第22話 扇動

SIDE 司


朝の出欠確認と連絡事項が担任から伝えられて教室内が騒がしくなった中、仲の良い友人達が私の周りに集まって話を広げている中、私は顔色を真っ青にする演技をして怖がってるような雰囲気を出していた。


「神代先輩も陵先輩も可哀そうだよね、ほんと誰なんだろ?・・・・って司、どったの?」


「って顔色真っ青じゃん!ちょっ、ちょっ、大丈夫なの・・・?」


「んっ。大丈夫だけど。これかなり不味い・・・・。昨日の帰りに蓮先輩が機嫌悪かった理由はこれの事だったんだ・・・・。」


「不味いって?さっきの先生の話?」


「うん、先輩が本気で潰しに来てるって事だもん。これ場合に寄っては本人だけじゃ済まない、家族は勿論、親族も終わるかも。」


「え゛。神代先輩ってそこまでするの・・・?」


「普段は勿論しないよ。精々本人位な物だけど今回は教師も巻き込んでるから完全にブチ切れてるやつだ。」


私はそう言って自分の身体を抱き締めて震えを抑えるようにして周りにみせつけた。


「参考までに・・・どうなると思う・・・?」


「大前提として先輩は自分が計算に入ってないの、今回は有希那先輩を筆頭に、美織先輩、雫先輩、間島先輩、私を最終的に守る為の行動なの、もしも蓮先輩が折れた場合、脅迫した犯人は次に蓮先輩と間島先輩をこ〇す、その後、美織先輩と雫先輩と私をレ〇プする、そして自分のせいだと落ち込む有希那先輩をレ〇プするだろうって考えてると思う。」


「いやいやいやいや!こんな奴にそこまでの度胸無いって!!!!考えすぎだよ絶対!」


「うん、そうだと思う。でもね?蓮先輩の中じゃって言うか私でも分かるんだけど絶対に一人じゃない、脅迫した人だけじゃなく他にも有希那先輩のファンのグループの人達全員の犯行だと思う。一人なら結局何も出来ないだろうけど複数いたら?後先考えずに脅迫文送って殺害予告するやつだよ?蓮先輩が最悪を想定してるのだけは間違いないよ。」


私の説明に教室も友達も一言も発せずに黙り込んでる、多分反応としては(そんな馬鹿な)ってのと(確かに複数人居たらやりそう)ってのの半々かな?それを考えながら続きを話し始める。


「だから蓮先輩は一切の手加減もしないと思う。だから先ずは送った人間の告訴で前科付けて人生潰して、育てた罪として家族を潰す、裁判に業とでも持ち込んで親族の周辺にも話が広まるようにして心象悪くなるようにするだけで後は周りの環境が勝手にしてくれるでしょ?その後ファンのグループを引きずり出して何故か犯罪者グループって話が広まってその人たちの人生も終わる。」


「やりすぎ・・・って思うけど、でも実際特に何もしなくても世間がそうするよね・・・・・。」


「ここまで終わったら次は出版社から損害賠償請求が届くと思う。モデルをやったら脅迫されて殺害予告されたー。この雑誌のモデルをやるとこ〇されるって噂が絶対流れるしそうなったら良くても廃刊、最悪倒産でしょ。だからどんだけ安く見積もっても数千万、高くて数億から数十億の請求来るよ。一般家庭に払えると思う?」


「無理よね。分割にしても何世代ローンになるのか考えただけでも冷汗止まらないんだけど。」


「仮にね?10億請求されたとして、今回の犯行に関わったのが5人居たとしたら最低でも1家庭2億円の賠償。「お先真っ暗どころじゃないね。」・・・・でしょ?分かった?」


「うん、本当にそうなったとしたら顔色も真っ青になるし震えるのも分かるけど、司が犯人じゃないんだから怖がること無くない?」


「違うの、私が怖がったのはゴミ処分モードの先輩なの、あの無表情で何を言われても淡々と熟して行くのを見た事あるからそれを思い出して・・・・ね?」


「あぁ、なるほど。確かに好きな人のそんな残酷な部分見たくないね。」っと友達が締めくくってくれるのを確認しながら何となくクラスを見回したら私以上に真っ青になって事の重大さを認識した男子を一人見つけて机の下でガッツポーズをきめた。


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SIDE 雫


教室の空気が重い・・・・。

蓮夜に昨日の時点で教師から話があった後に殺意を振りまくからっとは聞いていたけど・・・・正直ここまでだと思ってなかった。

確かに蓮夜は強い、前に家に間島君と一緒に遊びに来た時にお父さんが蓮夜に絡んだ時も殺気は出していたし戦った時も当然出してたしお父さんを倒した時に恐ろしく冷たい目で見降ろしてた時も出してたけど、こんな重いものじゃ無かった、蓮夜も娘を心配して見定めるためって事は分かってたから抑えたよっとは言ってたから経験がある以上は大丈夫だと高を括っていたのも事実。

だからこれは予想外、まさか蓮夜がここまでにするとは思わなかった、多分確実に私たち全員が考えてる以上に蓮夜が怒るを通り越してキレてるって事なんだと思うけど・・・・流石にこれは止めたほうが良いかも知れないっと思っていた。


「蓮夜、そろそろ抑えろ。流石にこえーっての!完全に殺気越えて殺意になってねーかこれ?」


「ぁん?あぁ、悪い。ついついな。このクラスには居ないと思うけどグループのやつが居るかもって思ったら洩れちまったわ。皆もごめんなー。」


いやいや!謝るならもっと感情込めなさいっての完全に棒読みじゃないの・・・。

これが私も声かけたほうが良いかも知れないかな・・・・?


