・。」


「お客様?4239円になりますが・・・。」


ん?足りないのかなこの子?俺の後ろにも並んで来てるし見た感じ端数分足りないみたいだし・・・しゃーないか・・・。


「えっと、足りないので減らして・・・・。」


「はい、300円。これで足りるよね?精算済ませちゃってお姉さん。」


「・・・え?いやいやいやいや!だめですって!」


「気にしないで、後ろも並んでるし数千円とかって訳じゃ無いんだしね。」


「でも・・・「お釣りの61円になります。」・・・ちょっと!!」


「んじゃ次は俺の番って事で、次からは気を付けるんだよ?」


俺はそう言ってまだ何か言いたそうな子を視界にいれない様にしながら自分の分の精算を終わらせてコンビニから外に出た。


「ん?何だあいつ・・・?俺を見て逃げて行った・・・?」


まさかな・・・流石に自意識過剰か・・・「あのっ!」・・・・おっと?さっきの子か。


「さっきの子だよね、どうかしたの?」


「どうかしたじゃなくて!どうして・・・ですか?」


「あぁ、理由か。別に深い理由はないよ、困ってるみたいだったのと俺の後ろにも人が並んでいてイライラしてたのが居るのが分かったからね、ささっと出してしまえば早いなっとってだけだよ。」


「何ですかそれ・・・。これじゃ、私達の方がバカみたい・・・。」


「ん?まぁ良いか。後はまーあれだな、可愛い子が困ってて俺に何とか出来る事なら手を貸してあげたかったってだけ、つまり自己満足さ。だから君は何も気にせずにラッキーだったって思っておけば良いよ。」


「か、かわっ///可愛いってっ///」


「はは、まーそんだけさ、そんじゃねー。」


そう言ってその子を置いて散歩の続きをするのだった。


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意味わかんねぇ・・・・マジで理解できねぇぇぇぇ!

何で金出すんだ?!たかが300円って言ったってお金はお金だろう!それを見ず知らずの女の為に躊躇いなく出してお礼にやらせろって言わないとかマジでわかんねー!


「善人ぶりやがって、金出したんだからやらせろ位言えってのよ!」


俺は自分で配信をしてる事も忘れて何時も通りの悪態をつきまくった。


「あの・・・「てめぇ!つかえねーな!マジでよ!何で照れてるんだよ!くそがっ!」・・・ひぃっ、ご、ごめんなさぃ・・・。」


チッ・・・何でうまくいかねぇんだよ!ありえねーよ!この俺様が直々に動いてやってるんだぞ!上手く行かねーわけ無いだろよ!!!!


その後、俺の仕掛けた罠は悉く躱されYouMaの善人性を見せつけるだけの配信になった。

そして商店街の中を歩いているYouMaの前に迷子で泣いてるガキが現れたのを見てほくそ笑んだ。


「迷子のガキは邪魔だと蹴り飛ばすのが当たり前だからなーこれで子供に手を出すクソガキ確定だわ。」


俺はこれで今までの行動も無意味になると、ほくそ笑みながら成り行きを見続けた。


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SIDE 悠馬


あれ・・・?もしかしてあの子、迷子?つーか皆して何で無視してるんだよ。


「えっと・・・確かさっきの神社で貰ったぬいぐるみが・・・。」


商店街に行く前に立ち寄った神社の階段の所でお婆さんが困ってたのを見て俺は荷物を持って階段を上まで登ってお婆さんの家まで届けた時に妹がいるって話をした、その時にこれを持って行ってっと猫のぬいぐるみを渡されたのだ。

多分、小学生以下の妹って思ったんだろうなぁ~・・・。


まぁいいや、取り合えず今はあの子だわ。


「どう~したの~?お嬢ちゃん迷子かにゃん?」


俺はぬいぐるみを手に持って女の子の顔の前に出して恥ずかしいけど猫語?で話はじめた。


「ぐすっ、ヒックっ、ねこしゃん・・・。」


「どうしたのかにゃん?教えて欲しいにゃんっ。」


「まま・・・いないの・・・。ぐすっ。」


「逸れちゃったのかにゃん?このお兄さんと一緒に探すにゃんっ!」


「おにいしゃん・・・、探してくれるの・・・?」


「うんうん、一緒に探そうねっ。ほら!ネコちゃん持ってあげて、手を繋いで探そうね?お母さんってどんな感じの人かな?」


「えっとぉ、ママは・・・。」


女の子の説明を聞きながら俺はお母さんを探す為に女の子と手を繋ぎながら猫のぬいぐるみを持たせて歩き始めた。


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は・・・・?何なんだあいつ・・・・、何だあの自然な行動・・・。


