第39話 幕間4 夢の中で

私はお風呂も済ませて後は寝るだけって状態で自室で体育座りの状態で今日の事を考えていた。


体育祭でやらかして蓮夜くんに告白して、一応の答えとこれからの事を約束して貰えたのは良かったとは思うけど、思いっきりやらかしたのだけはちょっと・・・。


「まぁ、あんな事でも無いと多分だけど言えなかったと思うし・・・。」


蓮夜くんもぽかーんっと顔してたけど、理解したら一気に真っ赤になってたし、可愛かったなっ。


「柊・・・彩音さん・・・、蓮夜くんの一番の席を独占し続けてる人。今までもこれからもずっと・・・。とても綺麗な人だったなぁ~・・・。」


最後に蓮夜くんに一通りの写真を見せて貰ったけど、中学生であれって凄すぎ・・・正に正統派ヒロインって感じの子だった、そして蓮夜くんを見つめる目も愛しくて仕方ないってのが良く分かる目だったし、蓮夜くんも同じように見てるのが写真から良く分かった。


「でも、私だって負けない、蓮夜くんを思う気持ちは負けない・・・違う、負けないじゃ駄目なんだ。」


うん、多分当たってると思う、負けないって考え自体が間違えてるんだと思う、負けないじゃ無くて彩音さんを認めてその上で同じ場所に立たないと私は蓮夜くんの隣に自信を持って立って居られなくなる?


「何か、違う気がする・・・。彩音さんの事を受け入れるのは間違ってないと思うけど多分それだけじゃ・・・。」


あーーーもうっ!分かんないーー!っとベッドに倒れ込んで、私はもぞもぞ・・・今、彩音さんが側に居ない理由は多分、凄く単純・・・司ちゃんの事を考えたら、あの日、蓮夜くんのお家に行った時に泣いて居た事を考えたら・・・多分、彩音さんが側に居ない理由は・・・もう既に・・・。


「蓮夜くん・・・私が絶対に・・・。」


そんな事を考えながら、私の意識が静かに沈んで行って体育祭の疲れもあってスッと・・・眠りに落ちていった。


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「あれ?ここは・・・。」


私は自室で寝たはず・・・公園?いやいや・・・何で?


「こんにちわ。じゃないねっ、こんばんわ。」


気付くといつの間にか私の目の前には女の子が居た。


「えっと、はい。こんばんわ?」


ものすっごい夕暮れの公園だからこんばんわって言うのも何処と無く違和感あるけど・・・。


「寝てたのにごめんね、有希那さん。」


「えっ?!何で私の名前を?!」


「ふふーりっ。蓮夜の周りの人、仲の良い人、蓮夜を思ってくれてる人は知ってるんだよっ。」


「えっと・・・?」


完全に混乱しちゃってる私を尻目に女の子は楽しそうにしてるし・・・。

てか逆光で全く顔が分からない・・・。


「ごめんね、混乱してるよね?有希那さんと話してみたくてこう言う方法取らせて貰ったの。私はこうでもしないと会えないから。」


そう言った彼女は何処と無く寂しそうな雰囲気で・・・。


「えっと・・・あの・・・?「ねねっ!有希那さんっ!」・・は、はいっ!」


「蓮夜の事・・・好き?」


「ふえっ///」


「ふふっ、その反応で分かったけど答えて貰える?」


「うん、好き。蓮夜くんが大好き。蓮夜くんの一番の席が埋まっていたとしてもそこに、同じ位置に立って見せる!それくらい、蓮夜くんが好き。」


「うんっ!それが聞きたかったの!有希那さん、蓮夜の事信じてあげてね、有希那さんなら・・・きっとっ。」


その言葉は前に?確か!夢の中で!


