第3話 目覚めと現状把握
SIDE 看護師???
「おはようございます、逆月くん。今日もいい天気ですよ。」
私は先週に運ばれてきて担当する事になった一人の患者さんの男の子の病室に居る。
自宅で朝起きて直ぐに頭痛を堪えるかのように頭を押さえて気を失ったとしてこの病院に運び込まれた。
それから一週間……一向に目を覚まさない。
毎日、妹さんとお母さんと時間ギリギリまでお見舞いに来て話しかけたり手を握ったりしながら過ごしているのを見ている。
こういう仕事だから慣れて居るとは言え、ご家族の姿を見るのは辛いし悲しいといつでも思う。
先輩にその事を話したら、「それで良いの。その気持ちは絶対に無くしては駄目。私達にとっては一人の患者さんだけどご家族にはそうじゃない、大切な人なんだから決して適当に扱ったり患者と言う物として見る様になっては駄目よ。」っと言われ、あぁ……これで良いんだっとストンっと心に嵌まったのを今でも忘れずに仕事をしている。でもまぁ……
「男の患者さんと上手い事やって寿退社した事だけは納得できないですけどね!」
っと独り言を言いながら部屋の換気や点滴の交換、男の子の身体を拭く等の仕事をこなしていった……
それにしても……この子……
「本当に綺麗でかっこいいわっ。」
お母さんと妹さんも凄い美人と美少女なのは分かっては居るけど流石にその息子さんっと言ったところでこの男の子も凄い綺麗でかっこいい子なのだ。
「それに、お母さんや妹さんの話によればとても優しい子、動物にも女性である自分達にも優しいと言ってたもんね。学校に通い始めたりしたら直ぐにモテモテになりそうね。」
でも、そんな子だからと悪意に晒されて女性嫌いにならないと良いんだけどっとそこだけは本当に心配。
でも、一週間も目を覚まさないとすると……最悪このまま……
出来る事なら優しいまま成長して素敵な男性になって欲しいなっと……思いながら妹と同い年の男の子の顔を見ていたら……
「え…?うそ……」
「み、水……」っとか細い声を出して目を覚ましたのだった。
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「ぅぅぅ…み、水……」
声が出ない、喉が枯れてる……
「良かった!目を覚ましたんですね?!ゆっくり起き上がってください……落ち着いてゆっくりと……飲んでください。」
その声に反応して、痛む身体を起こして、口元に差し出されたコップから延びるストローに口をつけて水を飲み始めた。
ゴクゴクっと渇きを満たすかのように何回かお代わりをして満足する位まで飲んだ後に「あ~…あーあー。」っと自分の声が出るのを確認して女性に声をかけた。
「えっと、貴女は?と言うかここは…?」
「落ち着いて聞いてくださいね、先ずここは病院になります。」
「病院……あ、そうか…俺……」
「覚えてますか?」
「はい、起き上がって直ぐに激しい頭痛に襲われて耐えられなくなってそのまま、気絶?した事は思い出しました。」
「良かった……記憶が混濁しているとかは無さそうですけど……自分の名前等は分かりますか?」
自分の名前……あ、あぁそうか……俺…。
「悠馬……逆月 悠馬。」
俺が自分の名前を言った事で看護師さんがホッとした顔をしてくれた後に笑顔で続きを話し始めた。
「本当に目が覚めて良かったです、逆月くんは「悠馬で良いですよ。」……はいっ///悠馬……くん///……は、一週間の間眠ったままで意識が無かったんです。」
「い、一週間……?それじゃ下手したらこのまま死ぬまで寝たきりって可能性が……?」
「はい。でも…‥‥目を覚ましました!頭痛での気絶の様でしたから記憶障害の可能性もあってさっきの質問をさせて貰いました。」
「はい、納得しました。それでえっと、母と妹の菜月は?」
「あっ!そちらもちゃんと覚えているんですね!本当に良かったです!今日はこれからの事や悠馬くん///……の検査結果の確認の為に来院しているはずですので、担当の先生をこれから呼んできますから待ってて貰えますか?」
「はい、宜しくお願いします。あ、その前に‥‥…お姉さんの名前を教えて貰えませんか?」
「はいっ///私は、悠馬くんの担当看護師、
そう言って柚希さんはとても綺麗な笑顔を俺に見せてくれて、そのまま部屋を出て担当の先生を呼びに行ってくれた。
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SIDE 看護師 柚希
急がないと……目を覚ましてくれた!
この時間なら、先生の所にお母さんと妹さんがいるはず、全力で走りたいところだけど流石に院内を走る訳にも行かず、小走りで先生の部屋まで向かう。
「それにしても……」
っと呟いて、目を覚まして話した感じ確かに言葉じりに優しさを感じたけど、それ以上に……
「冷静過ぎる…?大人すぎる……?」
そう幾ら優しい人だとしてもこの状況だ、混乱して強い言葉になってもおかしくないはず……
でもそうはならずに、終始冷静に会話して状況を把握していた。
その上、私の名前まで聞いてくるという冷静な対応までしてみせた。
「本当に妹と同い年?でも、不思議な人だね……」
私はそう結論づけて先ずは報告をっと、走るスピードを少しだけ早めて先生の元まで急いだのだった。
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「はぁはぁ…はぁはぁ……っ!目を覚ましました!逆月悠馬くんが目を覚ましました!直ぐに来てください先生!」
お母さんと妹さんは私が何を言ったのか理解出来ないっという顔で私を見ている。
「お母さんと妹さんも一緒に!目を覚ましたんですよ!」
「「ほ、本当ですか?!」」
「本当にです!さぁっ!」
「「はいっ!」」
その言葉でお母さんも妹さんも先生も揃って急いで悠馬くんの病室に戻るのだった。
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