第25話 2日目

SIDE 司


「皆、おっはよー!」


声を上げながら教室に入るのと同時に昨日顔色を真っ青にしていた男子をチラッと横目に確認した、平静にはしてるようだけど、どことなく顔色も良くないしこちらに話しかけたそうには見える。


「司ーおはよ~。昨日の夜のグループのやつってどゆこと?」


早速クラスで仲の良い女子が近寄りながら話しかけてきたのを確認して(予定通り)っと思いながら対応をはじめた。


「えっとね、昨日の帰りに蓮先輩とか有希那先輩とか皆さんと色々話してたんだけど、その中で私が言ったの、複数人居たとして全員を潰すのは手間じゃないですか?ってね。」


(ふむふむ、確かにねーっ)と皆が同意を示したのを確認して続きを話し始めた。


「そしたら、有希那先輩を筆頭に美織先輩も雫先輩も間島先輩もそこには同意してくれて、正直犯罪者グループが居なくなるならそれにこした事は無いけど折角なら犯人だけどを徹底的に潰せば抑止力になるんじゃないか?他のやつらも自分たちが何をしようとして居たのかどんな結果になるのか理解出来るんじゃないか?って話になってね。」


「うんうん、それで理解出来なかったら死ぬしかないよねー。」


「死ぬしかないって、まぁ、蓮先輩も最初は全員を潰すって譲らなかったんだけど、有希那先輩の精神面を考慮して犯人だけを潰すことにしたみたい、ただし条件は提示してきてねー、それでって訳。」


「成る程、それが昨日のって訳ね。確かにやり方としては良いかも知れないわね。正直全部消えてくれた方が私達も安心って言えば安心だけどさ。それにしても陵先輩の精神面って?きついのは神代先輩じゃないの?」


「ん~・・・・話しても良いとは言われてるから言うけども、有希那先輩ね、昨日教室で泣いちゃったの。自分のせいで蓮先輩とか皆に迷惑かけて危険な目に合わせる事になった事で、精神的に追い詰められたみたいでさー。まぁ、直ぐに美織先輩が蓮先輩を呼んでくれて、それで落ち着いて泣き止んだらしいんだけどね。」


「あちゃ・・・。泣いちゃったんだ、陵先輩。でも気持ち分かるな~。自分と関わったせいでこんな事になったらそりゃ~・・・ねぇ?」


「うんうん、ヤバかったらしいよ?「私は誰とも仲良くなっちゃ駄目なのかな?」って自分を追い込んじゃう位に。まぁ・・・蓮先輩が教室に入って来て近寄って直ぐに抱きついて泣いて泣き疲れて寝ちゃったらしいんだけどっっっ。蓮先輩に抱きついて抱きしめられるとかずるいっっっ!!!!」


「最後で全部・・・台無しよ・・・・・。好きな人が他の女性を抱き締めてるとか嫌だって思う気持ちは分かるけどさ・・・。」


「だって!ずるいじゃん!!先輩たちの事は皆大好きだけど!それはそれだもん!!!」


っと朝の教室で今回の事で有希那先輩がどうなったのかを知らしめて私の叫びが響き渡った。


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「「おはよー。」」「はよーっす。」


「二人共おはよーって神代君?!」


「うん、神代君ですよー。姫川ってもう居るか?」


「姫川さん?ついさっきまで居たんだけど・・・・。」


教室をぐるっと見回して姫川の姿を探したらもう一つの扉から姫川が入ってくるのが見えた。


「おっ。ちょうどいいタイミングだ、姫川おはよーさん。ちっと張り出してる新聞に追加いれてくれ。」


俺の言葉にきょとんっとした顔しながら近寄って来て挨拶を返してくれた。


「おはよ、神代君。追加って何するのー?」


「これとこれを追加で張り出しておいてくれないかな?」


「んーっと?はっ?!なにこれ・・・・。」


一枚目の紙を見て心底呆れたような顔で俺に聞いて来た。


「さてな?状況の理解出来てないらしい。って訳でこんなのが来ましたよーってのともう一枚の首謀者を絞り出す為の方法だ。」


ふむふむって感じで俺の話を聞きながら「でもこれ、効果あるの?」っと不思議そうな顔で聞いて来た。


「シラネ。あんま期待してないけど、まぁ・・・何と言うかな~・・・。」


俺が答えに応えあぐねて居ると美織が助け舟を出してきた。


「それさ、うちらからの提案なのね、蓮夜君自体は問答無用で全員叩き潰すつもりなんだけど、昨日有希那が泣いちゃったでしょ?しかも来てくれた神代君に抱きついて安心して寝るって言うのをかましてさ。」


「言わないでよ・・・・美織・・・・・////自分でもあの行動不思議なんだから・・・。」


「あはは。それは兎も角、それの効果あれば解決も早くなるし有希那の心的ストレスも減るかなーってさ。」


「ってな訳でぎりぎり譲れるところを出したのがそれって訳だから頼んで良いか?」


朝から顔を真っ赤にしてる有希那には敢えて触れずに姫川に頼み込むことにした。


「うん!分かった、こっちは任せておいてー。窓口って私でも良いんだよね?」


「うんまぁ、姫川が手間じゃ無ければ頼めるかな?多分俺等よりも提供しやすいとは思うし。全部終わったらきっちりお礼もさせて貰うわ。」


「りょーかいっ!お礼も楽しみにしとくねー。」


「おう!任せた!そして任せろ!」そう言いながら俺も自分の教室に向かった。


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SIDE 信也


陵さん達の教室の前で蓮夜とも別れて俺と神薙は自分達の教室に入った。


「おはんー。」「おっはよー。」


「おはよー、あれ?神代君は一緒じゃないの?」


蓮夜が居ない事を疑問に思ったクラスの子が不思議そうに聞いて来た。


「あぁ、陵さん達のクラスの姫川さんに用があるってのでそっちに寄ってるよ。」


「そっかぁ、お休みとかじゃなくて良かった。こんな事になってるし心配だもん。」


蓮夜はほんと・・・・一気にモテる様になったな~っとしみじみと考えながら席に着いてスマホを出して先輩や後輩に情報提供を求めるメッセージと提供者は仕置きの範囲からは外すと決まった事を流して、色々話しながら神薙を見てみると何かを考えこんでいた。


「どうした?神薙。難しい顔してさ。」


「え?・・・大したことじゃ無いんだけど教室内だけで、蓮夜を狙うライバルが何人いるのかなーって考えちゃって・・・・。」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・。さっさと言う事言っちまえ。」


盛大な溜息と共にくだんねぇ~っと机に突っ伏した。


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