第22話 ストリートピアノ

「答えろ!YouMa本人がそう言ったのか!?どうなんだ!!!」


「ちょっ?!兄さん!!!」


「悠ちゃん駄目!!」


歩き出した俺を静止しようとした二人を二人を振り切って俺は歩き出す、そうすりゃ当然のごとく俺達3人の前に居た子達はモーゼのごとく左右に別れ道を作る。

俺はそこを悠然と歩いてピアノの前まで進んで行った。


「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!本物ーーーー?!?!?!?!」」」


「「「生YouMa様ぁぁぁ?!?!」」」


回りの声等お構いなしに演奏者の側に居た3人を睨みつけて怒りを露わにしながら庇う様に彼女の前に立つ。


「菜月、彼女を頼む。」


俺の後を少し遅れて追いついて来た菜月に責められてた彼女を任せて俺は3人を睨みつけながら問い詰めた。


「さぁ!聞かせて貰うぞ、俺がいつ女が歌うなと言ったのかをな!!!」


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SIDE 葵


「菜月!直ぐに追いかけて、悠ちゃんの側に。」


私の言葉に菜月は直ぐに頷いて、悠ちゃんを追いかけるのを尻目に私はスマホを取り出して直ぐに電話をした。


「うん、そう・・・。状況は見てるわね?・・・それでいいわ。・・・・そう。・・・・悠ちゃんに何かをする奴が居たら容赦しないで、良いわね?それじゃよろしく。」


今日、出掛けると決まった時点で周りにSPを配置しておいた、場所が場所だけに何かがあれば私と菜月だけじゃ間に合わない事もあるかもしれないと、多少の無理はした。


「それにしても・・・・悠ちゃんがここまで怒りをあらわにするなんて・・・・。」


こんな所であんな行動すればどうなるかなんてわからない訳じゃ無いでしょうに・・・。


「でもまぁ・・・見捨てないのは、悠ちゃんらしいかな。」


取り合えず後でお説教ねっと心に決めて、私も悠ちゃんの所に歩き始めた。


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「えっと・・・それは・・・・。」


「あの・・・その・・・。」


「だって・・・・。」


「答えろ。」


「「「ひぅっ・・・。」」」


ただ一言、菜月と母さんすら驚いた冷たい声でまともに反論出来なくなってるこいつ等に問い詰めるが、俺の勢いになのか一切の言葉を発する事も出来ずに怯え始めた。


「あの・・・。もう良いです・・・。彼女達の気持ちも分からない訳じゃ無いので・・・・。」


「でもなぁ・・・。俺が一言も言って居ない事を然も言ったかの様に言われるのはな。」


「すいませんでしたっ!彼女がYouMa様の曲を演奏してるのが羨ましくて・・・。」


「すいませんでした・・・。何かムカついてしまって・・・。」


「ご、ごめんなさい・・・。」


「悠ちゃんその辺で許してあげなさい、この子達も理解出来たでしょうし・・ね・・?」


「チッ・・・。分かった、だがこれからは二度とするな。俺は彼女の様な人を否定なんてしない、むしろ耳コピでここまでやってのけた彼女を尊敬する、その努力と才能には敬意すら持った。」


「はい・・・、お邪魔してすいませんでした・・・。」


「黙って聞いていろ、こう言う人達の邪魔を二度とするな。」


その言葉を最後に俺は彼女達から視線を外して、演奏者に向き直って話しかけた。


「さって・・・、もう分かってると思うけどYouMaだ、君の演奏は本当に凄かった、って事で・・・やろうか!連弾!」


「え?・・・えぇぇぇぇ?!そ、そんなっ、そんなっ!」


「良いから良いから!ほら行くよっ!」


混乱してる彼女を無理やり座らせて、俺も彼女の隣に座って鍵盤の上に手を置く。


「あわせてね?」


俺の手が鍵盤に、彼女の手も鍵盤に・・・、それでスイッチが入ったのか顔つきも変わって・・・・。


「せーのっ!!」「「世界の果てを目指して旅に~♪~♪一緒ともに行こう~♪~♪♪」」っと俺と彼女の連弾が始まり、最初から最後までノリノリで俺と彼女の連弾は終了した。


「ふぅ・・・。」「・・・・・・。」


「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」


「「「やばいやばいやばいやばいやばいーー!」」」


俺と彼女の演奏が終わって少し、タイミングがずれて直ぐに黄色い声援が上がってあっちこっちで声が上がる。


「ありがとうございました・・・。」


俺は隣の彼女の声に反応して顔を向けると彼女は静かに涙を流して泣いてた。


「うぇ?!何で泣いてるの・・・?」


「あれ・・?何で私・・・。ふぇ・・・ぐすっ・・・。」


「ちょ?!ちょ?!泣かないでっ!ね?」


「ご、ごめっ、ごめんなさい、直ぐに止めますから・・・・。」


「ほら、ちょっといらっしゃい。」


母さんが彼女を立たせて彼女の涙を止めようとしてる。


「兄さん・・・ぐすっ。凄い良かったですぅぅ・・・。」


「菜月まで・・・っとそうだ、皆!今の連弾は別にSNSで流しても良いからねー。録画してる人達も居るだろうし・・・。」


「兄さんとあの人のは私が確りと録画しておきましたから後で送りますね、ぐすっ。」


「あぁ、頼んだ。えっと・・・集まってる皆を騒がせたお詫びって訳じゃ無いんだけど、今度アップしようと思ってる曲を演奏しようと思います。」


俺の言葉に母さんも菜月も回りも皆が皆?!?!?!?!?!?!?!って顔になるのは面白すぎる。


「それで一つお願いがあります、録画撮影はしても良いけどSNSにアップは止めてください。少なくても俺が出すまではお願いします。」


「はいっ!!!わかりました!!!」っと素直に返事をしてくれた皆を信じて演奏を始めた。


ありがとう〜♪君が一番~♪大好きっ~♪いちばんの宝物っ♪~♪~♪


「らーらら♪らーらら♪らららーらら♪・・・・ふぅ・・・。」


「きゃぁぁぁぁぁぁっ!」


「今日ここに居てよかったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「私もYouMa様が一番ですぅうぅぅぅ。」


「大好きですぅぅぅぅぅぅぅ!!!」


「愛してるぅぅぅぅっぅぅぅ!!!」


うんうん、正にカオスだな、逃げるなら今が一番のチャンスだわな・・・。


俺とピアノの周りに居る3人に視線を送って、頷いて・・・一言・・・。


「逃げるよ!!!!」


俺のその言葉で俺たちは一斉に走り出したのだった。


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