第27話 追い詰め(5日目)

喫茶店の話で提示された情報と俺から提示した条件の結果を3日目に受け取った。

奴らからの情報はメンバーの名前と学年、代表の名前と学年。メッセージのグループのスクショのデータだった。

それだけじゃ足りないと判断した俺は、メンバー全員(代表込み)の写真付きのプロフィールを用意させる事。

代表を最後まで味方だと思わせて情報を引き出してこちらに回す事。

俺達を裏切らない事、陵 有希那ファンクラブの解散、一つでも違えた場合同じように処分対象にする事を確約させた。

更に弁護士に連絡をして事務所への呼び出し状を速達で出すのと俺が本人に渡す為のコピーの受け取りを行った。


4日目は叔母に連絡して、弁護士事務所との連携の連絡、有希那が本人に文句を言いに行くと譲らないから、それの打ち合わせ、証拠物件の整理等で終わった。


「これで前準備は終わったか、後は本人を潰すだけだな。それにしてもこちらの忠告を一切聞かないとはねぇ~・・・。」


「所詮その程度の頭って事でこちらを舐め腐ってるって事ですよ。だからこんな犯罪を犯すんですし。」


「何て言うかさ、ずっと思ってたんだけど司は何でそんなにムキになってるの?蓮に関わる事ってのを抜いても過剰じゃない?それに蓮も普段と比べても徹底的に潰すのを目的にしてるしどうしたの?」


雫がそんな事を聞いて来たが皆を見ると皆も同じ事を聞きたいと思っていたのか、司を見つめていた。


「・・・・。はぁ・・・・。簡単な事ですよ?2度目だからです。昔もあったんですよ、そしてほんの少しの手を抜いて手加減した結果、更に大変な事になったからってだけです。蓮先輩も先輩も何も悪くないのに・・・・なのに!!!!」


「司は落ち着け。昔な、似たような事あってな、今回ここまでやる理由は実はたった一つの理由なんだ。」


司が落ち着くように撫でながら昔を思い出す様に遠い目をしながら大変だったあの頃を思い出して気持ちが沈んだ。


「似たような事って何なんだ?蓮。」


「あの時は、俺のファンの子達が、あいつにな・・・・。この間に有希那が言ってたんだ俺のファンクラブが既にあるってさ。」


「ありますね。蓮先輩のファンクラブ、結構な人数の女子入ってるらしいです。」


「俺としては同じと思いたくないし辞めて欲しいんだけど俺から言うのも何か違うって思うし特に何かされたとかは無いんだけど念の為に見せしめのつもりかな。」


「見せしめ?ってどゆこと神代君。」


「んー・・・・。簡単に言うと俺の周りに手を出すとこうなるぞってのを見せつける為かな。そうすれば有希那は勿論だけど、雫も美織も司も姫川を筆頭に他の人達も守れるからね。俺の評価が下がるのは別に構わないし。」(そう、仮に嫌われ怖がられて皆が離れたとしても・・・・。)


俺の言葉に司以外の皆が唖然と言った感じで見つめて来た。

その中で、有希那だけが動いて俺の手を握ってきた。


「蓮夜君、私達に嫌われて離れて行ったとしてもって考えてるでしょ?」


「?!・・・え、何言って・・・。「当たったね。」・・・・・何で・・・。」


「えへへ////ごめんね、ちょっと嬉しい///今まで見て来たんだもん、少しくらいは分かるよ。でも、うん、何時も私たちの事考えてくれてありがとねっ!」


「あのなぁ~蓮。一人で背負い込むなよ、遣りたい様にやれば良いんだよ、俺等はその援護をするし必要なら幾らでも手を貸すっての。」


「そうよ、確かに蓮らしくないとは思ったけど別に悪いとは言ってないもの。」


「うんうん!私はこうやって神代君と仲良くなれてラッキー!位に想ってるんだからね~。二人には悪いとは思うけど、それにさ・・・・神代君の力になれるの凄い嬉しいんだよ!」


美織も3人の言葉に同意するようにウンウンと頷いてくれてる。


「先輩を嫌いになるならとっくになってます、その程度の想いなら追いかけてこっちの学校になんて来ません。先輩は思う通りに思いっきりやって良いんです。尻拭いは私がしますから!」


「・・・・・・・。あぁ、覚悟決まったわ。徹底的にやって二度と歯向かえなくしてやる。皆、ありがとう。」


皆が皆、決意をした目をしていた。


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SIDE ????


ぐふっ。ぐふふふふっ、僕の勝ちだぁ!結局三日過ぎても何も無かったのだ。

僕の忠告が効いて諦めたのだろう、我等が姫に近づくから悪いのだ。

後は人が離れて傷ついた姫を僕が癒せば姫はぼきゅを・・・・・ぐふふふふふふふ。


「SHR始めるぞー、静かにしろー。神代の件だが神代の方で目途がついたという報告が来た。神代の話では主犯も分かったらしい。それでな・・・・・。」


?!?!?!分かっただと・・・何故だ?!いやだがブラフだな、分かる訳が無いのだからな!


