第21話 3人目の運命

3人でお昼ご飯を楽しんだ後に、モールの中を当てもなくぶらぶら~。


「ママー、服と下着欲しい~!ダメかな?最近またブラがきつくなってきて・・・。」


「そうねぇ~。菜月もママに似て大きいものねぇ~。良いわよ色々見に行きましょうか。」


「やったっ!」


楽しそうな菜月と仕方ないって顔をしてる母親を見ながら、それなら俺はどうするかなっと考えていたらさ~・・・。


「悠ちゃんいくよー!」


「兄さんいこいこ!服も下着も決めてっ!兄さんの好みの着ちゃうっ!付けちゃうっ!」


「待ってっ。服は兎も角、下着はまずいだろう?」


「不味くない!問題ない!兄さんに選んで欲しいなぁ~?」


下から上目遣いで見るなっ!目を潤ませるな!!!


「いやいやいや!流石に下着売り場は俺は立つ瀬無いって!居心地悪いとかってレベルじゃ無いからな?!」


「まぁまぁ、菜月がこう言ってるんだし大丈夫よ、折角だし私のも選んで貰おうかな~っ。」


ふぉぉぉーよせ!引っ張るな!何処からそんな力出てるの?!助けてぇぇぇぇー!


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うん、凄かった。普通の服はまぁ、俺の好みのを菜月と母さんに勧めて直ぐに終わった・・・・。


問題はその後の下着よ・・・。菜月がサイズを測り直して新しいサイズの下着を選び始めたのと一緒に母さんも自分のを選び始めたんだけど・・・・・。


線と点の何て何時着るの?!大事な部分以外全部すっけすけなのってそういう時以外、着る事無くない?!いくら身体は血縁あるって言っても中身は他人何だから色々とナニがとは言わないけど、来るんだよ!ましてや今度からDK《男子高校生》よ?!精力なんてある意味∞《無限》よ?!マジで前かがみに成らない様に無心になるの大変だったんだからね?!


「しかも周りに居た他のお姉さま方までわざとらしくエロい下着を胸に当てたりして見せてくるし・・・・・。あぁ・・・きつかった・・・。」


げんなりとしながら店の外のベンチで菜月と母さんが出てくるのを待ちながら適当に自販機で買ったお茶を飲みながらぼけーっと一息付いていたら、~♪~♪っとこっちの世界の曲だと思われるピアノの音が聞こえて来た。


「悠ちゃんお待たせー!」


「兄さんお待たせ!」


「あ・・・っと、二人共。このピアノ何処からだろう?凄い綺麗な演奏だと思ってさ・・・。」


「本当だ、凄い上手~。プロの人かな?多分一階に設置されてるピアノだと思う。」


「あぁ、あのフリーのやつか・・・。見に行ってみたいんだけど良いかな?」


「勿論!私も気になるし行きましょ悠ちゃん!」


菜月もうんうんっと頷いてくれたので俺はフードを深くかぶり直して3人で現場まで歩き始めた。


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近づくにつれ、人だかりができてるのが見えてくる。

やっぱりこれだけ上手だからか、沢山の人が聞き入ってる。


「凄い上手・・・。」


「綺麗な音色だよね・・・。」


「あの人も綺麗だよね・・・。羨ましいなぁ~・・・。」


「ほぇ~・・・凄い綺麗な音色~だし、儚げで綺麗な人だね。」


ぴょんぴょん跳ねながら菜月が演奏者を見てそんな感想を漏らした。


「うんうん、きっとプロとして活動でもしてるんじゃないかしら?それだけの腕よあの子。」


母さんはしきりに関心しながら、菜月と同じく、音色に聞き入っている。


「・・・・・。」


そして俺はと言うと・・・、演奏者の雰囲気、音色にすっかりと心奪われてぼーっと見惚れてしまっていたんだ。


「・・・?・・・ッ!?」


っと、演奏している女の子が俺の視線に気付いたのか、こっちを見て俺に気付いて目が合った瞬間、顔を真っ赤にして鍵盤に視線を戻した。


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SIDE ???


