第36話 体育祭

「さぁっ!さぁさぁっ!さぁさぁさぁ!やってきましたぁぁぁぁぁ!体育祭!司会は放送委員のこの私!桜井ぃぃぃぃぃぃぃぃ望海ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」


「煩い!もっと静かに出来んのかお前は!皆さま失礼しました、放送委員長の東郷 誠です。本日はここ一番の快晴、面倒な体育祭も少しは浮かばれると言うものですね。」


「ねぇ?先輩、何でそう言う事言うんです?私がわざとテンション高くしてやってるって言うのに・・・。」


「本当の事言って何が悪い?どうせ皆思ってるし実際この蒸し蒸しとした暑さの中で何て誰がやりたいってのよ?」


「だ~か~ら~!思っててもそう言う事言うなー!そんなんじゃ社会に出て苦労しますよ?!」


「その時はしっかりと隠すから良いんだよ。」


「ヤダこの人コワいっ!皆さんも騙されない様に気を付けてくださいね!」


「ちょっとお前体育館裏に来い、失礼すぎるだろ?先輩だぞ俺。」


「え?告白ですか?先輩の事は嫌いじゃ無いけど恋愛感情無いですよっ。」


「俺だってねーよ!はぁ・・・もういいや、兎に角これより体育祭を開始します!皆さん頑張りましょー!」


「頑張りましょー!各クラスの担任教師で賭けをやってたので勝ったクラスグループの担任達は他の先生のおごりで焼肉食い放題だそうですよ!なにそれずるい!」


「おまっ!何でそんな事知ってんだ?!」っと教師陣から声が上がってる。


「なぁ、信也・・・。たまに思うんだけどさ、この学校大丈夫なのかな?」


「俺も偶に心配になる。」


「だよなぁ~・・・・。まぁ〜、気にしても仕方ないし適当に頑張るか・・・。」


「だな。女子の体操服姿も可愛いしジャージ姿も可愛いし目の保養だわ~・・・。」


お前なぁ~・・・っと呆れた目で信也を見ながら俺達は自分のクラスグループの待機場所に向かうのだった。


「蓮ー!間島くんー!こっちこっち!」


「うっす、雫。」


パチンっと手を上げてたのを見てそれに応える様に俺も信也も二人共合わせて雫にハイタッチした。


「蓮の出番ってどれくらいだっけ?」


「昼前だな、400やって借り物やって昼休憩だったはず。」


「だったねー、それならそれまでは応援に回りましょーか。」


「雫の応援なら男子連中もいつも以上に成果出るだろうな。」


「何よそれ・・・?」


あきれ顔で俺にそう言ってきた雫に俺は答えを返す。


「そら、美少女に応援されたら普段以上の力出るもんだ、それくらい単純なんだよ男何てな。」


「もうっ///」っと照れながら俺の背中をバシバシと叩いてくるんだが・・・地味にいてぇ・・・。


「せーーんぱいっ!」


その声に振り返ると司が体操服を見せつける様に俺に声をかけてきた。


「お?司。似合うな体操着姿。」


「えへへっ///って珍しくストレートに褒めてくれましたねっ。」


「まぁ・・そこはな?」


「ちょっと!私は?!私には何か無いの?!」


雫のその言葉に俺は上から下まで、下から上まで姿を見て一言・・・・。


「うん、エロい。」


「はい、エロいですね。」


「何でよ?!って言うか司まで何言ってんの?!」


「いやだって・・・エロいですって、誰が見てもエロいですよ、雫先輩の姿。」


「~~~っ///」


「お前ら揃って何言ってんだ・・・。あぁ・・うん、神薙はエロいな。」


「間島君まで?!どこがよ?!」


「いやだって・・・・。」


「「「なぁ~?」」」


っと俺等は声を揃えて同意を示しながら同じ感想を思い浮かべるのだった。


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「んじゃちっと行ってくるわ。」


「おう!頑張ってこいー!」


「蓮なら余裕!余裕!勝ってきなさいよ!」


「せんぱーいっ!ファイトー!」


信也と雫と司の応援を背に俺は出番の400m走に出る為に待機場所まで移動しながら隣のクラスの方を見ると有希那と美織が俺に手を振ってくれてる。


クラスも違うから応援する訳にも行かないからか手を振ってアピールしてるのは可愛いと思ったから俺も片手を上げてそれに答えた。


「さぁーーってっ!次は今現在人気急上昇中の神代蓮夜君が走るぞー!がんばってぇぇぇぇぇぇ!!!」


「おい!個人を応援するな!俺等は公平にアナウンスしないと駄目だっての!」


「良いじゃ無いですか人間だもの!てか先輩だって去年から色々お世話になってるでしょう?!」


「それはそれだ!」


「薄情な先輩は無視しまして、神代君はprincess of knightって一部で言われていますー!」


ふぁ?!何それ!何でそんな事になってるの!?