「ねぇ、ほんと抑えてね?流石にこれは私も怖い。正直震えそうなんだけど。」


私が蓮夜に言うと流石にやりすぎたと思ったのか苦笑いと共に雰囲気を収めてくれて教室の空気が少しピりつくって程度に戻ってくれた。


「ねね、神代君!結局の所どうするつもりなの?こんなやつ絶対に3日の間に来ないの分かってるんでしょ?」


クラスの他の女子が蓮に話しかけてどうするつもりなのか気になったのかわざとらしく明るく話しかけた。


「んー、最低でも本人と家族は叩き潰すよ。本人には前科付けてこれから先の残りの70年を真面に生きれなくするし家族は俺が特に何かしなくても周辺が叩き上げて良くて一家離散だろ?」


「いや・・・最低でもそれって・・・・。」


「当然の末路だろ?後は間違い無く有希那のファングループを全員最低でも学校から追い出す。こんなん一匹の犯行じゃ無いのは間違いないから徹底的に犯罪者集団として学校から追い出して校内の掃除も進める、その後は出版社から損害賠償請求させてそいつら全員に払わせてこれから先の未来を真っ暗にするよ?」


一匹って・・・・。人間とすら数えなくなってる・・・・。



「一匹って(汗)言い方が・・・。」


「そんなにおかしいか?高校生にもなって善悪の区別もつかずに殺害予告するやつらだぞ?理性とか無いの間違いないし一人二人って数え方じゃ無く一匹二匹で充分だよ。それにな?仮に俺が折れたらどうなると思う?」


「どうって?普通に何もしないんじゃない?まぁ、調子に乗ってこれからも同じような事するかも位かな。」


うん、私もそう思う。それに何て言うか蓮夜の反応が過剰って言うかやりすぎじゃない?って実は思っているのだ。


「甘い、俺が今回ので折れた場合は、最悪の予想としては有希那と仲の良い俺と信也をこの獣共はこ〇すだろうな、そこから小野坂、雫、司をレ〇プするだろう、その後、自分を責める有希那に近づいて心が壊れかけてる有希那レ〇プして自分達の性処理人形に作り替える。今回の獣共の最終目的はそれだよ。」


・・・・・・・・・・・そこまで考えてたの・・?考えすぎだと思う反面、高校生にもなってこんな事する奴らだからやりそうだなっと思う自分も居る。って言うか獣って・・・。


「いやいやいや!!!考えすぎでしょ!!!」


「そうかもしれんね。でも有り得ない訳じゃ無いから最悪は想定して逆らう気も一切起きない様に叩き潰すよ俺。あぁ、告訴しない代わりに無遅刻無欠席で卒業まで通わせて後ろ指刺されながら過ごさせるのも良いな。勿論こっちには一切近づかないのと視界に入らないって条件でね、破ったら毎回毎回、指を切り落とすって条件でな。」


「えっと・・・・冗談だよね?流石に怖すぎるんだけど・・・・。神代君って結構残酷だったりスプラッタ好きだったりする?」


「まさかー。ホラーとか嫌いじゃないけどスプラッタとか好んでしないって。そのくらいまで徹底的にやれば周回遅れで逆らう気も起きなくさせられるでしょ?ってだけの話だよ。」


笑顔で冗談っぽく話しては居るけども、この瞬間、クラスの全員の共通認識として蓮夜をキレさせたらマジでやばい!って認識を全員が持ったのだけは間違いないと理解した。


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SIDE 美織


教室が騒がしい、担任の話の後から全く収まらないでがやがやと騒がしくなっている。

このクラスには有希那って言う当事者の一人が居るから当たり前って言えば当たり前なんだけど、隣のクラスが極端に静かなのも気になる。

神代君何してるの・・・・?っと疑問に思うけど今はこっちが先だよね。


「有希那・・・大丈夫?」


有希那の落ち込みぶりが兎に角やばい、泣き始めるんじゃないかって位物凄い重い空気と表情なのだ。


「ぅん・・・・。ねぇ、美織。私が悪いのかな?私が蓮夜君と仲良くなったからだから蓮夜君が殺されそうになってるのかな?私は誰とも仲良くなっちゃ駄目なのかな・・・?」


「有希那・・・。それは違う!悪いのはこんなのを送り付けたやつであって有希那が悪いわけない!」


私の言葉にクラスの子達が「そうだよ!何も悪くないじゃん!」「神代君に嫉妬したやつがおかしいんじゃん!」「悪いのは脅迫なんてする犯罪者でしょ!!!」っとあっちこっちから有希那に声がかかった。


「でも・・・。でもっ!私が原因なのは変わらないもん!うぅ・・・私が・・蓮夜・・君と・・・ぐすっ・・・だって・・ぇ・・・・。」


わぁぁぁぁぁ、っと遂には有希那が泣き出してしまってクラス中に動揺が広まった。


「ねぇ、有希那、神代君は勿論だけど、雫も、司も、間島君も皆が皆間違いなく有希那と知り合えて仲良くなれて嬉しいって思ってるよ。今回の事だって有希那がやりたくてやった訳じゃ無いんだし、何より神代君が昨日、本気で怒ってた理由だって分かってるでしょ?神代君が既にどうなっても大丈夫な様に手はうってるんだから神代君を信じてようよ!神代君なら絶対に大丈夫にしてくれるって分かってるでしょ!」


最初は演技で悲しんでいるってやる予定だったけど色々と考えてしまった有希那が本気で泣いてしまってる。「私達も出来ることするから!」「犯人捜し!少しでも手伝うし!」「こんな犯罪者ぶっつぶそう!!!!」っとクラスメートで有希那を慰めながら犯人を絶対に許さない、神代君じゃ無いけど二度と何も出来ない様に叩き潰してやるっと私は有希那の姿を見て心から決心した。


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