第25話 悠馬君のお嫁さんになり隊結成
その後、志保のお母さんのご厚意でごちそうになって、お客さんも入ってくるようになったので、俺達はお暇する事にした。
「それではごちそうさまでした。」
「美味しかったですっ!」
「本当に美味しかったな~。これからちょくちょく利用させて貰う事も増えるかもな、学校が始まれば愛央と志保と清華先輩と帰りに志保を送るついでにお邪魔しても良いもんな。」
俺の言葉に志保と志保のお母さんがガッツポーズしてるのは見ない事にして・・・・。
「清華先輩と愛央はこの後どうする?」
「ん~、時間的にも丁度良いし帰ろうかな。悠馬君にも会えて良い日になったしねっ。」
「私も帰ります、早く練習したくてしたくて・・・・。」
「清華ちゃん、バレない様にね?それの事。」
「分かってます、誰にも言いませんし私だけの宝物にします。」
「そんな、大げさな・・・。取り合えず皆、またね~。」
俺の言葉にそれぞれが声を掛け合って俺と菜月と母さんは車に乗り込んで家に向かって走り出した。
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SIDE 清華
悠馬君達を見送った後、私は隣に居る愛央ちゃんに話しかけた。
「愛央ちゃんってどっち方向?」
「えっと、あっちですよ。」
「なら途中まで一緒にいきましょ。」
そう言って一緒に歩き始めて直ぐに愛央ちゃんが話しかけて来た。
「清華先輩、悠馬君の事なんですけど・・・。」
「んっ、どしたの?」
「入学したら大騒ぎになるのは間違いないですよね?」
「そうだね。開校以来初の男子生徒、しかもイケメンで女性にも優しい上に今、ほとんどの女性を虜にするYouMa。これでモテない訳ないね。」
「ですよね、私達はある意味抜け駆けしてるのと同じですし・・・。その上で先輩に一つ提案があるんですけど。」
「提案って?」
「私と志保さんで共闘する事にしてるんです、なので先輩も一緒にどうですか?私と志保さんと先輩の3人で共闘関係を結びませんか?」
「・・・え?良いの?こっちからお願いしたい位だよそれ。」
「なら、決まりですね!3人で悠馬君を守りましょっ!そして、お嫁さんにしてもらいましょー!」
「えぇ!ある意味全校生徒がライバルになるでしょうし私達だけでも一緒に!」
ガシィッと愛央ちゃんと固い握手を交わして早速ふりっぺでグループを作り(悠馬君のお嫁さんになり隊)を結成した。
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SIDE 愛央
「ラッキーだったなぁ~。」
中学の卒業式も終わって新生活の準備も終わってるから後はもう高校生活が始まるのを待つだけになった、今日は時間が空いたって事で志保さんのお家に遊びに行ってた。
「それでまさか、悠馬君に会えるなんてっ、最高すぎるっ。」
清華先輩と別れた後一人帰り道を歩きながら今日の事、これからの事を考えてた。
あの日、入試の日に知り合えて私と志保さんはお互いに協力することにした。
合格も二人揃って出来たのは本当に良かったって思ったし嬉しさの余り直ぐに悠馬君に連絡したら、喜んでくれて「おめでとう!」って心からの言葉を貰えた。
頑張って良かったって本当に思えた。
そして学校始まるまでは会えないかな〜?って思ってたところに先輩まで引き連れて現れて、協力者まで増えて・・・。
「照れた悠馬君可愛かったなぁ〜っ。」
「それに、私は私で良い、そのままの私が好ましいか・・・。」
えへへっ////嬉しい・・・、凄い嬉しかったなっ///
これからどんな日々になるんだろう?今から楽しみで仕方ないやっ。
でも間違いなく言えるのは・・・掛け替えのない大切な日々になる事だよねっ!