私は今モールのストリートピアノで気持ちよく演奏してる。


今日の最終目的はあの人の曲を演奏して歌う事、Soo Tubeに投稿されたその日、男性の歌と演奏って理由だけで再生した私はすっかりと魅了された。


演奏技術、歌声は勿論。あれを見て何も感じないのは女性として終わってると思う。


「それに何より凄い楽しそうだった。」


私は何時の頃からか、楽しむことを忘れていました。母の言う事を聞いてピアノを習って上手くなって褒められて、コンクールでも入賞する事も増えて・・・出来て当たり前になってしまい、楽しむと言う事を置き去りにして居る事に気付きました。


そんな私がYouMaと言う人の演奏動画を見て、「あぁ、私は何時から楽しくて弾いていた事を忘れていたのかと、これでは機械と変わらないと音に心が乗って居ないと言われるのは当たり前だと気付いたんだよね。」そんな私を救って変えてくれたYouMaの歌を曲を私も弾きたい、歌いたいと心から思った。


それからと言うもの毎日時間が空けば常に聞き続け、耳コピで何とか形にはなって、披露できるかなってレベルに成れた時は達成感で泣いてしまった。


だから今日、ここで初めてコンクールに出た時の様な気持ちで演奏している。

全ては、(あの大空の果てまで)を演奏する覚悟が付くまでの準備・・・・。


「なんだけど・・・、何故男性がそこに・・・・。しかもとても綺麗な人。」


準備していた曲を弾き終わり・・・私は気合いを入れなおして今日の最終目標の演奏を始めた・・・・。


「世界の果てを目指して旅に~♪~♪一緒に行こう~♪~」

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「これは・・・・。」


「ふぇ・・・兄さんの・・・・。」


「悠ちゃんのよね・・・?何処にも楽譜出してないよね?悠ちゃん。」


「うん、出してない。細かいところで間違えてるけど、ほぼ完ぺきにコピー出来てる・・・。凄すぎるよ、あの子。」


「そうよね・・・。会社の子でね、ピアノ弾ける子が言ってたんだけど、覚えようと思って耳コピしようと思っても全く出来ないって言ってたもの。」


「あっ!それ音楽の先生も言ってた。兄さんの曲弾いてみたくてーって。」


俺達のそんなボソボソとした話し声を前に立ってた女の子達も聞いていて後ろを振り返って俺に気付いて叫びそうになってた。


「しーっ。」っと口に手を当てて静かにっとジェスチャーしたら通じたらしく(コクコクコク)っと首が取れるんじゃないかって勢いで頷いて我慢してくれた。


♪~~♪~~♪「今すぐに止めろ!!!!」・・・・・。


「あんた何様のつもり!?YouMa様の曲を弾くとか!!!」


「女の声で汚すな!!!今すぐに引っ込め!!!」


「ッ・・・・くぅ。」


良いところでそんな声が聞こえて来て驚いた彼女は演奏を止めて悔しそうな顔をしていた。


「チッ・・・クソが・・・。」


「兄・・・さ・・・ん・・?」


「悠ちゃ・・・ん・・・?」


菜月と母さんが俺を見てビックリしてるのが分かった、そりゃそうだ・・・今まで見せた事も無い様な冷めきった顔と声だ、驚くに決まってる。


何とか抑えようと思ってたけどあの子を責め立ててる奴等に遂に限界を迎えて俺は大声を上げる。


「お前らこそ何様のつもりだ?!本人から聞いたのか?!」


俺の怒鳴り声に状況を見守ってた女性陣もびっくりしたらしく後ろを振り返って俺を見詰めてる。


「え?男の子?」


「何でこんなところに男の子が・・・。」


「てか物凄い怒ってない・・・?」


「答えろ!YouMa本人がそう言ったのか!?どうなんだ!!!」


俺はその勢いのまま深くかぶって居たフードを外して人をかき分け彼女の側に歩き出した。


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