ガラガラガラ・・・・「失礼しまーす。小田 邦夫ってどいつですかー?」


えっ・・・・神代 蓮夜だと?!何故ここに?!


「すいません、先輩方と先生ー、小田 邦夫って何処にいます?」


「神代・・・。SHRで来るとは聞いてないぞ?」


「担任には言ってあるんでー、平気ですよ。つーかSHR終わったら逃げられるんで今が一番かとー。んで、どいつが犯罪者ですか?」


不味い不味い不味い不味い、本当にバレている・・・・。ぼきゅだと周りに知られたらぼきゅは?!

回りもぼきゅを見てる?!?!?!


「あぁ・・・あいつか。ちーっす小田 邦夫先輩ー。何で俺が来たか、わ・か・る・よ・ね?」


「ひぎぃぃ。何の用だよーーー?僕が何をしたって言うんだ?!?!」


「へぇ~・・・・。」っと神代は目を細めて僕を睨みつけた。


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「ふむ、分からんか。とぼけても良い事は何も無いのだがね。まぁいい、俺に対する脅迫やら随分好き勝手やってくれたな?あんたには少なくても脅迫罪と強要罪は適用される。」


「なっ・・なんのことだよ?!?!僕は何もしてないぞ!!!」


「お前さー、人徳無いよなー。お前のグループの連中簡単にお前を売ったぞ?お前よりも自分の将来の方が大事だとさ。残念だったなー?俺も皆も有希那からは離れないしお前には屈しないんだわ。予定通り俺等をこ〇すのも雫も美織も司も有希那もレ〇プ出来なくなったな~?」


「違う!!ぼきゅはそんな事考えてない!!!!・・・あっ。」


「はっ、簡単に尻尾だし「オタクてめぇぇぇぇ!!!言ったよな?!てめーだったらゆるさ」煩い。邪魔なんだよ雑種。」


ガバっと詰め寄ったクラスの先輩の首を片手で掴んで締め上げた。


「がっ・・・かみ・しろ・・・何を・・?」


「良いかよく聞け?今は俺が話してるんだ、誰が発言を許可した?」


ギチギチと首を絞めつけて邪魔してきたやつに忠告をして周りも同時に黙らせた。


「俺が許可するまで口を開くな、邪魔をするな、理解したかね?」


「わか・・ったから・・・離してく・・・れ・・・。」


「は・・・?離してくれだと?」


「はな・・して・・く・・だ・・さ・・・・ぃ。」


「最初からそう言えば良いのだよ。いらない時間を使わせるな。」


俺の言葉と行動と視線に解放された先輩は震えながらも咳き込んで空気を取り入れていた。「ちょ・・神代君マジ切れじゃん・・・・。」「黙ってなって!視線だけで震えそう何だからさっっっ」と教室内の空気も凍り付いていた。


「神代、遣りすぎだ。邪魔されて怒るのは分かるがやり方ってものがな・・・?」


「そっすね、すいません、先輩。邪魔されてつい?」


それだけを言ってぼきゅっ子に向き直した。


「さて、邪魔が入ったが小田が犯人なのも最終目的も既に理解している、あんたの筆跡も指紋も既に調べてある。グループの会話内容も全てこちらで確保してある。自分の立ち位置を理解出来たかね?」


「知らない・・知らない・・ぼきゅじゃない・・・ぼきゅは悪くない・・・・・。」


ボソボソとつぶやき続け現実逃避をしている小田を冷たい目で眺めていたところで(ガラガラガラ)と扉が開く音がして「失礼します。」と有希那が入ってきた。


「有k「姫!!!私をお助けください!こやつに冤罪を押し付けられています!!!!!」・・・・・はぁ・・・・。」


「ん?陵も来たのか?特に聞いていないぞ。」


「いきなりすいません。一人では来る勇気が無くて、アレの前に一人で立って見られるのも話しかけられるのは肉体的にも精神的にも耐えられないので・・・・。」


おぉぅ・・辛辣っと思ったところで「うわぁ・・・陵さんがあんな事言うなんて・・・。」「完全に無表情じゃん。こわぁ・・。」っと有希那を見て震えあがってる人達が一杯出た。


「そっ・・・そうか・・・。それなら仕方ないな。うん。仕方ない。」


うわぁ・・・教師すら引いてるじゃん・・・。

こいつはこいつで有希那の言った事聞いてないし。


「姫!僕を助ける為にきてくれ「ッッ!」・・・・げはぁ!!!」


ガキンっ!っと歯と歯がぶつかる音が聞こえるくらいの勢いで有希那が思いっきりグーでぶん殴った。


「ふえぇ・・・ひめ・・・何を・・・?」


「っのぉ!「そこまでだ、有希那。」・・・離してよ!蓮夜君!!こいつが!こんなやつのせいで!蓮夜君が!!!「殴り慣れてないやつが殴れば手を痛めるだけだ、折角の綺麗な有希那の手を此奴なんかで痛める事は無いよ。」・・・でもっ!」