そんな事を考えながら暖かくなってきた春の風を感じながら自宅までの道をゆっくりと歩いて行くのだった。
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SIDE 志保
「志保ー、そろそろ店じまいしてご飯にしましょ。」
「はい、看板閉まってきますね。」
「暗くなるとまだ肌寒いと感じますけど、すっかり春ですね。」
今年からはとても素敵な時間になりそうです。
逆月悠馬さん、入試の日に見かけて他の男子では考えられない行動、態度が気になり、星川さんを助け起こして仲良く話してるのを見て、私もと・・・・。
「何があるか分からないものですね、男子を毛嫌いしている私が恋をするなんて・・・。」
これから楽しくなりそうですね、悠馬さん・・・。
「ライバルは沢山でしょうし頑張らないとですねっ。」
お店の前の片付けを終わらせた私は店内に戻り今度は店内の片付けを・・・、今日の出来事を思い出しながら笑顔で手伝うのでした。
「それにしても、悠馬くんは愛央ちゃんと志保の二人の言う通り素敵な子みたいね。」
母と二人、夕飯を食べながら母がそんな事を言ってきました。
「どうしたんですか?いきなり。」
「ん〜ほら。志保が恋をする何て思いもしなかったし、幾ら二人が素敵な人って言ってたとしても・・・ね?」
母の言うことも分かります、外では良い顔なんていくらでも出来ますからね。
だからこそ、疑問が出てきました。
「それなのに、素敵な人って評価になったの?」
「そりゃね、葵さんと菜月ちゃんを見たらね?親なら誰だって分かるわよ。」
「どういう事?」
「簡単よ、先ずは菜月ちゃんが悠馬くんを心から慕っているのが見てれば分かる、それと葵さんの悠馬くんを見る目ね。」
確かに、菜月ちゃんはブラコンって言われても喜ぶ位には慕ってるのは見れば分かりますね。
それとは別に葵さんの悠馬さんを見る目とはどういう事何でしょう?
私は分からずに母をキョトンっとした目で見つめます。
「正確に言えば悠馬くんと菜月ちゃんを見つめる目、あの二人が仲良しなのが本当に嬉しい、幸せだって目をしていたの。
もし悠馬くんが家の中では暴れてたり暴力や暴言を言うような子なら、心配気な目か、恐怖と諦めの目になってるはずだもの。
他は隠せても目だけは隠せないものよ。」
そう言った母の言葉から葵さんの顔を思い出して、確かにそうだったと、私も思いました。
「うん、やっぱり悠馬さんは素敵ですね。」
私はそう結論付けて夕飯の続きを母と堪能しながら出会いの話をしたり普段の会話の内容を差し障り無いところでですが話したり今日の出来事を話したり、和やかに過ごしたのでした。
自室に戻った後に清華先輩も仲間に誘ったよーっと言う星川さんのフリッペにせめて先に一言・・・・っと思った私は悪く無いと思います。
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SIDE 清華
ガチャ・・バタンっ!
私は大きな音を立てて急いで自宅へと上がりながら家に居るはずの母親に向かって一言・・・。
「お母さんただいま!」
これを言わないと後が怖いのだ・・・・、こういうちょっとした事を大事にするのが私の母である、たまに煩わしいと思う事もあるけど、確かに大事な事だと私も思う。
「おかえりなさい、清華。どうだった?」
「うん、それは後で!今は部屋に戻るから!」
「ちょっと?!」っと母の声を背中に聞きながら自室に急いで向かってPCを立ち上げる。
「はやく・・はやくっ。」
私は焦りながら悠馬くんから貰ったUSBをPCに差し込んで直ぐに中のデータを印刷した。
「これが・・・。」
今、私の手の中には悠馬くんの・・・YouMaの楽譜が・・・・。
「凄い・・・。」
ぎゅぅっと私は皴にならない様に、かけがえのない宝物みたいに抱きしめる・・・。
「練習しないと・・・。目標は部活の紹介までに完璧にする事・・・。」
直ぐにピアノにセットして、私は夢中で鍵盤をたたき始める。
凄い・・・楽しい・・・楽しいっ!
悠馬くん、助けてくれた一つ下の男の子、迷っていた私に答えをくれた人、今日だってあんな状況なのに人前に怖がることも無く出て来て助けてくれて・・・。
「連弾・・・楽しかったなぁ~・・・。」
今思い返しても、胸が痛いくらいドキドキしちゃう、かっこよくて優しくて自信に満ち溢れてて勇気もあって・・・・。
「これから仲良くなれたらいいな~・・・。ふふっ///」
悠馬くんのお嫁さんになり隊・・・ぷっ・・ふふ・・ふっ。
「愛央ちゃんのセンスって・・・。」
あんまりにもあんまりのネーミングに私はどうしても笑いをこらえる事が出来なかった。
「最終的には間違えては居ないけどもっ。」
新学期から楽しみだなー、愛央ちゃん、志保ちゃん・・・そして、悠馬くんっ///
「完璧に演奏できるようになったら部活紹介でまた連弾出来ちゃったり?」
流石に無いかなぁ~・・・何て事を考えながら私は夢中で鍵盤をたたいて行くのだった。
その希望が、本当になるとは夢にも思わずにっ。
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