「待ってっ!もしかして!貴女はもしかして!」


「時間みたい、ごめんねー、何か一方的に話しただけになっちゃった。」


その言葉と共に、女の子の背中から、純白の羽根が現れて・・・その姿もあの時の夢と同じでっ。


「貴女は!ねぇ!待って!待ってよっ!」


「またね?次はあっちでかなー?待ってるから、蓮夜と皆と会いに来てね?おやすみなさいっ。」


彩音さん!待って!聞きたい事が沢山!・・・私の声は届く事も無くて純白の羽根を羽ばたかせて光に包まれた彩音さん?の姿は見えなくなった。


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「ん・・・。何か変な夢を見た気がする・・・。あれ?何だろこれ・・・。」


私の掛布団の上に一つの純白の羽根があった・・・。


「綺麗・・・、って鳥?だとしてもおかしいよね?こんな・・・。」


でも何だろ・・・不思議と私には恐怖が無かった。

あるのは・・・愛しさ・・・かな?それと、切なさ・・・。


「うぅ・・・ぐすっ・・・。」


私は羽根を胸に抱きしめたまま理由何て、分からないけど零れてくる涙をそのままに暫く泣き続けた。


…………………………………………………………

SIDE 司


「ここは、公園?ってこの場所はお二人の・・・。」


私は自然と公園の中に足を進めて奥まで歩く。


「やっほっ!久しぶりね、司っ。」


「え?先輩・・・?先輩っーーーーー!!」


姿を確認した私は走り出して勢いのまま抱きついた。


「もうっ!甘えん坊なのは変わらないな〜。」


「彩音先輩っ!彩音先輩っ!うわぁぁぁあっ。


「もうっ、泣き虫なのも変わらないんだから。」


そう言いながら彩音先輩は私を撫でながら背中をポンポンっと子供を宥めるみたいにしてくれて、その行動も懐かしくて私は彩音先輩の胸の中で暫くの間、泣き続けた。


「その、ごめんなさい。」


「ふふっ、身体は大きくなったけど中身は変わって無くて何か安心しちゃった。」


「うっ・・・先輩の姿を見たら一気に昔に戻ったと言いますか・・・。」


う〜恥ずかしい・・・。


「ねぇ、司。」


「あ、はいっ!何ですか?」


「蓮夜を追いかけてくれてありがとね。とても喜んでたよ、蓮夜。」


「そうなんですか?迷惑とかって思われてたりしてないんですか?」


「思ってないよ、追い掛けてきてくれて凄く嬉しかったって言ってたもん。」


「そ、そうですかっ///実は少し心配だったので・・・。」


ぽんぽんっと私の頭を撫でながら彩音先輩は言葉を紡いで行く。


「有希那さんの事、良く認めたね?私の時もそうだったけど、遠慮しすぎ何じゃない?」


「そ、それは・・・確かにそう言う部分もありますけど、私の何よりの願いは蓮夜先輩が幸せになる事、心からの笑顔を向けられるようになる事ですから、そりゃ勿論、私が幸せに出来れば一番ですけど・・・。」


「そっか、何時もありがとね。今だけじゃ無く昔からずっと、私も蓮夜も司に沢山、沢山、助けられてるね。」


「そ、それは!私が!お二人に助けられたから!お二人が居たから今の私があるから!だからっ!・・・だからですっ!」


思わず立ち上がった私は気付けば彩音先輩に抱きしめられていて・・・。


「ありがとう。蓮夜が話すと決めた以上、司にも沢山の負担をかけちゃうし思い出したく無い事も思い出させちゃうのに、私には何もしてあげられない。

だから、せめてこれくらいは・・・ありがとねっ。司が居てくれて本当に良かった。」


「せん・・・ぱい・・・うぅ・・・。」


私は感情の赴くままに彩音先輩に抱きしめられたまま泣き続けた。


「んっ。ごめんね。時間みたい。」


「はい・・・あのっ!・・・また会えますか?」


「本当は会わない方が良いんだけど・・・また今度ね?次は皆で会いに来てねっ!」


「はいっ!必ず!待ってて下さい、蓮夜先輩も連れて私も有希那先輩も皆で会いに行きますからっ!」


「うんっ!待ってるね!」


そう言って彩音先輩は私の前から消えていった、柑橘系の香りと一枚の綺麗な羽根を残して。


「彩音、せんぱい・・・。うぅ・・・ぐすっ・・・。」


自分のベッドの上で目を覚ました私は手の中にある羽根を見て夢じゃ無かった事を認識して、只々、静かに泣き続けた。


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