「勿論、陵さんの一件が理由ですねー!つまりprincessは陵さんで彼女を守る騎士って事でそう一部で呼ばれてますー!ってか、天女なのか王女なのかどっちなのよ!!!」


「やめてくださいーーーーーーーっ////」


「おっと陵さんの照れ顔可愛い!ですが、やめてほしそうなのでこの辺で止めておきますね!」


まー照れるだろうな・・・。


「さってー!それではスタートになります!一体だれが勝つのか実に楽しみです!」


「お前らがんばれー!女子が見てるぞー!神代にかてぇぇぇぇぇ!!」


「ちょ!私情いれないでくださいよ!って言うか神代君負けないでぇぇぇぇ!」


「お前も私情だらけじゃねーか!っとか言ってる間に最終コーナーを回ったー!ここで神代が外から抜け出した?!」


「いけいけー!声援も大きくなってますー!他のクラスの女子もキャーキャー!言ってるぞー!」


「おい!こら!陸上部!帰宅部に負けんな!ほら!おいぬけぇぇぇー!」


「1位!神代君がぶっちぎりで1位でゴールですー!やったぁぁぁぁぁ!」


なんやねんまじで・・・俺をネタにしてんじゃねーっての。


「せんぱーーーい!かっこいいぞーーーー!」


「おっとぉー?!これは陵さんにライバル出現か?!1年の天羽さんだー!」


「凄いですー!先輩ー!大好きー!」


きゃぁぁぁぁぁぁぁ!っとあっちこっちから黄色い声が上がってるし司め・・・わざとだなこれ!


「くっそー!神代!お前その位置変われ!綺麗どころ独り占めしてんじゃねぇぇぇ!」


「じゃかしいわー!真面にアナウンスしろ放送部!」


「そうだーそうだー!良い事言った!神代君!先輩は真面目にやってくださいー!私情挟むなー!」


「お前が言うな!ってかお前に言われたくねーよ!」


ほんとグダグダ・・・まぁ・・皆して笑ってるしこれはこれで良いのかも知れないけどな、お祭りだしね。


「蓮ーお疲れさま!」


「蓮夜おつかれ!1位おめっと!」


「おうっ!」


陣地に戻った俺に信也と雫が片手を上げて待ってたのを見て俺もそれにならってパンっと両手を使って片手ずつ二人の手と打ち鳴らした。


「せんーぱいっ!」


「おっとっ。あぶねーっての司。」


「おめでとうございますっ!」言いながら俺に抱きついて来た司を「はいはいっ。」っと引っぺがして自分の席に座って身体を休めた。


「もうっ!リアクションが無さ過ぎー!」って拗ねてたけどな。


「次は借り物競争だっけか、有希那が出るよな確か。」


「そうだな、陵さんの希望通ったから出れるって喜んでたな。」


「だね、有希那が苦手って言うのが本当に以外よ。」


「確かに・・・。まーでも走れない訳じゃ無いし大丈夫だと思うぞ。」


うん、焦らずにがんばれ・・・有希那。


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SIDE 有希那


うぅぅ・・・出番来ちゃった・・・・。


「有希那、さっきの良かったの?司のあれ。」


「え?・・何が?」


「何がって・・・大声で先輩大好きー!って言ってたよ?」


「うそぉ?!」


「まじまじ・・・聞いてなかった・・・の・・?」


「う、うん・・・。出番が近いって事で頭一杯で・・・・。」


まじかぁ~って感じでおでこに手を当てながら美織は唸った・・・・。


「だって仕方ないじゃん!・・・苦手なんだもん・・・。」


「大丈夫だって、神代君とランニングしてたんでしょ?別に長距離とかに出る訳じゃ無いし、借り物競争なんだから後は運だよ運。」


「それはそうかも知れないけど・・・、何かとんでも無いものを引く気がする・・・。」


「考えすぎだって!ほら行ってきなさいー!」


「は~い。」っとしょんぼりしながら私は待機場まで歩いて行く途中に蓮夜君の方を見たら蓮夜君も見てくれてた、気付いた蓮夜君が私に手を振ってくれたのを見て私も振り替えして・・・よし!っと気合いが入った。