「ねぇ?YouMaって本当に良い子なんじゃない?」「めっちゃ優しいじゃん。」「お婆さんのとか感動したし。」「今何て見ず知らずの子供のお母さんを探す為に手まで繋いでるし。」「あっ!肩車した!」「確かにあの方が見つけやすいね。」「つーかめっちゃ良い子じゃん!」


くそがぁぁぁぁ!俺のファンまで皆で!!!俺はギロっと画面越しに睨んだのと同時にコメントが一時止まりやがった、何でだよ!何でこうなるんだよ!

あいつは何なんだよ!マジで!!!!

俺は既に、今回の行動は間違いだったと思い始めていたが今更止める訳に行かずに後を追いながら続けることにしたのだった。


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SIDE 悠馬


ん-このままだと埒が明かないけど・・・交番に押し付けるのも何かな・・・最終手段は交番だけど・・・。


「おにいちゃん・・・疲れたぁー・・・。」


「ありゃ、歩くの疲れちゃったか・・・それじゃー・・・よっとっ!」


俺は女の子の足を掴んで足の間に頭をいれて肩車をする事にした。


「わー!たかーーーい!良く見えるー!」


「これならお母さんを見つけやすいだろー?怖くないか?」


「こわくなーい!楽しいー!おにいちゃん、あっちあっちー!」


「はいはいっ!ちゃんとお母さんを探すんだぞー!」


「わかってるよー!ままーどこー?!」


そのまま30分ほど肩車のまま商店街をウロチョロしていると探していたらしくお母さんと思われる人がこっちに近づいて来た。


「凜ちゃん!やっと見つけたっ!」


「ままー!みてみてー!高いのー!」


「ちょ、暴れないの!危ないよ!」「ご、ごめんなさい、お兄ちゃん・・・。」


「凜ちゃん!良かった!良かったぁぁぁ!」


「おいしょっと・・・。」


俺は凜ちゃんと呼ばれた子を地面におろして近寄ってきたお母さんに受け渡す。


「見つかって良かったね。俺も一安心だっ。」


「本当にありがとうございます!ご迷惑をおかけして申し訳ありません!!!」


俺に向かって大きく頭を下げてお礼と謝罪をしてきたお母さんに俺は「気にしないでください。」っと伝えて俺も離れる事にしたのだった。


「ちゃんとママの言う事聞いて勝手に歩き回ったりしちゃ駄目だからね?お母さんもちゃんと目を離さない様にしてくださいね、それでは俺はこれで・・・。」


「あの、後日お礼を致しますので連絡先を・・・。」


「いえいえ、当然のことをしただけですから、それでは・・・。」


そう言って俺は少し離れた後に振り返るとお母さんは俺に向かって頭を下げていて凜ちゃんは猫のぬいぐるみを持った手で手を振っていたから俺も同じように手を振ってその場を後にしたのだった。


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なんなんだよあいつ・・・マジで理解できねぇぇぇぇぇぇぇ!


トントンっ。


「あん?誰だよ。」


俺の肩を叩いたやつは誰だと思い後ろを見ると警官が俺を睨んでいた。


「んだよ?なんの用だ。俺を誰だと思ってるんだよ。」


「はぁぁ・・・中高生くらいの男の子を撮影して付け回してる男がいるって通報がありましてね、署までご同行お願いします。」


「うるせーよ。俺がお前らの言う事聞く理由ねーわ、ぼけ。」


カシャンっと俺の手に手錠がかけられた。


「おい!んだよこれ!俺を誰だと思ってんだ!ころすぞ!」


「ストーカー防止条例違反疑い、公務執行妨害の現行犯として逮捕します。」


「ざっけんな!!!離せやこらぁぁ!」


俺はそのまま警察に連れられて行く事になったのだった・・・・。

その後、警察署で説教を徹底的に受けてマネージャーが迎えに来てやっと帰れることになったのだった。

しかも、今回の事で俺のファンがファンクラブから徹底的に退会、事務所に苦情の電話が他の業務に支障を来たす位に殺到していたらしく俺の無期限休止が決定したのだった・・・。


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長くなってすいません、自分で書いててこいつにイライラしましたわ・・・・w

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