第1章 新世界での始まり
第1話 起きたら知らない部屋
「ん…何処だここ…?」
目が覚め、ベッドから起き上がりながら部屋を見渡すと全く知らない部屋にいる、更に言えばとんでもなく広い‥‥
「昨晩、俺は普通にベッドに入ったはず、てか何だこの豪邸‥‥寝室だけで何畳あるんだよ‥‥」
勤めていた会社のブラックな部分、ほの暗い部分を全部ばらして色々な機関を騒がせて、実質倒産まで追い込んで仲間内でお疲れ様会で飲みまくって帰宅して寝たのは間違いないはず?‥‥誘拐?俺みたいなおっさんを?いやでも、誘拐ならこんな部屋を用意する意味も無い。
分けわからんな‥‥っと何気なく自分の手を見ると明らかに若返っていた。
「は‥‥?明らかに手がってか肌が若い?」
自分の顔や肌に触れて明らかに張りが良くなっているのに気付いて余計に分けわからなくなっていた。
コンコンっ。
「悠ちゃん~?起きてる~?」
誰だ今の声?それに、悠ちゃんって誰?
「悠ちゃ~ん~?入るよ~?」
「え?あぁ、起きてるよ。直ぐに着替えて行くよ。」
ここは取り合えず話を合わせる事にして何とか普通に返事をしベッドから立ち上がると同時に物凄い痛みが頭に襲い掛かって来て俺は我慢できずに大声を上げながら倒れ込んだ。
「ぐぅぅぅ‥‥がぁぁぁ?!ああああああぁぁぁぁぁっ!」
「悠ちゃん?!どうしたの悠ちゃん?!?!」
ドンドンっと扉を強くたたく音を聞きながらそれに答える事も出来ずに更に声をあげる。
「あ゛あ゛あ゛あ゛‥‥あ゛あ゛あ゛あ゛‥‥ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」
「悠ちゃん!!!」って声と共にガチャンっと大きな音を立てて扉が開いて一人の綺麗な女性が入ってくる。
「悠ちゃん!悠ちゃん!!しっかりして!!悠ちゃん!!!!」
「ママ‥‥?どうした‥‥兄さん?!?!」
「いや!!いやよ!悠ちゃん!!!しっかりして!!」
「兄さん!!兄さんーー!!」
部屋に入って来た綺麗な女性と可愛い女の子の声を聞きながら俺の意識は暗転した。
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SIDE ????
「起きよ、もう大丈夫だろう?」
「はっ?!ここは?え‥‥?何この場所?」
え?もしかして死んだ‥‥?意識を失う前に物凄い頭痛に襲われて、綺麗な女性が二人、部屋に入ってきたところまでは覚えてる‥‥…
「ふむ。だいぶ意識はしっかりとしてきたようだな。」
気付けば何も無い真っ白な空間に光り輝く珠?みたいなものが俺の目の前に浮かんでいた。
「この声は‥‥この珠‥‥からか?」
「認識したか、お主をここに呼んだのは私だ。」
「私って‥‥珠じゃん‥‥いや‥‥人型?」
「お主のイメージで見え方は変わる。分かりやすく言うなれば‥‥神と思っておれば間違いはない。」
「神様‥‥?いや、それはいいや‥‥どうせ考えても分からない。知りたいのは俺は一体どうなってるんだ?死んだのか?」
そう、そこが疑問だった、会社を潰して自由になって、これから今まで出来なかった事をして親にも恩返しして、妹とも仲良くして、結婚して‥‥そう考えてたのに。
「それなんだがな、気を失う前の事はどれだけ覚えておる?」
「知らない部屋で目を覚まして身体が若返っていて?物凄い頭痛が襲ってきて‥‥知らない記憶が流れ込んで来た‥‥?」
「頭痛の中で流れ込んで来た記憶はその身体の元々の持ち主の記憶だ。それが簡単に言えば濁流のごとくお主の意識に流れ込んできた結果があの頭痛だ。」
そう言う事か‥‥あの女性たちはこの身体の家族‥‥最初の女性が、
「うん、何となくは理解した、男女比の事も記憶の中にあった。女性比率が高い事、男性は基本的に外に出ない事、稀に表に出て活動している人も居るが長続きしない事、男子が産まれた家はそれを隠す事‥‥うん、この身体の事と目覚めた世界の事は理解した。それで、俺の元々の身体?世界?はどうなったんだ?」
「お主が元々居た世界は特に変化はない、つまり異世界、並行世界と言ったほうが分かりやすいか?そちらへの移動と言う訳だ。」
「何故、俺だ?」
「順を追って説明しよう、先ずは元の世界のお主だが死んだ。理由は過労による心臓発作だ、だがこれは想定外の死だった。無い訳では無いのだが予定と違う死を迎えたものは異世界に転生させると言う訳だ。勿論そのまま死を選ぶことも出来るのだが‥‥」
「だが‥‥?」
「お主が目覚めた肉体の子の死に引っ張られた結果、私を通さずに魂が世界の壁を越えその肉体に宿ってしまった。その身体の持ち主は、世界の現状に絶望して自らの肉体の機能を停止して眠るのと同時に全てを手放したのだ。そして‥‥」
「同時期に予定外とは言え死んだ俺が宿ったと‥‥?」
うむ、っと重々しく頷いた神様の言葉を俺は噛みしめながらも疑問をぶつける事にした。
「それじゃもう二度と俺は自分の身体に戻れないし、この身体の魂も戻ってこないって事で良いのですか?」
「そうなる。そして一度宿ってしまった以上は、自ら死ぬか寿命を迎えるか、そのどちらかになるのだ。」
はぁ‥‥と溜息を吐きながらつまりはこの身体で自殺するか、寿命を全うするかのどちらかって事か?
「理解はした、納得はしてないけど。そしてわざわざ説明の機会を設けてくれた事は感謝します。出来れば願いを一つ叶えて貰えませんか?」
「言ってみなさい。」
「両親と妹がこれから困らない様にしてほしい。手を貸してやってくれって事じゃ無く残りの人生を幸せに暮らせるようにして貰いたい。何も返せなかった親不孝な俺の最後の願いとして‥‥」
「分かった‥‥苦労する事無く寿命を全うできるようにしよう。せめてもの詫びだ。そろそろ、目覚める時間のようだな。」
「そっか‥‥願い聞いてくれてありがとうございます。正直、神様なんて居ないと思ってました。」
「それでいいのだ、人の時代なのだから。」
「そうですね、もう会えない方が良いんでしょうけど、また‥‥」
「うむ。」っと人型が頷いたのを確認して俺の意識はまた、暗転しながらも、これからどうなるのかって不安と何が起こるのか、こっちの身体の家族を元の世界の家族に恩返し出来なかった分も頑張ろうと思うのだった。
「自身の幸せではなく家族の幸せを願うか‥‥これだから人間は面白い。お主の新しい人生に幸があらん事を‥‥そして、どう生きるのか見届けさせて貰おう‥‥」
そんな声が最後に聞こえた気がした‥‥
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と言う訳で悠馬君の物語再開します。
元の話とは少し変えるところは変えますが大筋は変えませんのでこちらも、もし良ければ宜しくお願いします。
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