「さってーーー!次はお昼休憩の前の最後の一戦!借り物競争だぁぁぁぁぁ!」


「お前は何でそんなにテンション高く出来るんだ?俺はいい加減疲れて来たぞ・・・・。」


「おっさん越えてお爺ちゃんか!次は我が学園アイドル!陵有希那さんが出場しますよーーー!」


「誰がお爺ちゃんだ!陵さんがんばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇ!!!」


「うわぁ・・・この人キモイ・・・。神代君ーこの人シメた方が良いよー?」


「お前のノリに合わせただけなのに酷くないか?!」


ほんと、止めて欲しい・・・蓮夜君まで巻き込んでるし、マジ最悪・・・。


「ひぃぃぃぃぃっ!神代君ゴメン!もう言わないからその目は勘弁してぇぇぇっ!」


「神代すまんっっ!マジで許してっ!陵さんもふざけすぎてごめんー!」


え・・?あっ・・蓮夜君が物凄い目で二人を睨んでる・・・。


「ふふっ。私の為に怒ってくれてるんだ・・・嬉しいなぁ・・・。」


私ってこんなに単純だったっけ?って位、簡単に機嫌が直ってしまった自分に呆れながらも、先ずは目の前の競技に集中しないとねっ。


「ねぇ?陵さんってやっぱり神代君と付き合ってるの?」


「え?!まだ蓮夜君とは付き合ってないよ?!」


同じ順番の子が私に話しかけて来てそんな事を聞いて来たからまだ付き合ってないっと馬鹿正直に答えちゃった。


「まだ・・・ね・・。それなら私が告白して付き合っても良いよね。」


「えっ?!好きなの・・・?」


「んっ///今みたいに見た目を整える前からずっとね・・・。」


「そっか・・・、でも負けないよ私。」


出会ってからの時間は私の方が確かに短いけどだから何?って思った。

私だって気持ちは負けてないっ!だから・・・負けないもん!


「私も簡単に諦める気無いから、覚悟しておいてね。」


「勿論、それは私だって同じだよ。」


お互いに不敵に笑いながら睨みあってると順番が来た。


「それでは第3レーススタートします!位置に着いて・・・っ。」


ピストルのパンッって音が鳴るのと同時に私は走り出す、焦ったりしないように、焦れば転んだりする可能性が高くなる、ただでさえ私はこう言う運動系は苦手でどんくさいのは自分でも理解してるから。

それに何より、蓮夜君と一緒に走ってたんだから途中で転んだりして負けたくは無い。

私は順調に走って行く、目の前にお題の書いてある紙を立ち止まって確りと開く・・・。


「えっと、お題は・・・・え?・・・えぇぇ?!」


そこにはすっごい事が書いていた。


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あれ?有希那が止まった?何か難しい事でも書いてあったか?


「おっと?!陵さんが動かなくなった?!難しいお題か?!」


「有希那大丈夫かな?何か顔色が・・・。」


うん、赤くなったりお目めグルグルっぽくなったり汗っぽいのかいてたりしてるな・・。


「って言うか何か、耳まで真っ赤になってないか・・・?ってこっち来た。」


「れ、蓮夜・・君・・・///」


「どうした?俺に手伝える事か?」


「うぅぅぅぅっ////い、一緒に来てっ!///」


「お、ぉぅ・・・。分かった。」


「手・・・繋いでって書いてて・・・///」


「りょーかい!んじゃ行くぞ!」


俺は有希那と手を繋いで全校生徒や親御さんが見る中、有希那と手を繋いで引っ張りながらも有希那が転ばない様に気を付けて一緒に走って行く。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ////」っと俺と有希那を見た女性陣から黄色い歓声が上がったり「そこ変われぇぇー!神代ぉぉぉぉ!」って男共の怨嗟の声が鳴り響く中俺と有希那は・・・・2着で辿り着いた。


「はいはいーお疲れ様ー。お題の確認するから見せてねー陵さん。」


「うぅぅ///・・・はぃ・・・。」


ん?さっきからずっと妙に静かと言うか恥ずかしがってるって言うか・・・?


「うわぁ・・・これ引いちゃったんだ・・・。」


審判員が有希那の持ってきた紙を見て冷や汗書いてるけどどう言う事だ・・・?


「何だ?俺を引っ張ってきたって事は男子とどうのって程度じゃないのか?一番、仲の良い男子とかその辺じゃないの?」


ふるふるっと有希那が顔を振って否定してる。


「一応ルール上読み上げないといけないんだけどさ、良いの?ほんとに。」


コクコクっと有希那が顔を真っ赤にして読み上げの許可?を出してる。


「ん~?ほんとになんなん?」


「はやく・・・読み上げて・・・くださぃ・・・///」


「あ~うん。恨まないでね・・・?えっと陵さんのお題は、一番大好きな人!(異性)ですっ!」


ピシィィっと会場全体の空気が凍り付いた・・・・。


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