第19話 反応

むぅ・・・・・。流石に朝から有希那と一緒だからか何時もよりも視線を感じる。

隣の有希那も不思議そうな顔をしてこっちを見て居るし、さて数日の我慢だとは思うけどちょっとまずったかも知れないなと考えながら歩いていた。


「蓮夜君どうしたの?何か難しい顔してるけど。」


「ん?あぁ、朝から有希那と一緒に歩いてるからか妙に視線を感じるなっと思ってさ。んで、不思議なんだけど何時ものやっかみじゃ無いんだよね。全く無い訳じゃないけどさ。」


「あぁうん、それは私も感じてるかな。隣に蓮夜君が居るからだと思うけど女の子達の視線が何時もよりきついって気がするし男子からの視線も多い気がするかな?」


「やっぱりか。これが俺の行動が原因だったら申し訳ないな。ごめん。」


「いやいや!謝らなくていいよ!視線は確かに多いけど蓮夜君が居るから平気だもん!それに・・・・一緒に登校出来るの嬉しいし・・・・。」


「それなら良かった。これで雑誌が他の人の目に触れたらって考えるとほんと暫くは続けないと不味そうだ。」


これからの事を考えながら有希那と一緒に登校していると学校の近くで前から司が向かってきた。


「蓮先輩ー!有希那先輩、おはようございますっ!ご一緒しても良いですか?」


「「おはよう、司(ちゃん)」このまま一緒に行くか。」


「同じ方向から一緒に来るなんて珍しいですね、蓮先輩が迎えに行ったんですか?」


「そそ、今日から暫くは朝は迎えに行くつもりだ。少し訳ありでな。」


「有希那先輩を迎えに行くって言うのは気分的に良くはありませんけど朝から先輩と登校出来るのは嬉しいですね。」


その後、学校の近くで小野坂、雫、信也と皆で固まって登校した。


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SIDE  司


「おはよー!・・・・って何・・・・?」


私は朝の挨拶と共に教室に入った瞬間に教室に居る全員がぐるんっ!っと顔を向けて反応した事に引いて後ずさりしてしまった。


「おはよう、司。ちょっと聞きたい事あるんだけど良いよね?」


「え?朝から何?って言うか皆の反応も何か怖いんだけど・・・・。」


「これの説明を求めます!!!!」


そう言ってクラスの友達の子が机の上に雑誌をバン!!っとたたきつけて来た。


「今日発売のファッション雑誌?これがどうしt「良いから!!付箋の所から見てみて。」・・・うん、わかった。」


言われた通り付箋の所から雑誌を開いた私は「は?はぁ?!はぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?!」っと大声を上げてしまった。


「え?いやなにこれ?どういう事?!何で蓮先輩と有希那先輩が載ってるの?!」


「って、その反応は司も知らなかったんだ。朝にコンビニで買ったんだけどどう見ても先輩達で外で大声出しちゃったよ私。」


「今朝の登校中に随分男女問わず視線感じるなって思ってたんだけど理由これかぁぁ・・・・。道理で蓮先輩も有希那先輩もバツが悪そうな顔してた訳だ・・・・。」


なんてことを考えて居たらクラスメイトが「それにしても凄いよね?先輩二人共。」って言ってきた。


「うん?凄いって何が?」


「いやだって、この雑誌って今凄い人気の雑誌だし。それに欠員が出たからって飛び入りで参加って書いてるもん。」


「それが凄い事なの?」


「この雑誌のモデルね、すっごい狭い門のオーディションを乗り越えた人しか載れないって事で有名なの、だからいくら欠員が出たからって飛び入りで参加なんてありえない事なの。それなのにこうやって載ってるでしょ?だから二人共凄すぎるって朝から話してたの。」


ほへぇ~・・・っと友達の話を聞きながら雑誌を眺めていたら見知った名前が目について・・・・「あぁ、そゆことか。」っと口から零れてしまった。


「ん?そゆ事って何か気付いたの?司。」


「あぁうん。雑誌の責任者の人の名前乗ってるけどこの人は蓮先輩の叔母さんなんだよねー。あっ!!!!!!今の無しで!!!!」


そんな私の言葉に一瞬で教室が静かになって次の瞬間に((((えええええええええええええええ?!?!?!?!))))っと叫び声が上がり朝の教室がとんでもない事になったのだった。