「全く・・・・気持ちは嬉しいけどな。しゃーない。」


そう言って有希那を無理やり抱きしめて撫でながら落ち着かせたが、その姿を見て女性陣から黄色い悲鳴が・・・・「きゃぁぁぁ。」「これはっ!羨ましいぃぃぃ!」「ゴチですぅぅぅ!」っと上がり、男性陣からは「ぐぉぉぉぉぉ。」「神代ずるい、羨ましいっっっ。」「雑誌の通りラブラブじゃねーかぁぁぁぁ」っとあっちこっちで声が上がった。


「ひ・・・め・・・?そんな奴からは離れてください!穢れてしまいますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。」


「・・・・・大っっ嫌いです。貴方みたいな人は今すぐに目の前から消えて欲しいです、二度と私の前に私たちの前に現れないでください、私は貴方を心の底から嫌悪して否定して、存在そのものを許しません。どれだけ反省しようとどれだけ謝罪しようと未来永劫、許しません。貴方みたいな人間の形をした獣が居る事自体許せません。貴方は私にとって一切、何の価値もないその辺のゴミ以下です。これを言う為に今日ここに来ました。」


呆然として言われた事を一切理解出来ないという顔で俺と有希那を小田が殴られた頬を抑えながら見て居た。


「不愉快です、見ないでください、気持ち悪い。」


「?!うぅぅ・・・・うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇん。」


行き成り大声で泣きだした小田を無視して有希那は俺の後ろに回って視線から隠れたのを見届けて、俺も自分の用事を済ませる為に制服のネクタイを掴んで顔を寄せながら話し始めた。


「これが現実だと理解したかね?これを見ろ、こいつはお前の家、父親の仕事場、親戚の家、母親の仕事場にそれぞれ送り付けてある、内容はお前のやった事が事細やかに書いてある、そしてこっちの紙には弁護士事務所への呼び出しが書いてある、これも勿論お前の家にも送り付けてある。無視して逃げても良いが・・・その場合強制的に裁判になる。勿論お前は拘束され、裁判が終わるまで一人留置所行きだ。ここまでは理解したかね?」


泣きながら無言でコクコクと頷いたの見届けて更に顔を寄せて・・・・。


「もし、今日これから有希那の前に現れたら俺はどうなったとしてもお前の指を一本ずつ切り落とす、それをミキサーにかけてお前に飲ませる。右手が終わったら次は左、それが終わったら次は足。ゆっくりと刻んで産まれて来た事を後悔させてやる。」


そう脅して完全に震えあがってる小田を突き放し最後通告を突きつけた。


「折角三日も時間をやったのに無駄にしたものだな?さっきも言ったが無視をするなら無視をしろ、その場合お前も家族も完全に終わるがね。確りと空っぽの頭で考えて行動したまえ。有希那、行くぞ?もういいな?」


「うん、先輩達には悪いけど同じ空気吸ってるってだけで吐きそうだもん。」


そう言って俺と有希那は教室から「おじゃましましーたー。」「失礼しました。」と言って出て行った。


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SIDE 有希那


「死ねやおらぁぁぁぁぁぁ!!!!」「マジで最低!生きる価値無さ過ぎ!」「あーーーーーもう!!!ほんと無い!ほんとキモイ!吐きそう!!!!!」等など

私達が教室を出て少しして大声が聞こえて来たのを背中に蓮夜君と一緒に廊下を歩いていた。


「ぷっくくくくくくっ、あーっははははははは。有希那の追い込み凄かったなーーー。あれはあいつマジで死ぬんじゃねぇ?」


「ちょっと!縁起でも無い事言わないでよー!頑張って司ちゃんの書いた台本通りにお芝居したんだからっっ!!!」


まぁ、途中から本当にムカついて来て感情移入したし、殴る予定じゃ無かったのを顔を見たら我慢出来なくなって殴ってしまったけど・・・うぅぅ・・・今更だけど蓮夜君に幻滅されてないかな?っと不安になってきた。


「っと、有希那、右手みせろ。うん・・・。大丈夫そうではあるけど手首とかに痛み出たら直ぐに病院に行くんだぞ?」


「ぁぅ・・・はぃ。」


蓮夜君が何でもない様に手を掴んでじっくりと見たり動かしたりして調べてくれたのを見ながら教室で抱きしめられたのを思い出して手を握られたのと抱きしめられたのとで一気に顔が真っ赤になってしまった。


「ん?顔が真っ赤になってるけど、大丈夫か?無理して熱でも出たかな?」


「だっ・・・大丈夫っ!はぁぅ・・・きゅぅぅ・・・。」


「ゆっ?!有希那ぁぁ?!?!?!」


蓮夜君がおでこに手を当てながら熱を測りながら下から覗き込んで来た事で今日の照れ成分の限界を迎えて蓮夜君の声を聞きながら意識が飛んでしまったのでした。


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