第4話 家族とは・・・

先ずは現状の把握からだな。

柚希さんが出て行ったあとに先ずはベッドから立ち上がって身体の調子を確認する、柚希さんの話では一週間も寝ていたそうだし、色々と動きづらくなってると思う。

まぁ動けないってレベルでは無いのは間違いない、何て言うかインフルエンザとかで一週間寝込んでた後より少し辛い程度か?

屈伸運動や腕を回してみたり手のひらを閉じては開いてみたりとある程度確認した後に今度は室内を・・・。


「個室・・・、何処の貴族様御用達の部屋なんだこれ・・・?テレビ、冷蔵庫、こっちはトイレとシャワールームか・・・。」


俺が男だからって事か?それとも、葵さんが用意したかだな・・・。

後者だとすると、無理させたんじゃないかこれ・・・。


「母さんか・・・確か、葵さんだったっけ・・・。実感沸かないよなやっぱり、元々の母親との見た目が乖離しすぎているしな。妹に関してはあっちでも居たからまだ、受け入れやすいけど・・・。」


菜月だったっけ、多分呼べるなこれは・・・。

問題は、葵さんを母さんと呼べるか、こればかりは実際に話してみないと何ともって感じかな・・・。


「そろそろ、戻ってきてもおかしくないか、シャワーとか浴びたいところだけど、取り合えずベッドに戻っておくのが良いよな。」


そしてベッドに戻って数分後に、葵さん、菜月ちゃん、柚希さん、先生とそれぞれ部屋に到着したらしく、っとノックの音が聞こえた。


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SIDE 葵


コンコンっと先生が悠ちゃんの部屋の扉をノックした後に直ぐに「どうぞ。」っと声が聞こえてドキンっと心臓がなった。


「ママ・・・今・・・。」


「うん、確かに聞こえた、本当に目を覚ましてくれてる・・・・。」


私も菜月も溢れて来る涙を抑える事も出来なくてぽろぽろと流れたまま、先生と星川さんの後に続いて、菜月と手を繋いで部屋に入った。


そして・・・ベッドの上に居る寝たままだったはずの息子が起き上がってる姿が直ぐに飛び込んできた。


「具合はいかがですか?逆月くん。何処かおかしいと感じる場所はありますか?」


「逆月は3人居ます、悠馬で結構ですよ先生。そして調子に関しては空腹と喉の渇き位ですかね・・・。」


「分かりました、悠馬くんと呼ばせていただきますね。先ずは軽く検査させてくださいね?星川さん、お願い。」


先生と星川さんとで悠ちゃんの診断をしてる、そんな悠ちゃんが私達に顔を向けて視線をくれた。


「そんなところに突っ立ってないでこっちにおいでよ、菜月もか、母さんも・・・。」


悠ちゃんが私と菜月を呼んでくれたけど、私の時に少し戸惑ったと感じたのは気のせい・・・?


「に、兄さん・・・。兄さん兄さん兄さん兄さんっ。」


っと菜月が我慢の限界とばかりに悠ちゃんの手を握りながら大泣きし始めたのを悠ちゃんは困りながらもなんとか慰めようとしてくれてる。


「ありがとうな、俺の為に泣いてくれてもう大丈夫だからそんなに泣かないで菜月。心配かけてごめんな・・・。」


えっと・・・悠ちゃんよね・・・?何というか違う人みたいに見えてしまうのは気のせい?

元々優しかったのは変わらないとはいえ、最近は無くなっていたとはいえ菜月って呼んでるし頭も撫でてあげてる。

ずるい・・・菜月ちゃん、ずるいわ・・・・、じゃなくって!


「えっと、悠ちゃん・・・?」


私の声に悠ちゃんは私に視線を向けて???って顔をしてる。


「どうしたの?母さん。」


「えっと・・・本当に大丈夫なの?何処か痛いとか苦しいとか無理してない?」


「大丈夫、何処も何ともないよ。さっき言った通り空腹とか位だよ。」


「それなら良いの、本当に目が覚めてくれて良かった・・・・。」


ちゃんと話してみて思ったのは、更に優しくなってるけど悠ちゃんは悠ちゃんだと言う事、私が産んだ悠ちゃんだと認識できた。


「本当に・・・本当に・・・良かった・・・。」


私も悠ちゃんに近づいて菜月と一緒に悠ちゃんの手を握りながら一緒にうれし涙を流すのだった。


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ふぅ・・・。呼べたな、本当に呼べるか不安だったけどこの身体の記憶なのか葵さんを見ると一度は躓いたけど二度目からは意識しないで普通に呼ぶことが出来た。


それにしても菜月も母さんも凄い綺麗だよな~・・・。

こんな二人とこれから一緒に過ごしていくのか俺、でもなんだろう・・・?身体の記憶なのか女性では無く家族って認識なんだよな。


「大丈夫だよ、二人共、心配かけてごめん。」


俺は二人に手を握らせたまま今回の事を謝って二人が落ち着くまで待ってたんだけど、体の半分は検査、半分は菜月と母さんにっと・・・・忙しくない?俺。一応病人だよね?


「さて・・・脈拍、血圧、体温も問題は無いみたいですね。明日にでももう一度、検査してその結果次第で退院で大丈夫でしょう。」


「って事は後数日って所ですか・・・?」


「そうですね・・・。ずっと居てくれても良いですよ・・・?」


「あはは。医師がそんな事いっちゃ駄目でしょう・・・。」


「それもそうでしたね・・・。悠馬くんはとてもかっこいいのでついつい・・・。」


母さんと菜月がジトーっとした目で先生を見詰めてる・・・。

何だろう・・・これから色々と大変そうだな~・・・・本当に。


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その後、柚希さんと先生は退出して仕事に戻っていった。

「何かあれば直ぐにナースコールを押してくださいね。」っと俺に伝えて・・・。


さて、ここからだな・・・。


「えっとさ、迷惑かけてごめん。こんな大騒ぎになっちゃってさ。こんな一人暮らし用みたいな個室だし凄い高いでしょ?それを一週間もなんてさ。」


俺がそう言って頭を下げると母さんはきょとんとした後に困り顔を向けてきて・・・。


「あのねぇ〜悠ちゃん。お金の事何て気にしなくて良いの。私のお仕事忘れちゃった?それに迷惑何て思ってないの!大切な息子の為だもの当たり前でしょ?」


母さんの仕事・・・下着メーカーの代表取締役・・・・マジカ・・・。

なんだっけ?っと考えたらその言葉が頭に浮かんできた。


「そうだよ!兄さんが倒れたときはとても悲しくて二度と話せないんじゃないか、撫でてもらえないんじゃないか、名前を呼んで貰えないんじゃないかって凄く不安になったんだから!だから、こうやってちゃんと目を覚ましたんだから、私とママの欲しい言葉は、ごめんなさいじゃ無いよ?」


っ!・・・そうだな、うん。まさか歳下に教えられるなんてな。


「うん、そうだね。でも心配かけたのは本当だからそこはごめんなさい。それと・・・ありがとう。」


そう言って俺は全力の笑顔で二人にお礼を言った、それに対して二人は顔を赤くしながらも・・・。


「「どういたしまして!兄さん!(悠ちゃん!)」」


っと、素敵な笑顔もセットでかえしてくれたんだ。

あぁ、家族ってこう言うものだよなっと心から思えたのと同時にこの二人を絶対に幸せにすると、絶対に恩返しも親孝行もするんだって心に決めることが出来たのだった。


これが俺の新しい家族との始まり。

そして、この世界で掛け替えのない大切な人が仲間が出来るのかな?っと期待で胸を膨らませたのだった。


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