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SIDE 有希那、美織


「「皆、おはよー。」」


教室に入るのと同時に私と美織は朝の挨拶をして自分の机に向かった。

鞄を置いて椅子に座るのと同時にクラスメートの女子が数人近寄ってきた。


「陵さんおはよ。行き成りでごめんだけど聞きたいことがあってさ。」


「うん、おはよっ!聞きたい事って何かな?」


「えっと・・・・これなんだけどさ・・・・。」


近寄ってきた数人が顔を見合わせて遠慮がちに一冊の雑誌を出してきた。


「あっ?!」


「ん?その雑誌がどうしたの?」


何も知らない美織が不思議そうな顔で雑誌を見せて来た子に聞いていた。


「小野坂さんは知らないみたいね。えっとここからのページなんだけど、これって陵さんと神代君だよね?」


「は?二人が載ってる訳無いでしょー。別に二人共モデルやってる訳じゃないんだs「なら見てみてよ小野坂さん。」・・・うんー。」


パラパラとページを捲っていた美織が「?!?!?!」って顔になったのを見届けた瞬間に私はコッソリと席から離れた。


「ちょ?!なっ・・・?!?!はぁぁぁ?!?!マ・チ・ナ・サ・イ。」「ひぃぃぃ?!」


驚いた声を出した美織は片言になって逃げようとして居た私の頭を掴んできた。


「ちょっ?!まっ!美織ぃぃ、痛い痛い痛いっっっ!!」「説明しなさい!!!!!!」


「何のことか分かりません!他人の空似です!!!!

!!!!」


「そんな言い訳が通用すると思ってるのかな?有希那ちゃん~♪」


「ごめっ!ごめんって!だからマジで勘弁して頭割れるからぁぁぁぁ。」


メリメリと音を立て始めた私の頭と絶叫が朝から教室に響き渡った・・・。


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SIDE 雫&信也(蓮夜)


「おはよー。」「はよーん。」「はよーっす。」


三者三葉の朝の挨拶をしながら3人で教室に入ってそれぞれの席に向かった。


「えっと・・・おはよ!神代君!神代君ってモデルデビューしたの?!」


「お・・・おはよう?行き成り何訳の分からない事を・・・?」


「んとねっ!これなんだけどさ、神代君と神代君達のグループの陵さんだよね?二人ってやっぱり付き合ってるの?街で見かけた素敵なカップルって紹介で出てるしデート中の二人をスカウトしちゃいました!ってなってるしさ。」


俺と有希那のあの時の写真が載っている雑誌のページの紹介文と写真を見せて来た。


「ん?どゆこと蓮?これどう見ても蓮と有希那だよね?私たちに黙って付き合い始めたの?ねぇ?なんで?私何も聞いてないよ?」


荷物を置いてクラスの女子に話しかけられている俺のもとに雫と信也が寄って来て雑誌の内容を見た雫が目のハイライトを消して問い詰めてきた。


「マテマテ。その目を止めろ雫!怖いから!ほらあれだよ、先週に有希那と出掛けたろ?その時に頼まれてなそれで急遽モデルをしたってだけさ。有希那とは付き合ってないのは知ってるだろう?」


そう言った俺の言葉で雫のハイライトが戻った。


「取り合えず今回だけだよ、俺はどうやってもプロには成れないから・・・ね。」


少し自嘲気味に笑いながら今回だけだと否定して軽く話しておくことにした。


「蓮?」「神代君?写真の感じだと他の人と遜色無いって言うかダントツで凄いと思うんだけど?」


「あぁうん、そこはあれだよ、言い方は悪いけど所詮読者モデルだからね、その雑誌の人達。プロフェッショナルとは言えないんだよ。だからその中で凄くても本物の中に入ったら何もって感じになるのさ。」


「でもでも!ほんとに凄いよ神代君!!この雑誌ってオーディション抜けないとモデルとかで出れないって有名なんだよ!それに飛び入りで参加ってとんでもない事なの!!!」


興奮気味に詰め寄ってきたクラスメイトを宥めながら落ち着かせてから更に説明を続けた。


「あーそれは、その雑誌の編集長が俺の叔母さんなんだよ、有希那と出掛けたモールで会ってな。それで頼まれてそのままって感じだから今回だけだよ。」


「「「「えぇぇっぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!??!?!?!?!?!」」」」周りで話を聞いてた男子や他の女子まで一緒になって大声上げやがった・・・・。


「いや?!ちょ?!マジで?!」「叔母って親戚?!?!」「神代君のコネクションってどうなってるの・・・・・。」「何も聞いてないんだけど蓮?!?!」


「何も聞いてないって言われてもな、話すような事でも無いしそもそも聞かれてないしな?って言うか別に親友でもそこまで話すってのも変だろ、雫。」


俺の言葉に雫は「うぐぅ・・・。確かにそうだけどぉ。有希那だけ蓮の親戚と仲良くなってとか悔しい・・・・。」っと良く分からない悔しがり方をしているのを眺めながら何故かニヤニヤと雫を見て居るクラスの女子を眺めて朝からの騒ぎの大きさを見てこれからの事を考えてげんなりとしたのだった。


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